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進化先の進化先


さてと、本格的に困ったぞ。何に困ったかというとなりたい進化先がない。どれになりたいというよりかはどれにもなりたくないといった方が正しい。ここまでそそられない選択肢を提示できるあちらさんサイドに相当な問題があると思います!もういっそのこと人間にでも戻してくれ頼むから。



〔変化先に困ったときの為の変化先予測を行いますか?(確定ではありません。)〕



〈デッドレコード〉がそう助け船を出してくれる。奴らからしても私を〈朽ちた骨〉に還す のはいただけないらしく、大層なことにヒントまでくれるようだ。私は軽く頷いて肯定の意を示す。



────


〔変化先予測を行います……〕


〈朽ちた骨〉ランクF

〈進化先なし〉

─────────

〈ゾンビ〉ランクE+

〈グール〉ランクD-

─────────

〈スカルブックメイジ〉ランクD

〈スカラーフェイス〉ランクC-

─────────

〈スカルナイト〉ランクD-

〈無名の骸骨騎士〉ランクC+

─────────

〈骨王の使徒〉ランクD

〈骨王スカルキング〉ランクC

─────────


私の視界(スクリーン)に羅列される進化先の進化先。勿論進化した先で新しい進化先をみることになるかもしれないが、傾向だけはなんとなくわかった。とりあえず解説だけでも頼もうかなぁ。



《グール》ランクD-

〈生き肉を食らうことで肉体を強化するアンデッドモンスター。俊敏な獲物を狩る為に機敏さを増し、幾らかの知恵を身につけた。〉


素早さに期待が持てる進化だな。ランクがちょっと低いのが気掛かりではあるが、今より速く動けるだけでも相当強力になること請け合い。地雷続きってのを抜きにして中々悪くない進化先じゃん。



《スカラーフェイス》ランクC-

〈仮初めの肉体を禁術によって得たことで、より美への執着が高まった魔術師。人の頭を集める癖があり、より美貌な顔を求めている。〉


フェイスと名前にあるだけあって、お洒落に興味があるんですね(白目)。取り敢えず頭だけみたいなモンスターでないことはわかったのでひとつの進化先として選ぶのは無しではないな。人格は私だから多分大丈夫……だよね?進化したとたん乗っ取られるなんてことはないよね?流石に頭を並べてキャッキャウフフするなんて悪趣味は御免だよ私。



《無名の骸骨騎士》ランクC+

〈非情な殺戮を繰り返すことで恐れられているが、彼の前に立ち塞がる者もなく、彼の名前は闇の底に葬られている。その後名乗る相手もいなくなり、彼は忘却というかたちで本当の名を失った。だがそのことに気づかぬまま彼は自分の名を語る強者を求めてさまよう。〉


……強いけど地雷枠ですねわかります。恐らく強さのボーダーが〔Cランク〕なのかもしれない。

〈スカラーフェイス〉が完璧になれない理由や〈無名の骸骨騎士〉が名前を忘れるという強さの由縁、〈骨王スカルキング〉はともかくとしてもやはりCランクはDランクより+と-とで細かく小分けされているような気がする。


言葉にはし辛いが、〈スカラーフェイス〉では足りないが〈無名の骸骨騎士〉は人類の敵、災厄に成り得るというわけだ。

多分D-ランクの〈グール〉でも充分強いけど、絵に描いた災厄のような存在には成り得ない。《無名の骸骨騎士》は恐らく条件が厳しいだろうし、進化前の〈スカルナイト〉のリスク管理も結構難しいため、候補の一つに留まる程度だろうなぁと考えている。なれるんだったらナシな選択ではないけどね。


まあなるとすれば〈ゾンビ〉か〈スカルブックメイジ〉になるのかな。後は運良く〈スカルナイト〉になれるならなってもいいかなという感じだ。……因みに残り二つは論外な。



しかしそうなると、第三者の存在が不可欠だよな。〈ゾンビ〉になるとすれば、まず人間を殺さなくてはならない。参ったな。人殺しになるのはちょっと気が引けるというかなんというか……



「¿Los no muertos en medio de la nada?」



またあの聞き慣れない言語がすぐ真下で響いた。その声の主は十に満たない村人らしい女の子だった。さっきの男の物と似た素材である布のワンピースを纏い、武装のひとつ持っていないその姿は平和な暮らしをしている、なにも知らなそうな女の子だった。



「……」


「・・・」


少女は綺麗な赤い髪を風に靡かせながら、まん丸とした年齢相応の可愛らしい金の瞳でこちらを見つめている。取り敢えず怖がられているわけではあるまいな。どちらかというと物珍しそうにしている感じか。私の手には武器を持っているというのになんと無警戒な。本当に何も知らなそうな女の子だこと。こんな暮らしができたら幸せそうだなぁ。



「¿Cómo terminaste en este lugar?」



少女は首を傾げながらなにかを聞いているようだった。えっと、あ、うん、その、とりあえず日本語でおけ。ニュアンスからして英語でもないよねこれ。なんか「なんとか~エステ」とか言ってるけど、まさか私の姿を見てエステに行ったんですか?とか聞いてきた訳ではないよな?


この世界にエステなんてあるのか甚だ疑問だが、何処のエステでも人体を骨にしてしまうような非人道的な施術なんてないと信じたい。それにしても全く失礼だぞ!プンプン!



私は取り敢えず聞かれたことに答えようと首を振るった。イエスかノーで答えなさい!ならばノーだ!って感じで答えたつもりなのだが、少女の表情は少し雲っているように見えた。取り敢えずエステには行ってないよ?私怪しくない。わかる?ドゥーユーアンダスタン!?



「¿Entiendes lo que digo?」



少女は再び首を傾げ、ゆっくりと丁寧に聞き出そうとしてくれていた。



……だが結局わからんもんはわからんよ。そもそも住む語圏が違うんだもん。えーと、エントランスなんちゃらディゴ?ディゴはエントランスになんたらかんたら?それともエントランスが……おん???ディゴは人名なのかもしれないな。取り敢えず私はディゴではない。



私も同じように必死に首を傾げながら自分の指でNoと書いた。万国共通の英語で伝わってくれるかな。万能言語のイングリッシュ。ある程度覚えておくだけで会話は出来なくとも理解は出来るからな。



「・・・。」



少女が呆然と立ち尽くしているのがわかった。あら、どうやら私と会話が出来ないことがわかってしまったらしい。本格的に人間と距離が出来たと感じる出来事だったな。



「ヴォルルル!」



……そんな私たちに突如モンスターが唸り声をあげて飛びかかってきたのだ。

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