表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/66

第二十三話

 ハヤトは今日もまた眠れぬ夜を過ごしていた。


---


 はあ、眠れねえ。

 さすがに風邪でダウンしてたとはいえ昼間に寝すぎたか。

 いや、それもあるが風呂での光景が目に焼き付いているのが原因かもしれない。

 偶然とはいえあんなものを見てしまったら興奮して眠れなくなるってもんだ。


 しかし、しかしだ――。

 そのせいでルシアに嫌われたかもしれない。

 なんてことをしてしまったんだ。

 そんなつもりじゃなかったのに。


 過ぎたことはもうどうすることもできない。

 俺はこのままムッツリというレッテルを貼られたまま生きていかねばならないのだ。


 はあ……。

 こんなんじゃとても告白どころじゃないよ……。


 あー、もう眠れねえし、ウジウジ考えるのも面倒だ。

 気分転換にオンラインゲームでもやるか……。


≪あれ? ハヤトがこんな時間にログインするなんて珍しいな≫

≪おう、ケータこそもう1時過ぎなのにまだやってたんだな≫


 俺がログインすると、ケータがまだインしていた。

 そして、チャットで声をかけてきたのだ。

 ケータはオンラインゲームの友達フレでいつもよく一緒に遊んでいる。

 直接年齢を聞いたことはないが、同い年かちょっと上くらいだと思う。

 ユウジ以上にスケベなやつなんだが、よく俺の相談相手にもなってくれている面倒見のいいやつだ。

 

≪なあ。三日前のあれ、どうなったんだ? ほら例の好きな子に告白するって言ってたやつ≫

≪あ、あー。あれか……振られたよ。そりゃもうこっぴどく! トラウマが残るくらいに≫


 そう、告白する勇気をもらったのもケータのおかげでもある。

 俺が悩んでると、言わないで後悔するより言って後悔するほうがいいと後押ししてくれたのだ。


≪あちゃー、そうだったのか。俺が告白しろっていったばかりにすまなかったな≫

≪いやいや、ケータのせいじゃないって。それに今はそれどころじゃなくなったし……≫


 そう、問題なのは告白後だ。

 まさかルシアが異世界から現れるなんて思いもしてなかったわけで。

 俺はアカネのことよりルシアのほうが気になっちゃってるわけで。

 それが原因なのか、ルシアとアカネがものすごく険悪だったりするわけで。


 俺はこれまでの経緯を軽くケータに打ち明けた。


≪ほー、三角関係ってやつかあ。いやあ青春してるねえ。モテないっていってたわりに大人気じゃん≫

≪いやそれが俺にもよくわからないんだって。実際、俺のことを好きなのかどうかもわからないし≫


 そう、ルシアもアカネも俺のことをどう思ってるのかがわからない。

 アカネは俺の事を振ってるという事実がある。

 ルシアにだって昨日の一件で完全に嫌われたかもしれない。


≪それなら、直接聞いてみるしかないんじゃないかなあ? それで今はそのルシアって子のほうが好きなのかい?≫

≪うーん、俺も自分のことなのによくわからないんだよ。それでつい流されるままになって二人を傷つけてるのかも≫


 そう、俺がはっきりしないせいでもある。

 しかし、直接聞くってのはやっぱり怖いな。

 面と向かって嫌いです! なんて言われたら立ち直れないかもしれない。


≪直接がダメなら、間接的に探りを入れてみるとかはどうかな? なんなら今寝てるとこに突撃して襲っちゃうとか≫

≪それのどこが間接的なんだよ! まあ、少し遠回しに聞いてみるしかないかあ≫


 でもどうやって聞けばいいんだろう?

 そもそもこんなのんびりしてる時間はあるんだろうか。

 ルシアがいつ異世界に帰るかは未だにわからないままだ。


 ――内心、俺は少しばかり焦っていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ