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第十四話    不審者には気をつけよう。

計4790文字です。

アンケートは引き続き実施中です。

前回までのあらすじ。


ルル君、失踪。


P.S 釣果、アイエフィッシュ六匹。







レイラちゃんが慌てて僕のところまで戻ってきてルル君がいなくなったとパニックになっていた。


とりあえず、落ち着かせてからルル君が消えたという場所までやってきた。


「ここです!」


「見た感じは何の変哲も無い場所だけど」


周りを見渡しても特に不自然な点はない。


「ルル君はそのとき何かしてた?」


「えっと、確か、しゃがんで地面をいじっていました」


地面、ね。


しゃがみこんで地面を調べてみるが特に変なところのないただの地面だ。


ん?これは・・・・・・。ごく僅かだけど血の跡かな・・・・・・。


「もしかしてルル君、転んでたりしなかった?」


「わ、分かりませんけど、走ってたので転ぶことはあると思います」


・・・・・・ものは試しか。


親指を噛んで血を出すとその指を地面に押し付ける。


すると、地面の上に四角形の枠とその内側にバラバラの模様が浮かび上がってきた。


枠の一部には小さな四角形の隙間があった。


「これは?」


「パズル、かな」


隙間の下の模様に指を添えて上にある隙間に動かすとその近くの模様がスライドして隙間に収まり、動かした模様があったところは四角形の隙間になる。


「地面をいじってたのはこれをやってたからか」


喋りながら次の模様を動かす。


「何でいきなりこんなものが?」


「多分、血に反応したんじゃないかな。血っていうのは魔力を濃く宿してるものだしエネミーでも血が素材になるやつがいるくらい魔術的には触媒になりやすいものだからね。そうするとルル君には潜在的に才能があったのかもしれない」


ここだけに出現するのか、それともこの湖の近辺ならどこでも反応するのかは検証してみないと分からない。


「ルルはこういった遊びは得意でした」


「まぁ、興味が出るのは仕方のないことか」


あっという間にあと一つ動かせば完成するところまできた。この程度の遊びは余裕で解ける。頭のトレーニングとかほざいて居候が無駄に頭脳をフル活用して作られた馬鹿みたいに難しいパズルを解かされたことが何度もあった。・・・・・・時限爆弾をつけるな、あの馬鹿。


「じゃあ、これを完成させるけど何があるか分からないから離れて」


「私も行きます」


「危ないかもしれないよ?」


「それでもルルが心配ですから」


「・・・・・・分かった。じゃあ、行くよ」


指を動かし模様をスライドさせる。


模様が全体で整った形を示し、一瞬明滅すると僕らの足元に魔法陣が展開され、それが光ったかと思うと眩い光に眼をつぶってしまった。




光が収まったのを感じて眼を開けると、そこは石で作られた建物の内部だった。


「ここは?」


レイラちゃんが辺りを見渡して驚いている。


僕が足元に眼を向ければ、魔法陣の中心に立っていることがわかった。


転移系の魔法陣か。ん・・・・・・、魔力を流してみても反応はなし。ということはこれを使っての脱出は無理みたいだ。時間があれば詳しく調べたいところだけど今はルル君のことが優先か。


「とにかくここの何処かにルル君がいるはず。早く探そう」


「そうですね」


その部屋を出て通路に出ると壁も床も天井も石で出来ていて、それらの石が青白く僅かに発光してるおかげで何とか視界が確保されていることに気付いた。


一応、採集しておくか。


ナイフで壁を削って石を採集する。


照らされてはいるが常人には薄暗いこの中では僕は暗闇でも眼がきくのであまり問題はないけど、レイラちゃんは足元に注意しないと時々転びそうになる。


「ルル〜!!いたら返事をして!!」


レイラちゃんが叫びながら歩く。


「【我が呼び声に応えよ『風声ソナー』】」


僕は『風声ソナー』を発動して風で索敵をする。


そんなに入り組んだ作りをしていないため順調に進んでいた。


「ん?」


ある程度歩くと『風声ソナー』の範囲内に反応があったのだが、何か違和感を感じる。


「レイラちゃん、僕の後ろに下がってて」


レイラちゃんは素直に従って僕の後ろにつく。


さて、何が出てくる?


僕の気配探知領域まで入ってきたことで違和感が更に強くなる。


角を曲がるとそこにいたのは男性だった。


「人?こんなところに?」


いや、違う。


レイラちゃんの言葉を心の内で否定する。


こっちに気付くとそれはこっちに走ってきた。


あれは普通の人間の眼じゃない。


「【我が従えしは炎『炎撃ファイヤ』】」


三発の炎がそれに襲い掛かり、命中する。


「クリムさん!?」


レイラちゃんが驚いているが、無視する。


前を見ているとまるで何事もなかったかのように人の形をしたそれは燃えながらこっちにやってきた。


だったら、これでどうだ。


ナイフを構えて、それに接近をするとそれの腕をかわして両脚を切断する。しかし、何故か血が吹き出ない。


倒れ落ちてきた上体を蹴り上げて宙に浮かせる。


「【暗きより出でて従え『黒形トランス』】」


浮いた上体の下に『黒形トランス』を出現させてそこから黒い腕を出現させて天井におしつける。


天井に押し付けられた人型のそれはおかしな声をあげるばかりで痛がる素振りも見せない。


「く、クリムさん。あれはいったい?」


「さぁ?とりあえず、【冷たき刃よ『氷貫ニードル』】」


一本の氷の矢がそれの心臓部分を穿つ。


「人間ではないみたいだ」


しかし、それでもそれは生き続けていてもがいていた。


「ゾンビ、か?そんなものがいるなんて本にはなかったけど」


「し、新種のエネミーでしょうか?」


流石に人型のそれが致命傷を負いながらも不気味な声を上げて動くのは気味が悪いらしい。


「いや、黒い霧を持ってなかったからそういう生き物なんだろうね」


しかし、生命力が異常だな。人型である以上、心臓部分は急所だと思うんだけど。


「【奔れ『風刃カット』】」


「ひっ!」


風の刃で首を落とす。首を落としても胴体は動き続け、頭は声を発し続けていた。


よく見れば切り落とした足も床に転がっているけれど動いている。


黒形トランス』を解除して胴体を落とし、胴体が丁度いい高さにきたところで腕を振るって両腕も切断するが、それでも各部位は動いている。


それを見ながら胴体についている衣服を剥いで、体を調べると背中の中心部分に魔法陣が刻まれていた。


これが核か。


それにナイフで斜めに傷をつけるとやっと動きが止まった。


「・・・・・・実験生物か?いや、それだと野放しにしている理由が分からない」


「く、クリムさん?」


「思った以上にここはまずそうだ。知能は低そうだし動きもそんなに速くないのがせめてもの救いか」


ルル君が生き延びてるといいけど。


「早くルル君を探そう。恐らくこれの他にも複数同じような奴がいるはずだから早く見つけないと危ない」


「そんな!?」


ちっ・・・・・、戦いの気配を嗅ぎつけてきたか。幾つかの気配が近づいてきてる。


「ちょっとゴメン」


「え?キャッ!」


足払いをしてお姫様だっこで抱き上げる。


他意は特にない。これが一番効率的なんだ。


「少し揺れますからしっかり捕まって」


「え?え?ひぁ!?」


レイラちゃんを抱きかかえたまま走り出して角を二回曲がるとさっきと同じような人型、仮称ゾンビでいいか。それが三体いた。


そんな鈍重な動きで僕を捕らえられるつもりか?


「ふぇ!?」


一番手前のゾンビの前で勢いを殺さないまま斜め前に跳躍、壁に両足をつけて更に跳躍、二体目のゾンビの頭を踏み台にして前方に跳躍して三体目を抜き去り、後ろを向きながら着地をして前方にゾンビ達の後ろ姿を視界に収めながら後ろに走る。


「【奔れ『風刃カット』】」


三つの『風刃カット』がそれぞれのゾンビの背中の中心部を切り裂く。


それを受けて、一体が崩れ落ちるが二体は何事もなかったかのようにこちらを振り向く。


背中に核を置かれていない個体もいるのか。


相手にしている暇があれば、それぞれ殺すけど今はルル君のほうが優先なのでゾンビに背を向けて前方に走り出す。


ルル君、無事でいてくれよ・・・・・・。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



こわいこわいこわいこわいこわい。


どうしてこんなことになっちゃったんだろ?


下をみれば僕に手をのばしてくる人がいっぱいいる。


おねえちゃんから走ってはなれていって、ころんだところで何かおもちゃみたいなのがあったから遊んでたら、いきなりピカッてなっていつのまにかしらないところにいて、何だかこわくなっておねえちゃんをさがしながら歩いてたら変な人がいて、よくわからないけど何だかこわいかんじがしたから逃げてたら変な人がいっぱいになって、大きなお部屋に入ったらいろんなところから変な人がでてきて、お部屋の真ん中にあるかいだんをのぼってその上にある台の上にのっかった。


「く、くるなぁ!」


おねえちゃんからもらった小さい剣をふりまわしたり、足でけったりして変な人の手をとおざけてるけど、かいだんからおちても小さい剣できずつけても何回も僕のほうにむかってくる。


こわいよこわいよこわいよこわいよ。


たすけて、おねえちゃん。たすけてよ。


「たすけて、おねえちゃん」


「ルル!!」


おねえちゃんの声がして変な人が入り口のところにいた何人かがたおれた。


「邪魔だ!【唸れ『風打ブラスト』】!」


僕のまわりにいた変な人が大きな音がしてとんでいった。


おねえちゃんはあいつにだきついて、あいつは変な人の頭を何回もふんですぐに僕のところまできた。


「ルル!大丈夫だった!?」


おねえちゃんがあいつからはなれて僕を抱きしめた。


「う、ん・・・・・・」


泣きたいけど、がんばって泣かない。おねえちゃんにしんぱいをかけたくないから。


「ざっと30かな?これ全部を片付けるのは骨が折れそうだ」


「大丈夫ですか?」


「疲れるってだけで、不可能じゃないよ。レイラちゃんはルル君をよろしく」


おねえちゃんに抱きしめられて見えないけど、あいつとおねえちゃんが話している。


「少し派手に行くか。まずはあんたたちはここから降りてもらおうか。【暗きより出でて従え『黒形トランス』】」


何かがいっぱいおちる音がした。かいだんから落ちたのかな?


「さぁ、僕の魔力をたくさんくれてやるよ。【出でよ、大地の昂り『地槍ランス』】!!」


あいつの声と同時に地面がゆれた。


「・・・・・・やっぱり燃費が悪いな。初級でこれだけ魔力を注ぎ込むなら中級の術を使ったほうがいいか」


「すごい・・・・・・」


あいつの声とおねえちゃんの驚いた声が聞こえた。


何とかおねえちゃんのうでからはなれて、まわりを見てみると変な人達は地面から生えているとがった岩にささっていた。


同じようなことがかいだんの下にいっぱいあって、みんなとがった岩にたくさんさされていた。


「【癒しを恵みたまえ『小光癒ファーストエイド』】」


光が僕をつつんで少しだけいたかったキズが治っていった。


「大丈夫だった?」


そう言って声をかけてくるあいつに前にキズを治してもらったときははお礼を言わなかったけど、


「あり、がとう」


今度はちゃんと言えた。


助けてくれて、ありがとう。


調子に乗って二日連続で投稿してみました。今回、後半部分をルル視点にしてみたので幼い子っぽい雰囲気で文章を書いてみたので読みにくかったかもしれませんが、どうかご容赦下さい。

 ちなみに『地槍ランス』の結果、小規模な針の山地獄みたいなことになっているのですが伝わったでしょうか?相変わらず戦闘シーンは苦手なので分かりにくいかもしれませんが、出来る限り頑張りますのでよろしくお願いします。

 ご意見・ご感想のほうは随時お待ちしています。

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