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第十六話  真実と虚構を混ぜ合わせた花。

計4687文字です。

アンケートは引き続き実施中。

前回までのあらすじ。


高位精霊(亀)登場。


P.S ルル君にお兄ちゃんって呼ばれた。結構嬉しい。






待ち構えていた高位精霊と戦うことになったのだけど


「ズァ!!」


「くっ!?」


人一人を軽く飲み込みそうな激しい水流が襲ってくる。というか、こういうのは口から吐き出すのがセオリーだと思うんだけど!?色んなところから出てくるなんてせこいって!


それをかわしてもまた別方向から水流が襲い掛かってきて上体を屈めながら走ってかわすと前から来た水流を天井にナイフを投げて跳躍しナイフに括りつけていた釣り糸にぶら下がってやり過ごしてナイフを引き抜きながら着地する。


「近づけさせてももらえないのか、よっ!」


水流の隙間を縫ってナイフを投擲。


体を十分に捻ってから腕を弓のように引き絞り体全体を使い力を一気に解放し、ナイフ自体も回転させた一撃。父さん直伝の特殊投法であり僕が使えば薄い鉄くらいなら貫く威力があるんだけど、


「お硬い甲羅だことで!」


たいした傷もつけることも出来ずに甲羅に弾かれたナイフを釣り糸を素早く手繰り寄せてナイフを回収し、そこから飛び退いて上から襲い掛かってきた水流をかわす。


今度は足を狙って同じように投擲する。


「フンッ!」


突如出現した水の壁に阻まれてナイフは届かない。


というか、鉄以上の硬度の水ってどれだけの圧縮してるんだよ!


またナイフを回収して左右から迫ってきた水流をかわす。


後ろから迫ってきた水流を跳んでかわすと、更にそこに水流が迫ってきた。


「【唸れ『風打ブラスト』】!」


自分の足の裏に一発だけ発動させて破裂の瞬間に合わせて発生した力を利用して足に力を入れて空中でもう一度、跳躍してかわす。


「【出でよ、大地の昂り『地槍ランス』!」


「ヌンッ!」


前足と顎の下から三つの岩の槍を出現させたのだが、顎を狙った一撃は水の盾に防がれて、前足の裏の二つは見えないけれどダメージを受けた様子はない。


「おいおい、皮膚まで馬鹿みたいに硬いのか?」


「コノ程度ノ魔力デ出来タモノに貫カレルト思ッタカ?」


足の裏は人間でも少し皮膚が厚いからなぁ。多分、そのせいか。じゃなきゃ、顔を狙った攻撃を防ぐ理由がないからな。


着地の反動を殺さずに一気に加速して水流をかわす。


「あ〜、どうするかな?」


こんな事態になると思わないで道中、魔術の練習がてら魔術を使いまくってちゃったしゾンビをまとめて葬ったりしたせいで魔力も大分減っちゃったんだよね。


荒れ狂う水流の群れをかわしながら相手を倒す方法を模索する。


『紅雪、いけそう?』


『分かっているくせに聞くな』


『だよねぇ』


一応、自分のことだから勝てるかどうかも分かってるんだよ。


近づいたところであの水の壁を抜く方法がないんだよなぁ。気配を消して不意をうっても狙える場所は頭のみ。足じゃ致命傷を与えられない。あっちもそれは分かってるだろうから姿を見失ったところで頭を引っ込められたらアウト。


甲羅を貫ける攻撃をあればいいんだけど、そんな手札はないし衝撃を徹したとしても一撃で決められなかったらアウト。警戒されて次の手を打たれたら終わる。


やるなら一気に決める。それしか手段はない。


あくまで僕が教えてもらったのは対人用の技術だからこういう人外に対する殺人技能はない。


相手が水属性なのがせめてもの救いか。攻撃手段の幅が大幅に狭い。


水で押し潰すぐらいしか簡単に放てる攻撃はないだろう。それでも勢いと数は半端ないんだけど。


大技を使うための発動のためがあれば、その瞬間に邪魔をするつもりだ。


しかし、このままだとジリ貧で僕が不利だ。けど、僕の推測があっていれば付け入る隙はある。


さて、そうなれば僕達がすることは決まっている。というか、これしか手段がない。


勝てないなら僕達が勝てるステージまで下りてきてもらおうか。


『荒事は苦手なのですが?』


『出来なきゃ死ぬだけだよ。それに僕は信じてるし』


流石、『私』。以心伝心だね。


『その言い方は卑怯です』


卑怯で結構。


水流をかわして、後ろに大きく距離をとる。


確かにあれに通用する殺人技能はないけど、あれに通ずる手段ならある。人語を解するほどの知性があれば、心があれば十分に。


『私』の言葉に耳を傾けてもらおうか。その先にあるのは堕落のみだけどね。


頼むよ、紅花べにか


真虚混花しんきょこんか



――――――――――――――――



月君には困ったものです。


私にこんな方の相手を任せるなんてどういう神経をしているのでしょうか?


雪君もこういうときのための存在なのに役に立たないなんて。


「ム?」


ああ、入れ替わったのに気付いたようです。まぁ、気付いてもらうように月君の振りをしないでいつも通りに振舞っているのですが。


「改めまして、初めまして。偽名ですがスカーレットと申します。亀の精霊様?」


どんなときでも礼節は大切です。


「先程ハクリム、ト呼バレテイナカッタカ?」


「分かっているのでしょう?私は彼じゃありませんよ」


気配が変わったことに戸惑って様子を見ているのか狙い通り、攻撃をしてきません。しかし、こちらから手を出して攻撃の契機を与えるような愚行は冒しません。今は『お話』の時間です。


私は言葉で人を惑わす者。人によって詐欺師などと言ったりしますが、嘘だけが人を惑わす手段ではありません。真実も時として心を乱します。


ゆっくり、『お話』をしましょうか?




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「私は平和主義者なので精霊様と『お話』で事を収めたいと思っていますの」


男のはずの人間から女のような気配に突然、切り替わった。


それがいきなりこのようなことを言った。


所詮は弱き人間。我に勝つ事は出来ぬ。


最後に話を聞くだけ聞いてやろう。


「ソレハ聞ケヌ願イダ。例外ナクココニ訪レタモノニハ死ヲ与エル」


「それは何故でしょうか?」


「我ハ此ノ地ヲ護ル者。侵入者ハ許サヌ」


「あら?それはおかしいですね?」


何?


「ドウイウ意味ダ?」


「同じ穴のむじなである精霊様にそれを言われる謂れはないと思うのですが」


っ!?まさか気付いたのか!?


「我ガ汝ラト同ジダト?」


「はい。あなたもこの神殿に勝手に住み着いているじゃないですか」


「何ヲ根拠ニソンナ戯言ヲ」


「疑問点を挙げさせて頂くならまず、何故このような場所にいるのですか?」


「ココガ出口ノ前ダカラト言ッタダロウ」


「はい。言いました。だから、おかしいのです」


「何?」


どういうことだ?


「この神殿の最重要部分はここに来る途中にあった祭壇です。この神殿の守護者を名乗るならそこを護るべきではないですか?」


「・・侵入者ヲ逃ガサヌコトガ此処ヲ護ルコトダ」


迂闊。確かにその通りだ。


「二つ目の疑問点はこの神殿を徘徊している魔方陣を施された人型生命体です。これも守護者を名乗るなら排除しなければいけませんよね?」


「・・・アレハ知恵ノ無イ生物ダ。放ッテオイタトコロデ何ノ問題モ無イ」


全てに気付いたというのか!?マズイマズイマズイ!あのことを民衆に知られるわけにはいかぬ!


「三つ目の疑問点は精霊様の宿っていた杖です。何故、杖になんかに宿っているのですか?ここに初めから居た精霊様なら物に宿る必要はないですよね?」


「・・・・・・」


気付いている。ここで何があったのかも!誰が行ったのかも!!


「私が代わりにお答えしましょうか?まず一つ目の疑問点は祭壇を精霊様が重要視していないからです。精霊様が気にしているのはここの存在が知られることですよね?もっと正確に言えば、ここを調査され何があるか知られてしまうこと」


「ッ!?」


消さねば!この人間を外に出すことは絶対にならない!


「二つ目の疑問点は一つ目と同じですね。存在を知られなければ何をしているところで知ったことじゃないからです。ああ、それにある意味、彼らは侵入者じゃありませんからね。ここで生まれた、いえ、生まれ変わったと言うべきですから」


「・・・・・レ」


彼の者の名を汚すことは許さぬ!認めぬ!


「三つ目の疑問点は精霊様は元からここにいた存在ではなく、その杖の持ち主によってここに運び込まれた存在だからです。そして、ここに放置されている間にこの神殿の世界脈ラインの力に当てられて高位精霊に進化したのですよね?」


「黙レ」


我は彼の者を護る者なり!死してなおその名を護る!!


「さて、そうすると、また別の疑問が浮かびます。何故、精霊様はここを調査されたくないのでしょう?あの生命体は何なのでしょう?杖の持ち主は誰なのでしょう?」


「黙レ!」


コレは邪魔だ!排除しなければならん!!


「調査をされたくないのはあの生命体を見つけられたくないからです。では、見つけられては困るのは何故でしょうか?それは、あれがとある実験で生み出されたものだからです。では、その実験を行ったのは誰でしょうか?そう、その杖の持ち主です」


「黙レ!!」


我が主は我が護る!!


水の精霊を従え、水流で押し潰す。


しかし、敵はそれをかわす。


「杖の持ち主の名はアイエ・ゲーテス。行われた禁忌の研究は死者蘇生。そうですね?」


「黙レェ!!!」


殺す!絶対にこれは殺す!!


水流を更に荒々しく襲い掛からせるが、そのことごとくがかわされる。


「勇者を、恋人を失った悲しみに耐えられなかった彼女は人から隠れ、ここで禁忌とされている死者蘇生の研究を始めました。そして、その成果があの人型生命体なのでしょう?」


「黙レェェェェ!!」


手加減など知らぬ!!一気に押し潰す!!


水の精霊達を集める。


「クスッ。『お話』は終わりです。理究造月りくぞうげつ


敵の気配が元に戻る。


「上出来。流石、紅花。【雷光の加護よ、ここに『雷装アーム』】」


死ねぇ!!


「『巨人呑み込む大波(タイラントウェーブ)』!!」


死刃血雪しじんけっせつ!」


我の意思に従い、高さは天井まで届き幅は部屋の幅一杯の津波を発生させる。


回避は不可能、殺った!!


「シッ!!」


鋭い呼気と共に津波を突き破って雷を纏ったナイフが回転しながら我の頭を目がけて飛んでくる。


「ヌウッ!?」


巨人呑み込む大波(タイラントウェーブ)』で少なくなって水の精霊達をかき集めて、『水盾ウォール』を作り出す。


その雷に込められた魔力は相当なもので『水盾ウォール』を突き破られたが、それで力を失い地面に落ちる。


最後のあがき、か。あぶな


「安心するのは早い」


上を見上げれば水に濡れながらも雷を纏って天井に両足をつけている鋭い雰囲気を持つ奴の姿。


しまった!!


「眠れ」


天井から勢いよく跳躍した奴の雷を纏う足が脳天に振り下ろされる。


「グァッ!!」


まだだ!負けるわけにはいかぬ!!


しかし、無慈悲にも着地した奴は逆の雷を纏う足を反動を殺さぬまま我の顎を目がけて蹴り上げた。


落ちていく意識の中で見たのは手でバランスをとる奴と、死んだはずの優しき頃の主の幻だった。



頑張ってみました。まぁ、こんな感じになってしまい、納得がいかない方もいるかもしれませんが私の文才ではこれが限界ですのでご勘弁下さい。

 そんなわけで三つ目の人格、女性人格、紅花べにか登場。紅雪が父親の技術を継いでいて、彼女は母親の技術を継いでいます。詐欺師というのも間違っていませんが、母親と紅花の本質は人を惑わすことにありますので今回は知られたくない真実を暴く形で動揺を誘い、精霊の視野を狭くしました。次回の本編にも書きますが実は少し意識誘導や暗示もかけていてそういう風に仕向けたんですけどね。

 後半、精霊視点にして会話文は前回と同じにしましたが地の文は見にくいので普通の表記にしました。混乱するかもしれませんがご容赦下さい。

 今回は一応、全部戦闘シーンのつもりで、相変わらず表現が下手で戦ってる部分がうまく伝わらなかったかもしれませんが許してください。

 ご意見・ご感想のほうは随時お待ちしています。

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