第三十二話
ルシアと同じ部屋にされてしまったハヤト。
ユウジに文句を言いに来たのだった。
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「おい、ユウジ!」
「おー、ハヤト、礼には及ばないぜ?」
俺がユウジの部屋に怒鳴り込むと、ニヤリと笑いながらそう答えた。
俺の気持ちをわかっててあえてそういってきたのだ。
「アホか! 何考えてんだよ!」
「何って、せっかくのチャンスだろ? ここは一つ、男を磨いてこい」
ユウジは小声でそう耳打ちしてきた。
こいつはどこまで本気なのかがわからん。
「あのなあ……俺が良くてもルシアが嫌がるだろうが。それにアカネやケイコたちもいるんだぞ? お前だってレイケツと同じ部屋なんかにいたら疑われるんじゃないか?」
「あー、それもそうだな。よし、建前上は俺とハヤトが同じ部屋ってことにしておこうぜ!」
俺が必死に抗議するも受け流すように提案された。
問題はそこじゃねえ!
「ふふ、ハヤトくん、大丈夫よ。ルシアちゃんだって、そろそろ心の準備くらいできてるはずだから」
「ちょっとまてえええ! 教師ならそこは止めろよ! おい、親子そろってアホなのかよ!」
もういやだこの親子。
いやまあ、俺があまりにも消極的だから無理にでもくっつけようっていう気遣いなのかもしれないが。
それにしたって余計なお世話すぎる。
「まあいいじゃねえか、一泊だけなんだしさ。つーか同棲してるのに今更何言ってんだよ。それとも部屋が一緒だと何か問題があるとでも?」
「普段は部屋は別々だっつーの! あーもう、俺はどうすれば……」
ユウジは一向に折れる気配がない。
こ、こうなったらルシアに直接抗議してもらうしかないな。
「なあ、ルシアからも何か言ってやってくれよ」
「え、わ、私は別に同じ部屋でも構いませんけど……、そんなにイヤ、ですか?」
俺の後ろで押し黙っていたルシアに振ると意外な答えが返ってきた。
え、俺と同じ部屋でいいの?
それってつまり……?
「え……!? い、イヤじゃないけど、いやむしろ嬉しいけど! あ、いや、そうじゃなくて。だってほら、えっと、その……」
「ほらほら、ルシアちゃんもイヤがってないじゃん。よし、三対一の多数決で決まりだな!」
俺は素っ頓狂な声を上げながら、あたふたと一人で焦っていた。
そんな俺を見てユウジもレイケツも終始ニヤついている。
くそう、この親子、俺の慌ててる様子を見て楽しんでそうだ。
「ま、まあルシアがいいならそれでいいけどさ」
慌ててばかりなのも情けないしカッコ悪いので少し落ち着いてみせた。
俺は何を必死になってたんだろう。
そうだよ、ただ同じ部屋に泊まるってだけじゃないか。
うんうん、別に何かあるってわけでもないし。
これじゃあまるで俺が何かしようとしてたみたいじゃないか。
「なんかこの部屋暑いな、ちょっと涼んでこよっと」
俺はパタパタと手で顔を扇ぎながら、部屋から出ていくのだった。




