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涙目バレンタイン・デイズ

作者: 皿尾 りお

「はい!チョコレート!」


今日は、バレンタイン・デイ。


僕は、彼女からのリボン付きの可愛い包装紙を、幸せいっぱいに開けた。


・・・・・・・・


えっ・・・・・??


・・・・・・・・


ええ〜〜・・・・・??


・・・ま、まあ、確かにチョコレートなんだけど・・・


で、でも、なんか、良く近所のスーパーとかで売っているような、おかあさんから貰うようなチョコレート・・・・いや、ただのチョコなんですけど・・・・


「・・・・どうかした?」


と、彼女は嬉しそうに僕を見る。


「え!?・・・あっ、なんか、嬉しくて・・・」


僕の手には、安っぽい銀色の包み紙に包まれた小さなチョコがいくつも詰まった安っぽいビニール製の箱が握られていた。


「食べて、食べて!」


彼女が嬉しそうに言うから、僕は、


「・・・・ん、ああ・・・」


と言い、一つ、銀色の包み紙を開けて、食べた。


・・・・・普通のチョコだ。・・・うん、いたって普通のチョコだ。


・・・・あ、ヤバイ・・・なんだか、泣きそうになってきた。


なんだか、涙目になってきた・・・・もう、泣こうかな・・・?


なんだか、涙目のせいで、彼女がぼやけて見えるよ。


すると、彼女は、


「おいしい?おいしい?」


と、瞳をランランとして聞くので、僕は、精一杯、取り繕って、


「・・・ああ、おいしいよ!」


と答えた。すると、彼女はさっきまでとはうってかわって、幸せそうに、ホントに幸せそうに微笑みながら、


「・・・・バ〜カ!そんなの、おいしいわけないじゃん・・・・こっちがホントのバレンタインチョコレート・・・・手作りだから、あんまりおいしくないかもしれないけど・・・」


と、手作りの包装紙に包まれた手作りの箱に入った、手作りのチョコレートを恥ずかしそうに僕に手渡した。


僕は一瞬、放心状態だった。


「もうっ!そっちのスーパーで買ってきたチョコレートはダミーチョコレート!それは、私が食べるの!あなたは、私が作ったチョコレートを食べるの!」


と彼女に言われるがまま、僕は手作りチョコレートを食べた。


「ま、まずい・・・・」


と言った途端に、幸せな気持ちがどうしようもなく湧き上がってきて、僕は、彼女に背を向けた。


彼女は、多分、声の感じからして、半分にやけながら、


「おいしい?おいしい?」


と聞いてくるので、僕は、


「だから、まずいって!」


と、半分、涙声で答えた。







いつも、こんなのばかりだった。


いつも、彼女は僕を涙目にさせた。


どうやら、彼女は僕を涙目にさせる天才だった。







だから、僕が彼女を街で見かけたとき・・・


知らない男と腕を組んで楽しそうに歩いているのを見かけたときも・・・・


僕にとっては涙目くらいでちょうど良かった・・・・




だって、目で見えるものが多すぎるから。



彼女の微笑みを見るとき、僕の目は涙目くらいでちょうどいいから・・・・





最近、ホント、ヤバイです。恋なのかな〜?

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― 新着の感想 ―
[一言] 実話ですか? 展開が生々しくて・・・。
[一言] 久しぶりです♪ とっても良かったです♪ 涙目って何だろって気になって最後まで読ませちゃう所が、上手だなって思いました。
[一言] こんどは連載が読んでみたいです。私も書店と周りの人々と私をかいています。連載よろしくお願いします
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