表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/120

初戦闘とステータス


こちらに吠えながら駆け寄ってくるのは、黒と青の体毛をした大型犬くらいの大きさの狼だった。何気にこの世界初のモンスターだなと感慨深くなる。これまで文化圏の違う世界って感じしかしなかったから、ここにきてようやく異世界転生したという実感が湧くもんだ。



《シャークファングウルフ》ランクE+

〈海のギャング譲りの牙は切れ味抜群で、その力を誇示するためか性格も獰猛である狼。なんにでも噛みつく癖を逆に利用されることがしばしばある。〉



私の視界と耳元に、機械質な音声とモンスターの解説と思わしき文章が現れる。それによると奴は《シャークファングウルフ》でランクが……この見た目と説明文でE+ランクなんだ。友達が大型犬を飼っていたのでわかるが、噛むにしてもじゃれつくにしても結構な力を持っていたし、それがモンスターともなれば子供を殺す程度造作もないだろうな。



「ヴォルルル!」



《シャークファングウルフ》が口を開いて威嚇する。その牙は鮫の歯のように反り返っており、こんなもので抉られたらひとたまりもないだろというなんともおどろしい恐怖が込み上げてくる。ランクの割りに名前負けしておらず、次いで言うなら奴は格上だ。同じEだがプラスが付いているか否かの差は大きそうだ。



「カタカタカタッ!!」


「¡Ah!」



とりあえず逃げろと私は少女の手を引いて駆け出した。私は格上を前に、完全に逃げるつもりでいたのだ。



[レンの逃亡成功率:0%]


[少女の逃亡成功率:0%]



……だがそんな微かな希望は《デッドレコード》の予測によって容易く打ち砕かれることになる。私の速度は普通の人間とどっこいくらいだし、あるのは強靭な体力もといスタミナくらいだが、逃げる前に勝負がついちゃったら無意味だし最初から攻めるべきだったんかなぁと後悔する。



「ガルルルルルッ!!!」



鮫牙の(シャークファング)(ウルフ)》が少女に狙いを定めて容赦なく噛みつこうと口を開く。あの鋭さじゃ人肉なんて容易に引き裂かれるだろうな。



(……これで防ぐしかないか。)



私の手に持つ〈木こりの斧〉は希少度N(ノーマル)の低ランク。こういうのを藁にもすがるとはいうが……正直藁どころか紙なんじゃないかというくらい本当に性能に不安しかない。



そう言っても今の私には頭蓋骨か斧か拳しかないんだ。これで殺ってやるしかないだろ。私は左手に構える石斧の柄を握る力をグッと強めて《鮫牙の(シャークファング)(ウルフ)》を睨む。不格好にガタガタと震えるその様は主観的に看てもなんとも無様であろう。向こうからは目窟が見えてるんだろうなと考えて恐怖心を取り除くのに必死なんだよこっちは。



「ヴァァァァァァッ!!ギャイン!?」



鮫牙の(シャークファング)(ウルフ)》が大きく口を開き、少女目掛けて飛びかかってきた。丁度私はその間に割って入れる絶好の位置であったため、奴の顎に思い切り骨キックをぶちかましてやることが出来たのだ。



「アガッ…!?…ガルッ……!!」



だらしなく口を開いた状態で、《鮫牙の(シャークファング)(ウルフ)》は逃げ出した。かなり効果があったようで、まだまだ肉弾戦も捨てたもんじゃないなと、どこぞの老いぼれみたいなことを思った。



[ 《シャークファングウルフ》Lv2との戦闘データを保存します。現在の《スケルトン》の通常攻撃によるダメージから算出した結果、現在のステータスの《スケルトン》による〈頭突き〉で《シャークファング》Lv2を確定4発で倒すことができます。算出結果、現在のステータスによる《スケルトン》の勝率は九十パーセントです。]



……あー。そういや[デッドレコード]さんの主な仕事は記録だったもんな。やってることは完璧にポケ○ンガチ勢みたいだが、《鮫牙の(シャークファング)(ウルフ)》相手に大敗食らうハメにならなくてよかったと思っている。なんせ逃亡成功率がゼロパーセントと来たもんだから内心ちょっと焦ってたんだよね。


あとひとつ気になっていたことは、[デッドレコード]の何処かに私のステータスがあるんじゃないかということだ。こいつは《鮫牙の(シャークファング)(ウルフ)》のレベルをしっかり把握していたみたいだし、本当にゲームの世界みたいに私のステータスが数値になっていることを裏付けているのがわかった。



……あのさ。私のステータスって見れない?



[かしこまりました。レン様のステータスを数値化して表示させて頂きます。あくまで算出した直近のデータになりますので、多少の上下がある可能性があります。]



そう無機質な声が頭に響くと共に、私のステータスを表すいくつものウィンドウが視界に現れた。なんか脳を弄くられている感じがして嫌なんだけど、取ってと言って取れるような代物じゃないことはなんとなくわかっているので我慢する。



───────

名称.《レン》

種族.《スケルトン》

ランクE

状態.《冷静》

Hexagram.《─》

ATK.14+2

DEF.20-3

SPD.8


装備.《木こりの斧》

───────


……あらまぁ。思っていたよりもわりと正確な数値が出せるみたいだな。(はじめから出せや。)


HPとかMPとか重要なステータスがないのが凄い気になるし、ゲームの世界だとレベルをあげて物理で殴るのが一般的なのに、私のステータス欄の何処を見てもレベルは書いてなかった。なんで書いてないのかいささか疑問だし、敵対した《鮫牙の(シャークファング)(ウルフ)》はちゃんとLv2と書いてあったんだ。奴にあって私にない理由ってなんだ?


その理由といいHexagramといい、聞きたいことがまだまだ多すぎる。一個一個整理していく他ないだろうな。



「・・・。」



おっと少女がじっとこちらを見つめていたようだ。言葉はわからないがどうするかねぇ。村に送り返すにしても方角もちんぷんかんぷんだし、この姿で受け入れられる気がしないんだが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ