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進化先はゲテモノだらけ


〔貴女のステータスを表示します。〕


そう無機質な女性の声がすると同時に、グラフやら意味不明な文字の羅列やらが視界に写る。これはきっと私にしか見えていないのだろうな、と考えつつも本来の目的であるページに到達したところでそれは止まった。


───────

名前〈レン〉

種族〈スケルトン〉E

〈屍の姿で甦った死者。自らの姿を取り戻そうと執着し、生きとし生ける者に襲いかかる本能の塊。〉


〔装備〕木こりの石斧 N

手頃な石を枝に刺して作られた粗野な斧。一般的に流通する物としては品質が低く壊れやすい。戦闘には向いていないが拳よりはマシである。


〔アクティブスキル〕頭突き

頑丈な頭蓋骨で文字通り攻撃する。頭があれば基本習得できる物理攻撃スキル。


──────



……残念すぎだろ私。まずスケルトンの説明文にある〔生きとし生ける者に襲いかかる本能の塊〕とか失礼すぎじゃない?私、理性ある。モンスター違う。ニンゲン!ニンゲンナカヨシ!オーケー!?一歩間違えてたら殺してたかもしれないが、あんなもんは正当防衛だ。私は悪くねぇ。



横にあるのはドラ○エとかにあるランクってやつだな。これが高ければ高いほど種族として優遇されてるといっていい。あれだと確か下からF.E.D.C.B.A.S.SSって感じだったよな。武器はランクというより希少度のN。ノーマルのNだな。どっちにしても底辺なことには変わらないんだけど、気にしたら負けだ。


……そして次。木こりの斧は文字通りあの男からパクった斧だな。ないよりはマシだが壊れやすく戦闘には向いていないときた。あの男はきっと何処かの村出身で、何かのはずみで運悪くエンカウントしちゃったわけだ。気持ちは解るし同情はするよ。絶対に許さないけどね。



最後にアクティブスキル。私が編み出したり習得したスキルが表示されるのだろうが、現在は頭突きのみ。パンチするより威力が高いくらいの認識で問題なさそうだな。使うかどうかは置いておくとしても、あるだけで一応安心できるかなぁ……




……うん。


気を取り直して次!次は進化先を表示して貰おうかな!



〔変化先を表示します。状況により強制変異する可能性のあるものについては強調表示します。〕


現在

〈スケルトン〉ランクE

《朽ちた骨》ランクF

〈ゾンビ〉ランクE+

〈スカルブックメイジ〉ランクD

〈スカルナイト〉ランクD-

《骨王の使徒》ランクD


進化とは言っても格下になれるにはなれるんだな。そんで私がこのまま進化を渋っていたら、いつか〈朽ちた骨〉という最底辺モンスターになってしまう可能性があるときた。新しい進化先になっていた《骨王の使徒》とか興味あるし、一個ずつ条件を見ていくことにしようかな。


《朽ちた骨》ランクF

〈時間が経過し、自力で動くことを止めたスケルトンの成れの果て。単体では過去の栄光にすがることしか出来ず、配下に頼って移動することが精一杯である。

すでに光を失っていることも知らず、哀れにも現世に縛られ続けているのだ。〉


〔進化条件─全てに絶望し、動くことを止めること。〕


名前やランク、説明文からあらゆる点で終わってるなコイツ。私が前世と同じようにこの世界に絶望したら、知らぬ間になっていてもおかしくない進化先だな。ある意味全ての生物の終着点な気がする。理性あるうちはなるつもりなんて毛頭ないけどね。



《ゾンビ》ランクE+

〈外的要因で死亡した人間は亡者となり、生を求めて闊歩する。酷く毒性のある体液を周囲に散らしながら、本能のままに餌を探し続けている。〉


〔進化条件─人間を0/1人殺害し、肉体を得る〕


これもぶっちゃけ進化と呼べるかは怪しい。肉体を得るという意味ではある意味進化なのか?プラスってついてるし進化なんだろうそうであろう。進化条件に肉体が必要らしいが、一体何処からそんなものを調達するのだろうか。




もしかして食べろってことなのかなぁ……。



《スカルブックメイジ》ランクD

〈知識を得たスケルトンの行き着く先。気質の力、魔法の魅力に取りつかれた骨は、更なる知識と叡知を求め、狭く暗い底をさまよう屍となる。〉


〔進化条件─Lv1以上の魔術書(ソーサルブック)を入手し、習熟値を0/300得る。〕


要するに魔法が使えるスケルトンっていう認識でいいのかな。知識を得たいと思っていながら底をさまよう屍となるってとんだ皮肉じゃないか。あれか?頭はいいけどお堅い馬鹿なのか?自分のしていることを理解できないで《朽ちた骨》直行ルートになってきてるのが目に見えて解る説明文だわ。



魔術書(ソーサルブック)

〈魔術の祖グラマラスが創造した簡易的な魔術を扱うための書物。所持するだけで幾つかの魔法を会得出来るため、非常に価値の高い代物であり、それと同時に危険物として厳重に保護されている。Lv1.2.3.4があり、Lvが高いほど希少度が高い。伝説のLv5が一冊だけこの世の何処かにあるといわれている。〉


ついでに必要なアイテムについても聞いてみたが、ようするにスカルブックメイジは魔術書頼りの馬鹿の一つ覚えの馬鹿であることが解った。コイツ自身何かが出来る訳じゃないことは説明文を見てよく解る。魔法が使えるスケルトンだから当然危険度が高い。本当にそれだけの、よくよく考えれば当たり前なことだった。



《スカルナイト》ランクD-

〈馬に跨がることで今まで以上のスピードを獲得したスケルトン。高い機動力と圧力、馬力で立ち塞がるものを全て破壊すると同時に自らの身体も砕け散る。〉


〔進化条件─スカルボーンの獲得〕


〈スカルボーン〉ランクF

〈人畜無害な馬の骨。主を選ばず常に人を背に乗せ走り回る。何処の馬の骨とも解らぬ奴の語源であり蔑視の対象となっているが、そもそもそのことに気づいていない。〉



ああ……(察し)残念な子だなぁ(遠い目)。ランクとしては今より高いし、今より便利な移動手段を得られることは間違いないのだが、〈スカルボーン〉の入手難易度や強制変異によりスケルトンに戻る可能性を考慮すると、中々安易に選べないのが現状である。



《骨王の使徒》ランクD

〈〈骨王スカルキング〉に永遠の忠誠を誓った骨の戦士。主の為に身を粉にして戦うことで生を見い出した屍。あるいは自分の身を犠牲にして王を守る壁となる。〉


〔進化条件─骨王スカルキングから忠誠の証を取得する。★武器を取得する〕


〈骨王スカルキング〉ランクC

〈使徒を巧みに操り世界の支配を目論む亡国の王の成れの果て。叶うはずもない願い、欲望にすがり我が身を屍に変えた愚かな王の話として語られる。〉



あー……これは下僕ルートだわ。ただでさえ謎の声の手下みたいな扱いになりそうな上によくわかんない変なモンスターの手下としてこき使われるとかまじ勘弁ですわぁ。そんでもって〈骨王スカルキング〉ってネーミングセンスなんだよ。直訳するとスカルキングスカルキングで重言じゃねえかよふざけんな明らか弱そうに聞こえるじゃねえか。おまけにランクは家臣の一個上!!そんな欲望にまみれた亡国に肩入れとかしたくないですから!!



……ランクCってことはやっぱA.B.C.D.E.Fって並んでるんだろうな。大学でもよくFランとか言われてるし、ランクを推し量るにはこの並びが一番しっくり来るんだろう。 



……にしてもちょっとヤバイな。進化先が明らかに人類の敵みたいな地雷しかない。おまけに全部訳ありというか自爆装置付きというか要らない情報盛りだくさん過ぎてスケルトンがマシに思えるんですがえっとその……



どうすっかなぁ。

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