番外編5
ハヤトの妹視点です。
ハヤトが異世界に行ってるときのお話。
ハヤトが異世界に行ってから三日目の出来事。
ハヤトの部屋からケータイの着信音が鳴り響いていた。
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「もー、何度も何度もうるさいなあ!」
お兄ちゃんの部屋に行くと、ケータイが机の上にそのまま放置されていた。
どっかでかけるならケータイくらい持っていけばいいのに、全く。
ケータイを手に取ると、もう電話は切れていた。
誰からなのだろう。
こんなに頻繁にかかってくるということは、彼女か何かなの?
気になる。
ものすごく気になる。
「ダメダメ! 人のケータイを勝手に覗くなんて悪いわ!」
そう言い聞かせながら、ケータイを元の机と戻す。
そして、自分の部屋へと戻ったのだが――。
やっぱり気になってしまう。
それに、お兄ちゃんがいなくなった理由が何かわかるかもしれない。
「ちょっとだけなら、いいよね」
そう言い聞かせながら、ケータイを開いて着信履歴を確認する。
ほぼ一人の名前で埋め尽くされていた。
その相手の名はユウジ。
なんだ、彼女じゃなかったんだ。
ほっとするような、逆に不安になるような、妹としては複雑な心境だった。
そして、気付いたらユウジに電話を掛けていた。
「も、もしもし? ユウジさんですか? 私、ハヤトの妹のユズと申します。失礼ですが、お兄ちゃんがどこへいったかご存知ないですか?」
「おー、ハヤトの妹か! それがさー、俺もわからないんだよ。何かあったのかと思って何度も電話してるのに一向に出なくて心配してたところだ」
べ、別にあたしはお兄ちゃんのことを心配してたわけじゃないんだから!
ちょっと気になっただけなんだからね。
「そ、そうですか、何か心当たりはありませんか?」
「うーん、特にないなあ。変わった様子も特になかったし。強いて言うなら、いなくなる前日のメールのやり取りくらいだが……まあ関係ないだろうな」
ユウジとの電話を終え、ケータイを片手にしばし考える。
メールのやり取り……?
そこに何か隠されたヒントがあるの?
さすがにメールまで見るのはまずいよね。
ケータイを元の机の上に戻し部屋に戻った。
ベッドで横になりながらも、メールのことが頭から離れない。
一体、どんなやり取りをしていたのだろう?
お兄ちゃんが傷つくようなことでも書かれていたの?
それとも別の何かが?
「もう勝手にいなくなったお兄ちゃんが悪いんだからね!」
そう独り言をつぶやいて、メールを見ることにした。
こ、これって……。
『よー、ハヤト。今日はログインしないのかー? 何やってんだ? もしかしてアレなサイトでも見てるのかー?』
『見てねえよ! つーか、まだ未成年なんだからそういうのはまずいだろ!』
『なんだ、意外と真面目なんだな。年齢確認なんて飾りみたいなもんなのに』
『なんだよ、ユウジはそういうサイト見てるのか?』
『お? なんだ興味あるのか?』
『い、いや……聞いてみただけだから! 別に興味あるわけじゃないから!』
『素直じゃないなあ。見たいなら見ればいいのに』
『いやさ、だってそういうのってウィルスとか架空請求とか危ないんじゃないのか?』
『あー、まあ中にはそういうのもあるかもしれないな。でもそんなのほんの一部だろ』
『マジか! じゃ、じゃあおすすめなサイトを教えてくれよ』
『なんだ、やっぱり興味あるんじゃないか、うーん、どうしようかなあ?』
メールはそこで終わっていた。
あ、アホくさ……。
なんなのよ! これのどこがヒントなのよ!
バカなの? 死ぬの?
「お兄ちゃんもそういうのに興味があったのね……」
じゃなかった、これが家出の原因?
ユウジに茶化されて、恥ずかしくなり家出?
そんなバカな話があるの?
結局、お兄ちゃんがいなくなった理由はわからないまま時は過ぎていくのだった。
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そして、その夜。
兄のPCの履歴を探る妹の姿があったのはここだけの話である。




