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24.高熱の原因

 私はダンさんに横抱きにされてイーベルの宿屋へと入った。


 真っ先に来たのはゼクスさんだった。


「ミオ! 顔色が悪いけど、何があったんだよ……」


「話はミオを部屋へ運んでからだ」 ゼクスさんは、ダンさんがいつもの顔ではない事くらい分かってた。


 だから、皆は何も言わなかった。


 ミオを寝かし、降りてきたダンさんは今日あった事を話した。


「俺も昨日ミオと行ったから分かる、アイツまた無理したんだろ?」ゼクスさんは辛そうな顔をしていた。


「ジースアンが危険だ! と言って、ミオはスピードを上昇して着いたは良いが……ジースアンの入り口付近で【ミノタウロス】が出現していた」 ゼクスさんは「なっ! まさかミオは……戦ったのか?」バズさんは頷き「俺達は退却しようと言ったんだが、最後まで諦めずに戦った……だがな、ミオは終始ずっと震えていたんだよ」 ミノタウロスの話を聞いてルシアさんが「ミノタウロスは……ミオの事を睨んでたんじゃないの? 私ミオの側にいるわ」と言って行こうとしたルシアさんの手を握り「私もミオの側にいる」アリアもルシアさんと部屋へ行った。


「倒したミノタウロスは、ミオのアイテムボックスに入ってる」 ゼクスさんは「次は俺も行くからな」口を尖らせていた。


 私は【ミノタウロス】が口から赤黒い血泡を出しながら、こちらに向かって来る怖い夢にうなされていた。


 私は息が荒くなり、目を覚ます事が出来なくて……「たすけて」……とうわ言のように言っていた。

 ルシアさんは、私の額の汗を拭ってくれ、アリアは着替えを持ってきてくれた。


「ミオ……熱が高いの、それにミノタウロスの夢を見てるようなの。うわ言で『たすけて』って何度も言ってるわ」 アリアはミオの額を触った「熱い! ルシアさん、誰かに診てもらった方が良くないですか?」


 ルシアさんとアリアは頷き合ってから「ねえ、誰か薬湯か熱を下げる薬を持ってない? ミオが高熱を出したの!」


 真っ先にゼクスさんが部屋へ入った。「…………!!」ゼクスさんは私の額に触れ、無茶ばかりして……。ポツリと言った。


 ダンさん・バズさんが入ってきて「たぶん疲労と今日のミノタウロスの事もあったからな……」 「数日間は絶対安静だ、見張りをつけてないと……飛んで行くからなぁ」ダンさんとバズさんは私の事を言いたい放題だ。


 コンコンコンッ! 入って来たのはイーベルの町長のスタンさんだった。


「これを飲ませてあげなさい、解熱の効果がある薬湯だ」アリアが「町長様、ありがとうございます」と御礼を言って、スプーンで少しづつ口に入れて飲ませた。


「ミノタウロスに睨まれた者は高熱になると言われていたが、本当だったんじゃな」昔から、この町に伝えられている事を町長が話してくれた。ミノタウロスは町に現れたのは初めてで、普通はダンジョンの深層部や薄暗くて深い森や洞窟の奥深くにいるのになぜ現れたのかが不思議だと話していた。


 ルシアさんが「冷たい水を入れて来るわね」と言って、直ぐ戻って来たんだけど「下で話してもらっても良いかしら? ミオの着替えをしたいの」 男衆は顔を赤くして下にいるボブさんの所へと戻った。


 ボブさんに何で来なかったのか? と聞いたら「熱が出たなら汗もかいてるだろうし、着替えをさせる為に男は追い出されるからな」と言って笑ってた。


 さすが子持ちの親父!!



 朝になり、目を覚ますと……まだフラつくが、喉が渇いたので下に降りた。


「ミオ? 何してんだ」 私は喉が渇いたから水を飲みに来た事を伝えると、冷たい水をコップに入れてくれた。


「ありがとう」 一気に飲んで「ふぅ〜〜、美味しかった」 ゼクスさんに御礼を言ってから部屋へ戻ろうとしたが、まだ熱が下がってないのもあり頭が少しクラ〜〜として、階段の3段目から下に落ちた。


「ミ、ミオ! 大丈夫……じゃないよな」ゼクスさんが私を部屋まで運んでくれた。


「ゼクスさん、ありがとう」と言って魔法で『キュア』 『ハイヒール』 をすると階段から落ちた怪我の痛みも【ミノタウロス】から受けた高熱も治ったが、外出禁止にされ退屈な数日だった。


 外出の許可も出たので、広場へ行くとアビーネスのギルドマスターであるアーサーさんがいた。


「おっ! 試験以来だな、ミオは元気にしてたか? ダンのヤツに呼ばれて来たんだよ。何か知ってるか?」


 あぁ、きっとミノタウロスの事なんだろうなと思った。


 後ろからダンさん・バズさん・ゼクスさん・ルシアさん・ボブさん・アリア・町長さんとデニスさんが集まった。


「ミオ、アレを出せるか?」ダンさんに言われ、私は頷き……アイテムボックスから【ミノタウロス】を出した。


「おいおいおいおいっ! これはミノタウロスじゃねえか! 何でここに?」 私は、このミノタウロスはここから東の町、ジースアンで出現していたので必死に倒した事を話し、ジースアンは疫病ではなく、領主が資金を支給してなかった事を話し聞かせた。


 ここイーベルもそうだった事も話し、私は数日前までミノタウロスの睨みによって高熱にうなされていた事も全て話した。


「厄介だな〜〜っ!」 と頭を抱えるギルマスのアーサーさん、上の指示を待たないとミノタウロスを解体出来ないらしく、まだアイテムボックスに入れていてほしいと言われた。


 明日にでも王国に指示を出してもらえるようにするとの事だった。

誤字や脱字がありましたら、すみません。


読んでくださり、ありがとうございます。


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