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第七話   一週間もあれば環境は大きく変わる。

久しぶりの更新です。お待たせして申し訳ありませんでした。

 アンケートは今回で締め切らせてもらいます。

以下の点を修正しました。

 アイシャ・ノルン → アイシャ・ノイン

 エネミーの特徴:黒い霧のようなものを纏っている。


このような変更がまたあるかもしれませんがどうかご容赦下さい。 


前回までのあらすじ。


聖夜と勝負をしたついでにグレゴリオに挑発として石を放っておいた。うまく隠せたと思ったけど、リデアさんが去り際に見せた笑みでますます目をつけられたと悟った。


P.S 魔法ってせこくね?と思った。早く覚えたい。





万物には力が宿っている。人にも、草にも、花にも、空気中にも、動物にも、死体にも、精神にも、石にも、水にも、火にも、その力が宿っていないものなどこの世にはなく、その力の名を魔力という。

 そして、その力を集め、変換し、制御し、世界に作用させる法則を魔法という。

魔法を究めるということは世界の真理を究めるということである。かつての大魔導師は世界を自由自在に飛び回り、いとも簡単に龍すら手懐け、地形すらも一夜で変え、難病も一瞬で癒し、知らぬことはなかったそうだ。

 不可能を可能にする力、真理の欠片、栄光への道標、奇蹟の御技、支配者の法、千変万化、様々な敬称があるが、私はこれが最も相応しいと思う。

 求める者の手、という名が。

                       著:マグリエ=ヴァイルス



「さて、どうしてこの著者はこう思ったんでしょうか?」


『私に聞かれてもお答えできません』


片手に初心者向けの魔法に関する本を持ちつつ傍らにいるトリアさんに話を振っても素っ気なく返された。


「僕としては魔法は人、場所、状況によって求める結果が異なり、そこに至るまでの手段は魔法の使い方次第だということから言ってるんだと思うんですよ。どんなものもそれを求める者が必要であり、手のように使い方次第で様々な状況に対応するのは当然のことですからね」


不可能を可能にすることを求めるも可、真理を求めるも可、栄光を求めるも可、奇蹟を求めるも可、支配を求めるも可。何を望むかによって魔法の使い方は変わる。僕の場合は世界を渡る方法を求めて使用するわけだ。


『それより文字は読めないのではなかったのですか?』


「ええ。読めませんでしたよ。ただ、ここ数日の間に覚えただけです。幸い、基礎さえ覚えてしまえばあちらの世界の文法の知識の応用で簡単に覚えられました」


幼児向けの文字の練習のための本を調達してもらってそれで基礎を覚え始めたのが七日前、城を出る三日前のことだった。


現在、僕とトリアさんは街の外にある隣町までの道を二人で歩いている。


彼女も城の中でのようなメイド服ではなく動きやすい服に着替えている。


何故、この二人で旅に出ているかと言うと事は四日前に遡る。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「何時までも城に居座ってるわけにはいかないよね」


「そうだな。あまりのんびりしてると出るタイミングがなくなるよな」


「というわけで、しばらくお別れだね」


「おい・・・。どうしてそうなる?」


「せっかく勇者が二人もいるんだからさ、一緒に行動するより二手に別れて行動したほうが効率がいいと思わない?」


「一緒に行動したほうが安全じゃないか?」


「だけど、何かしらの理由で手に負えない事態があった場合、そこで二人が終わるよりどちらか一人でも生き残っていたほうがいいんじゃない?能力が上がってるとはいえ、僕らは命をかけた戦いを知らない素人なんだから不測の事態を想定したほうがいいと思う」


「縁起でもないことを言うな・・・って言いたいところだが、一理あるな」


「勇者という存在が人にとっての希望の象徴ならそれを失うことによる人々への影響も大きいからね。この世界に詳しくない僕らだけを野に放り出すってことはないだろうから誰か付き人が付くだろうし、最初から危険なところに行くわけじゃないだろうから安全面もあまり気にしなくていいんじゃないかな?」


「で、魔王に対抗する方法を探すのなら二手に分かれたほうが効率がいいってことか?」


「そういうこと」


「・・・・そうだな。そっちのほうが良さそうだ。だけど、死ぬんじゃないぞ?」


「当たり前だよ。誰だって死にたくはないって。聖夜こそ気をつけてね」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



そんな会話を聖夜として、城下町で聖夜と別れることになった。


聖夜のほうには勇者が現れたなら付いていくのが巫女のしきたりということで、ノインさんが付いていき、好きな人を選んでいいと言われたので僕はトリアさんを連れて行くことにした。


何だかんだ言ってみたが、僕としては姿を晦ますのに聖夜が邪魔だったこととその後に聖夜に表舞台に立ってもらって僕という存在を忘れてもらうためだった。


企みがうまくいってこうしてトリアさんと二人旅をしているわけだが、当然、グレゴリオの手下の監視は続いているわけで正直、視線を感じながらの日々に嫌気がしている。


早く逃げ出したいと思うのだが、機会が来るまで下手に動けない。


『不知火様!エネミーです』


そんな中でこのイライラをぶつけるのに丁度いい相手が出てくるわけで。


「トリアさん、援護をお願いします」


本を閉じて預けると城を出るときにもらった剣を抜き放ち、現れたエネミーに走っていく。


現れたエネミーは薄い黒の霧を纏った狼のような姿をしたものが三匹。今までに現れたのエネミーはゼリー状のスライムのようなもの、小さな鳥型のもの、そして、この狼型の三種類だった。


トリアさんが言うにこの近辺で現れるのはこの三種だけだということだ。


強さもそれほど強くなく、比較的に簡単に倒せる。


中々俊敏で同時に駆け寄ってくるが所詮は獣なわけで襲い掛かってきたのを軽くいなして斬りつけて、右足で別の一匹を蹴り飛ばす。


三匹目の牙を剣で受け止めるとがら空きの胴体を殴って剣から口を放させ、回し蹴りを食らわして先ほど蹴り飛ばしたやつにぶつける。


二匹がもつれあっている間に最初に斬りつけた一匹に剣を振り下ろして止めを刺す。


そのとき、もつれ合っていた二匹の下の地面が盛り上がり鋭く尖ったい岩が二匹を貫いた。


それでその二匹も絶命して戦闘は終了した。


さっきの術は確か『岩槍スピア』だったかな。


今日までの戦闘を見て今のところトリアさんが使った魔法は『炎撃ファイヤ』、『風刃カット』、『岩槍スピア』の三種だけだ。


『大丈夫ですか?』


「ええ。この程度ならまだ余裕ですよ。じゃあ、早速剥ぎますか」


エネミーにしろ、どの生き物にしろそれぞれの生き物から取れる素材は魔力が宿っていて売っても価値があるし、道具や装備品の材料としても使えるらしい。


エネミーを狩って素材の売買をして生計を立てている人も少なくはないそうだ。


ちなみに狼型のエネミーは牙、鳥型は羽、スライムは核部分が使えるらしい。


死ぬと黒い霧が消えるらしく霧がなくなった体から牙を剥ぎ取る。


素材を剥ぎ取った後、血の臭いを嗅ぎつけて他のエネミーが現れないように死体をちゃんと処分して歩き出して、読みかけの本を再び開く。




詠唱とは魔力を現象へと変換する姿なき変換式であり、魔法を定義づけるものである。

 変換式と名の付くとおり結局は式であるのだ。なので、その法則性を紐解くことでそれを形に出来るのである。その式を魔術式といい、これに魔力を流し込むことで詠唱をなくして魔法を行使できる。

 また、前述のように精神にも魔力は宿る。この精神にある魔力というものは魔力は他の魔力とは違い、イメージによって操作することが出来る。よって、精神中に魔力による魔術式を構成、更に魔力を流し込むことで詠唱をなくして魔法を行使することが可能になる。

 しかし、精神中の魔力の操作は容易ではなく、精神集中力、想像力が大きく必要とされ簡単な術でも無詠唱化には上級魔術並の難易度を誇り、また魔術式も高度な術になるほど大規模、複雑化するため高度な術になるほど無詠唱化は難しくなる。




つまり、魔術式が刻んであるものをつけていないのに先程の様に無詠唱で術を行使するトリアさんは高位の術者ということになる。


声を出せないためにそちら方面の技術を磨くしかなかったのかもしれないが、それでも無詠唱による魔法は十分すぎるほどに役に立つ。


彼女にこの技能がなければ城から連れ出すための説得に苦労しただろう。この技能があるからこそ僕に付けても大丈夫だろうと判断されたのだろうから。


僕としてもその技術は非常に魅力的であり、行動を共にしているうちにどうにかしてその技術を盗みたいものだ。


本を読みながらそんなことを考えていると肩を叩かれ顔を上げた。


『不知火様、街が見えてきましたよ』


トリアさんが指差したほうを見ると、遠くに街を囲うために作られた壁が見えてきた。


「そうですね。今日は見張りをしないでゆっくりベッドで眠れそうです」


といっても、監視の目が放れないと気分よく眠れないんだけど。早く仕掛けてきてくれないかな・・・・。













〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「ふぅ」


「お疲れですか?」


「いや、まだ大丈夫だ。女のアイシャが元気なのに俺がへばるわけにはいかないからな」


聖夜様がそう言って笑みを浮かべますが、本当のことは分かりません。


不知火様が言うには彼らは戦いのない平和な場所にいたところをいきなり呼び出されたのですからいきなりこんな風にエネミーと戦ったり、歩き続けたりで肉体的にも精神的にも疲れが溜まっているはずです。


「今日はもう遅いですからゆっくりお休みください」


「アイシャは?」


「私も結界を張ったらすぐに休みます」


私は杖を持って魔力を集めました。


「【憩いの園に何人も近づくこと叶わず、戦士達に安らぎの時間を与えることを許したまえ『白の揺り篭(レストコテージ)』。】」


野宿のときはこうしてエネミーよけの結界を張ることでゆっくりと休めます。


私達はこうして結界を張れるからいいのですが、マリィは結界を張れないので彼女たちは恐らく見張りを立てているのでしょう。


「マリィは大丈夫でしょうか・・・・」


彼女は元は魔術師養成学校の首席でした。しかし、ある日、怪しげな古びた本に知らない魔法が載っていたのを見て試しに使ってみたら制御に失敗して、喋れない呪いがかかってしまったらしくチョーカーの下にはその呪いの印がついています。その後に分かったことですが彼女に嫉妬した他の生徒がわざわざ古い文献からわざと失敗するように一部の記述を隠して彼女の目に付くところにその本を置いたらしいです。


それから彼女は魔術師の道を諦めて王宮のメイドとして働くようになりました。働いてる彼女が喋れないことを私が色々と気にかけていたので彼女とはそれなりに仲良くなりました。それだけに彼女が心配です。


「心配しなくても大丈夫だろ。紅月は頼りになるからな」


「そうなんですか?」


「ああ。俺も元の世界では色々と助けてもらったからな」


聖夜様のその言葉に少し安心しました。


そう言えば不知火様と言えば、別れる前に


『聖夜って意外と女性関係にだらしがないからノインさんも気をつけたほうがいいですよ?見張っておかないと何時の間にかたくさんの女性が彼の周りに集まっちゃいますから。・・・・いっそのことその前にノインさんが聖夜様の恋人にでもなっちゃえばどうです?』


と、言っていました。


「アイシャ?顔が赤いみたいだけどどうした?」


「ひぇ!?い、いえ、にゃんでもないですよ!」


ううっ・・・。また変になってしまいました。不知火様のせいです・・・・。


ここにいない不知火様にちょっと小言を言いたくなり、彼の言っていたことを実行に移すのもいいかなとその夜、思い悩んだりしながら眠りにつきました。





久しぶりの更新になりました。今回はいきなり既に城を出ている展開になりました。というのも、城から出る場面をうまく想像できなかったのと早く展開を進めたかったという理由があったからです。こんな風になってしまいましたがどうか許してください。

 アンケートの方ですが、集計した結果、Aの一人旅の展開に決まりました。投票をしてくださった方々には感謝しています。他の選択肢を選んでくれた方には申し訳ありませんが、今後の展開は一人旅ということになります。それでも読んでくださればとても嬉しいです。また、何時かアンケートを実施したいと思いますのでそのときもご協力していただければ幸いです。

 ご意見・ご感想のほう随時お待ちしています。

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