表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/66

第三十話

 ハヤト、ルシア、ユウジ、レイケツの四人は土日に温泉へ行くこととなった。

 レイケツの運転する車の中で会話するハヤトたち。


---


「しかし、いくらなんでも急すぎやしないか? 当日誘うなんてどうかしてるよ」

「どうせ暇してたんだろ? ならいいじゃん。ルシアちゃんだって、ハヤトの家でのんびりオンラインゲームばっかりじゃ飽きちゃうだろ」


 ユウジは助手席からちらちらと後ろを見ながらそう言ってきた。

 確かにゲームばかりなのは問題だな。

 ルシアも何をしたいかもう少し言ってくれればいいのに。

 他人任せにしてる俺のせいでもある、か。

 俺が男らしく誘ってやるべきだったのだろうか。


「ふふ、ユウジったら本当はハヤトの妹が目当てだったのよ? 忙しくてこれないみたいだけど」

「あー、なんだそっちが本命かよ。ユズは早くに友達とどこかに遊びに行ったぞ、残念だったな」


 なんだよ、ユウジのやつまだ妹のことを諦めてなかったのか。

 ユズは別にユウジのことを何とも思ってないのにな。

 いや、まだ安心するのは早いか。

 ユウジがレイケツの子ってことは、当然手が早いかもしれん。

 兄として妹をしっかりと守ってやらねば。


「ところで、温泉ってなんですか?」

「え、異世界には温泉ないの? でっかい天然のお風呂みたいなもんだよ」


 ルシアが首をかしげながら聞いてきた。

 はて、異世界には温泉がないのだろうか?

 それともルシアが箱入り娘だから知らないだけ?


「あら、異世界って何のことかしら?」

「え、あ、そ、それは……」


 あ、しまった。

 レイケツもいたのについ。


「ふふ、冗談よ。話は全部ユウジから聞いてるわ。安心しなさい、ネッケツには言わないから」


 このクソ教師がああああ!

 いちいち俺をからかうんじゃねえよ!

 そういやルシアが来た初日もからかってきたな。

 あの思わせぶりの発言のせいで、どれだけ胃を痛めたことか。


「にしてもお金は本当にいいのか? 俺今月は無一文だぜ?」

「ふふ、そのくらいは私が面倒を見てあげるわ、口止め料ってところかしらね?」


 ユウジのことをばらすなってことなのか。

 今月はルシアの服を買って金欠だったから助かるけども。

 そういえば、ルシアはあの時買った服だな。

 うんうん、すごいよく似合ってる。


「ところでハヤトはもう少しマシな服なかったのか? ルシアちゃんに比べて見劣りするぞ?」

「ほっとけ」


 対して自分の服は安物しか持ってない。

 デートとかそういうの全然想定してなかったし。

 あれ? 今日のは、別にデートではないよな?

 ユウジやレイケツだっているわけだし。


 まあでも楽しみだな。温泉なんていつ以来だろう?

 中学のころに親が離婚してから、家族旅行なんてしてなかったしなあ。

 おっと、そんな暗い過去のことは今はなしにしよう。

 せっかくの温泉旅行だ、楽しんでいこうじゃないか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ