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第二十九話     苦労は共感しあえるものだ。

更新が遅れて申し訳ありません。

計8027文字です。

前回までのあらすじ。


『ケルビナ山塔』であったことを報告した。


P.S 流石にギルドのトップだけあって、手強そうな人が揃っていた。・・・・・・けど、僕的にはあの爺さんが一番ヤバイと感じた。






『ケルビナ山塔』で現場、治療、撤退ともに僕が関わってそれなりに事件に大して見解を持っていることをナヴェルに示していたおかげで予定通り、多種族連合アルカディアのトップの人達と楽に自然な流れで会うことが出来た。


ナヴェルに会うことがなくても、国のトップに当たるあの人達には何かしらの手段で接触しようとは思っていたから手間が省けてよかった。


商業のまとめ役である『境界無き商会(グレイス)』のギルドマスターのコリスさんはともかく、他の人達は流石にかなりの実力者の気配を感じたし、どんな感じの人なのか全てとは言わないが知ることが出来た。


「しかし、どうにも都合よく事が進みすぎてる気がするな」


通路の壁によりかかったままふと思ったことを口にする。


王城から出るまではともかく、古代神殿ロストグラウンド『ルカルサ』に辿り着いたこと、『ケルビナ山塔』に行くきっかけになるフィリアちゃんと出会ったこと、『ケルビナ山塔』で騒乱に巻き込まれたこと、五大ギルドのトップの面々と顔を合わせたこと。


『ケルビナ山塔』での騒乱からに関しては僕がそうなるように行動したこともあるけど、大して策を弄したわけでもないのにこうも僕にとって都合よく事が運ぶものだろうか?


「これも、勇者の呪縛か・・・・・・?」


過去に召喚された勇者は例外なく何かしらの功績を残し、歴史に名を刻んでいる。


たったの一人の例外も無く、だ。


どのような基準で勇者が選出されているのかは知らないが、一人ぐらいの例外はいてもいいはずだ。


例え、全員が英雄となる素養を持ち合わせていたとしても、そこに解決すれば英雄としての功績が認められるほどの問題がなければ英雄にはなれない。


しかし、全員が英雄と呼ばれるに相応しい功績を残している。


その結果、衰退あるいは停滞していた国は栄える。


都合よく英雄のための問題が用意され、滅亡に至らぬ衰退と繁栄を繰り返し続ける様はまるで何かに調整されているかのように・・・・・・。


「クリムゾンさん、ですか?」


聞こえてきた声に思考を打ち切って、僕は壁から背を離して声をかけてきた人物に向き直る。


「はい。お待ちしていました、モディアさん」


僕が待っていた人物、『真理ウィッチパーティー』のリーダーであるファールリーベさんが待っていた、という言葉に戸惑ったような表情をする。


「私を待っていた・・・・・?」


「はい。ナヴェルさんにあなたは会議が終わった後はこの通路を通るということを聞いて、こうしてお待ちしてました」


円卓の間ほど奥ではないが、この建物『主無き城』の奥のほうにあるこの通路は人通りも少なく円卓の間から『真理ウィッチパティー』の拠点に戻るにはこの通路を通り正面入り口と違う出口から外に出たほうが近いらしい。


僕とナヴェルは一足先にあの円卓の間から追い出されて、ナヴェル達『狩人衆イェーガー』は『自由の剣(エインフェリア)』の指揮下に入ることになり、僕は一応許可が下りるまでの間は『ギフトア』に留まらなければならないということになった。


『ギフトア』にいる限りは行動は自由にしていいらしいので、とりあえず僕は当初の目的を果たすことにした。


「私に何か用事でしょうか?」


「こんなところで立ち話も難ですから歩きながらでよろしいですか?」


「・・・・・・そうですね」


「では、エスコートしますのでお手を」


眼が見えないファールリーベさんを誘導しようと手を伸ばした。


「下心があるなら止めときな」


ファールリーベさんの後ろから声がかかる。


僕が少し視線を下にずらすとその声の主の姿が見えた。


「猫又、ですか」


黒い毛並みに金色の瞳の猫。しかし、その尾が二つもある明らかに通常の猫とは違う生き物、猫又がこちらを見上げていた。


「下手に彼女に手を出すと痛い目をみるよ」


「・・・・・・あなたのご主人様の手で、ですか?」


「そういうこったね」


猫又は主に人間王国ミッドガルズの北方地域『ゲードンム』に出現するエネミーの一種だ。


しかし、この猫又はエネミーの特徴である黒い霧を纏っておらずその目には理性が伺え、あまつさえ人の言葉を話している。


元々、知性の高いエネミーであるが人の言葉を話すというのはありえない。


それを可能にする方法が使い魔となすことだ。


エネミーが纏っている黒い霧には生物としての自我あるいは理性を封ずるような効果があるらしく、その黒い霧を取り払うことで知性の高い生物なら話すことが可能になる。


使い魔を作るための魔術、洗礼魔術には黒い霧を取り払う力があり、洗礼魔術は八属性それぞれに存在していて、それぞれの術の属性と同じ属性の生物を術者の使い魔とする。


そして、猫又は一定した属性を持つことがなく、個体によって持つ属性が異なり、持っている属性によって外見の毛並みが異なる。


今、目の前にいるこの猫又の毛並みは黒。黒を象徴とする属性は闇。


しかし、ファールリーベさんは『白光の魔女』とも呼ばれ、外見も光属性を象徴する白一色で問統一している光属性を得意とする魔術師だ。


そして、一人旅を始めてからここに来るまでの情報収集で得た噂を加味すると猫又の主は推察できる。


「『常夜の魔女』が『白光の魔女』を溺愛してるっていう噂は本当みたいですね」


「溺愛程度で済まされる話じゃないさね」


「うぅ、その噂ってやっぱりそんなに広まってしまっているんですね」


猫又が色々と苦労してきたことが感じられる溜息をつき、ファールリーベさんがショックを受けたように呟く。


『常夜の魔女』の二つ名を持つ『真理ウィッチパーティー』の幹部級メンバー、レア・モディア。


闇属性の魔術を得意とする魔術師でファールリーベさんの姉でもある。


彼女のファールリーベさんへの溺愛ぶりはかなり有名であり、曰く、ファールリーベさんがナンパされたなら相手の男の急所を潰し、彼女が罵られたならトラウマを植えつけられ、彼女が怪我を負ったなら滅殺し、彼女が危機に陥ったなら何処からともなく現れ、彼女のお願いならドラゴンだろうが打倒し、彼女を男に奪われるくらいならと肉体関係を持ったり、彼女のプレゼントのために『魔族帝国ヘルイヘイム』の帝都『アビス』にある魔王城の宝物庫から宝を奪ってきたり、などなど。


噂である以上、誇張されたことや全くの事実無根なことがあるだろうけど、火のないところに煙も立たないだろうから普通以上にレアさんがファールリーベさんをかまっているのだろうとは思っていた。


「ともかく、その子に手を出したら火傷どころじゃ済まないよ」


「下心はこれっぽちもないんですけどね」


「五体満足でいたくないなら好きにするといいさね」


「それは流石に困ります」


僕は苦笑すると、猫又をファールリーベさんとの間に挟んで横に並んで歩き始める。


「ところで、あなたの名前は?」


「・・・・・・クロメトペトラネテロハイネリーベプレシアスキリリッハメバルダン5世」


「・・・・・・随分長い名前ですね」


「姉さんはネーミングセンスが、その、残念なことになってまして」


猫又、クロメトペトラネテロハイネリーベプレシアスキリリッハメバルダン5世が嫌そうに名乗ると、ファールリーベさんが同情するようにフォローをする。


「クロでいいさね」


一気に安直になったな。


「クロさんがファールリーベさんの傍にいるのはやっぱり護衛ですか?」


「それもあるさね。目の見えない彼女の補助もあるけど、一番の理由は彼女に近づく男の排除ってのが大きいのさ」


「過保護すぎだと思いませんか?昔はともかく今は私は『真理ウィッチパーティー』のリーダーで二つ名も持っているんですよ?眼は見えませんけど、不自由はしていませんから補助だっていりませんし、普通の恋愛だってしたいんです」


ファールリーベさんは同意を求めるように少し語気を強めている。


まぁ、確かに二つ名は委託施設ユニオンに実力と功績が認められた人間にしか与えられないものだから実力のほうは申し分ないだろうし、さっきから杖の補助はあるが危なげなく歩いてる。


それに、普通の恋愛がしたいということにはもの凄く共感できる。


僕の初恋は踏み躙られ、本気の愛は裏切られ、親愛は護りきれなかった。


「心配なのは分かりますけど、ほどほどにして欲しいですよね」


「そうなんです!」


随分と喰い付きがいいな。


「大体があの女に目をつけられるのを怖がって当たり障りのないことしか言わないからねぇ。あの女が近くにいなくても私からあの女に伝わるのが怖いんだろうさ」


僕の疑問を察したクロが珍しいものを見たかのように僕を見る。


「僕の場合は行動を制限されることはないですが、僕も度が過ぎた愛情を向けられてちょっと思うところがありまして」


「行動が制限されて無いならいいんじゃないかい?」


「僕はそうなんですけど、僕に愛情を向けている妹が心配で」


「どういうことですか?」


ファールリーベさんが首を傾げる。


「兄として妹にはちゃんと恋愛をして、好きな人と結ばれて幸せになってもらいたいんですが、僕に愛情を向けていると中々そうはいかないじゃないですか。モディアさんのお姉さんにしても価値観を押し付けるわけじゃないですが、一般的なことを言えば、やっぱり好きな異性と結ばれるのがいいでしょう?」


「・・・・・・そういえば、姉さんにお付き合いをしている人がいるなんて聞いたことがないです」


「身内に愛情を向けるあまり自分のことがないがしろになってしまうのが家族として心配で」


「そうですね・・・・・・。姉さんも私に構っている間はまともな恋愛が出来ないんですよね」


「いや、本人は絶賛恋愛中さね」


しみじみと呟いていたファールリーベさんがクロの発言にビクッと反応する。


「・・・・・・あ~、その、もしかして肉体関係があるっていう噂は本当なんですか?」


「まぁ、そうさね。どうにもこの子を可愛がるのはそっちの気があるのも理由っぽいのさ」


「私はノーマルなんです。でも・・・・・・、」


「押し切られて、何だかんだで関係を続けてるのさ」


ファールリーベさんが恥ずかしそうに頷く。


「・・・・・・まぁ、そっちの気持ちも少しは分かります。何だかんだで僕もただれた関係を続けてますから。母と居候相手にですけど」


僕の場合は割り切ってるからファールリーベさん程思い悩んでないけど。


「・・・・・・平凡な容姿の割には苦労してるんだね」


「それなりに」


苦労も慣れてしまえば日常に埋没していく。


思うところはあっても幼い頃から僕にとっての日常だった異常は僕にとっての異常になりえない。


「・・・・・・」


「・・・・・・」


目が合ったファールリーベさんと何となく握手をする。


・・・・・・・多分、彼女とはうまくやっていけそうな気がする。







~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






リデの部屋で定例報告会。


「それで、被害のほうはどうなの?」


「我が国では被害はそれほど出ていませんが、多種族連合アルカディアでは離反に伴い各所で被害が出ているようです」


ヴィーの問いにロイが国が調査したことと多種族連合アルカディアから伝わってきた第一報を報告。


「主犯の『血の栄光(ブラッドグローリー)』の指名手配を決定し、壊滅状態の『狩人衆イェーガー』の解体はほぼ決定事項。『境界無き商会(グレイス)』による北方地域『ゲードンム』への物資の供給はしばらくは難しくなるとのことです」


「『ゲードンム』への物資の供給に関して父様は何か対策を講じているの?」


「王は緊急の議会をただいま召集されています。そこで対策が講じられるものかと」


「そうなればいいのだけどね。どいつもこいつも自分の身の保身に走ってまともに取り合わない気がするわ。治安が荒れているからこそ魔族帝国ヘルヘイムと接している北方の警備が重要になるって言うのに」


ヴィーが呆れた様子も隠さず溜息。


「まだそうと決まったわけではないでしょう?」


「しかし母様、この国にまともな人材なんてほとんど残っていません。いたとしても地方の領主です」


「北方の警備は将軍が担当しているのよ?彼は国を変えようと争いを起こそうとはしているけど、国を魔族に明け渡すなんて真似はしないわ。少なくとも戦という点に関しては愚王よりは優れているのだから何かしらの策を講じるでしょう」


リデがマリィの淹れた紅茶に口をつけながら見解を述べる。


「エミリア、『狩人衆イェーガー』と『血の栄光(ブラッドグローリー)』に忍ばせてた密偵からの報告は?」


「『ゲードンム』、に散らばってる・・・・・・。人がいない場所に、分散・・・・・・」


「そう・・・・・・。まぁ、大勢を隠すなら治安が安定していないあの地域しかないわよね。それにこれで北方での影響力の大きい将軍が彼らの後ろにいる可能性が高くなったわね」


「他に何か分かってることは?」


「エルフ、『自由の剣(エインフェリア)』の問題児、大隊長4人、副隊長2人、確認されてる・・・・・・」


「今のところの報告では、ということ?」


ヴィーの問いに頷く。


大規模の集団を分散してるから密偵が入り込んでいない集団もある。


集団間の連絡はそれぞれの集団のまとめ役を通してしか行われていないので全体の把握には至らない。


「総隊長は、生死不明・・・・・・。重傷で、逃亡・・・・・・」


「あの『魔導戦士』が敗走だと?」


「エルフ、副隊長、二つ名持ち、の大隊長の、三人がかり・・・・・・」


「それじゃあ仕方ない、というか逃げられただけでも凄いんじゃないかしら」


ロイの驚きに答え、ヴィーは逃げ切った総隊長に感心する。


「あとは、出所、不明の古代魔術ロスト、『魔獣召喚デモンズ』が使用された・・・・・・」


古代魔術ロスト?効果は?」


エネミーの召喚、制御・・・・・・。強さ、数は、魔力で増減、する・・・・・・」


「面倒な術を持ち出してきたわね」


ヴィーが顔をしかめる。


「今は、これだけ・・・・・・」


「次の報告待ちね」


「母様、何か手を打ちますか?」


「そうね・・・・・・。勇者様の動向は?」


「『ギオ・レンテス森林』付近の、町に到着・・・・・・。けど、戦力不足で足止め・・・・・・。近隣で拾った、重傷者一名が付随・・・・・・」


「重傷者?」


「ハーフエルフ、身元未確認・・・・・・」


私の報告を聞いてリデが考え込む。


「・・・・・・『ギオ・レンテス森林』を攻略できないようじゃまだ『ゲードンム』は厳しいわね。放っておいても宰相の密偵も近くにいるようだから宰相が勇者の意識を将軍に向けるようにそれとなく彼らを誘導するように動くでしょう。それなら、勇者様の育成はしばらく宰相に任せましょう」


「宰相が勇者を死地に送るという可能性もあるのでは?」


「宰相にとっても勇者という象徴は民衆の意識を操作するのに都合のいい存在。自分のいいように使うために鍛えながら自分達のうちに取り込んでいくはずよ。将軍との戦いで勇者様が功績をあげればなおのこと影響力が増すでしょうから勇者様が将軍と渡り合えるように実力をつけさせるように動くはず」


「しかし、そこまで実力をつけさせてしまうと宰相も扱いがたくなると思いますが」


「実力がついたとしても策謀においては宰相のほうが将軍より上手。勇者様を懐柔する方法なんて幾らでもあるわ」


ヴィーの疑問をリデが否定していく。


「そうなると、当分は密偵からの報告で動向を伺いながら将軍に呼応しそうな貴族、部隊の監視ですまして、これまで通り不正を働いている貴族の摘発を主に行って、宰相の力を削ぐことにしましょう」


「ですが、それでは」


「ヴィーゼ、今の私達の勢力では表立って大きく動くことが出来ないのは貴方にも分かるでしょう?」


「・・・・・・分かりました」


釈然としない様子のヴィーが椅子から立ち上がる。


「私は鍛錬をしてまいりますので失礼します」


ドアの傍に控えていたマリィが扉を開き、ヴィーは部屋から退出していった。


マリィがドアを閉めるとリデが出て行ったヴィーの様子に溜息。


「あの子は正義感が強いのはいいのだけど、もうちょっと冷静になって大局的な視点で物事を考えられるようになってもらいたいものだわ。マリィ」


リデの呼びかけに応えて、傍に移動したマリィがリデのカップに紅茶のおかわりをつぐ。


「エミリア、彼の動向は?」


彼というのが誰だか分かり、面白くないと感じつつも報告する。


「『ケルビナ山塔』で『狩人衆イェーガー』と、一緒に内部を探索・・・・・・」


「『狩人衆イェーガー』と一緒だったのね。その部隊はどうなったの?」


大魔ギガエネミーとの、戦闘開始と同時に、蜂起・・・・・・。古代魔術ロストも使用され、多くの隊員が死亡・・・・・・。大隊長一人、撤退の後に、敵勢力は、あの男の手で、皆殺し、後に脱出・・・・・・」


副隊長の傍に密偵を置いていたので詳細を知ることが出来た。


「一緒に『ケルビナ山塔』に潜ったのは誰だ?」


ロイが珍しく口を挟む。


「ナヴェル、エスティ、マグナ、エクジス・・・・・・。生存が確認されているのは、エクジス・・・・・・」


「『剛剣戦士』と『鋭閃戦士』か。『鋭閃戦士』が生き延びたということはあちら側か?」


ロイの言葉に頷く。


『剛剣戦士』ことナヴェルは敵ではなく、エスティ、マグナは敵であることが事前の調査で判明していた。が、エクジスはどちらかは分かっていなかった。


「大隊長二人を相手に勝利したのかしら?」


「圧倒・・・・・・」


報告によればまだ余力を十分に残しているらしい。


それくらいの実力はあると踏んでいたけど、こうして改めて報告されるとまた面白くないものを感じる。


「今現在の所在は?」


「生き残りに、同行・・・・・・。報告のために、多種族連合アルカディアの首都、『ギフトア』へ、移動中・・・・・。多分、もう着いてる・・・・・・」


私の報告を聞いて、リデは考えながら紅茶を一口含む。


「・・・・・・西部地域『コーネリア』と『ゲードンム』の境辺りに確か古城があったわね」


昔の王族の一人が道楽で建造した様々な事情で今は使われなくなった古城が存在する。


ちなみにその王族は臣下の手で殺されたらしい。


「ジーナと接触してそこに向かわせなさい。あそこは一応、遺跡のようなものだから彼女も嫌とは言わないでしょう。同時に彼にもそこに行くように連絡して頂戴」


「しかし、あの者が素直にこちらの指示を聞くでしょうか?」


「多分ね。一応は協力関係なんだから最初から依頼をつっぱねるような真似をしたら後々の関係が気まずくなることくらい彼なら分かるでしょう。よほどさしせまったことがない限り大丈夫よ」


「では、何故その場所に?」


「場所が『ゲードンム』に近いし、身を潜めることも出来る場所だからもしかしたら『血の栄光(ブラッドグローリー)』の拠点の一つかもしれないから探ってもらうため。そうでなくても、あそこも一応バロック・フレシテルとの関わりがある土地の一つだから氷杖『コキュートス』の捜索にも繋がるわ。まぁ、一番の目的は彼とジーナの顔合わせなのだけどね」


リデがあの男を信用していることが言葉の端々に感じられて、面白くないと感じる。


多分、ロイも同じ事を思っているだろう。


「連絡の方法はエミリアに任せるわ。特に急ぐような用件でもないから急がなくてもいいけど、秘密裏に行動して頂戴ね」


「了解・・・・・・」


釈然としないものを感じても仕事は仕事。


部屋から退出すると連絡を取るための行動を開始した。



というわけで、久々の投稿です。一度、書いたものをこれは途中を省きすぎだと考えて書き直したり、執筆意欲が低下してしまったりで一ヶ月も経ってしまいました。申し訳ありません。

 これからも学業も再開したので更新が遅れがちになってしまいそうです。その辺、どうかお許し下さい。

 今回は物語事態はたいして進みませんでした。何だかんだ使い魔の説明や会話を書いているうちに長くなってしまったのでこういう形になりました。待っていてくださった読者様達には申し訳ありませんが、作者の力不足をお許し下さい。

 後半は王宮での出来事をエミリア視点で書いて見ました。久しぶりに使うキャラだったので口調などに違和感がある方もいるかもしれませんがお許し下さい。

 説明的な文章が多いのはこの作品の更新速度からして用語を忘れているかもしれない方々のためにこういう形にしました。読みにくいかもしれませんがご容赦下さい。

 ご意見・ご感想は随時お待ちしています。

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