第十話
チャイムが鳴り、教室に担任のサクマが入ってくる。
そして、ルシアを前に呼びみんなの前で紹介するのだった。
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「えー、突然だが今日からこのクラスに転校生がやってくることになった! 記憶喪失のルシアだ。みんな仲良くしてあげるんだぞ!」
「え、えっと記憶喪失ということになったルシアと申します。よろしくお願いします」
ちょ、ルシア! その言い回しはまずいだろ。
名を名乗るだけで良かったのに。
俺があれこれ注文つけたから混乱したか、ぐぬぬ。
早くも雲行きが怪しい。
と思ったら意外とクラスの連中にはウケていた。
ネタだとでも思われたのだろうか。
それはそれで問題だ、記憶喪失なのは嘘だけど、ネタではないぞ。
「よし、挨拶は済んだな。ルシアはハヤトの隣に座っていろいろ教わるといい。教科書とかはあとで先生が用意しておくから」
ぐ、俺を名指しで強調しないでくれ。
まぁもうルシアと知り合いってことは隠せないだろうし問題ないか。
なんだかアカネの視線が痛い、気がする。
気のせいだよな。俺のことなんて気にしてないよな。
「ハヤトくん、ちょっと話があるんだけど」
ホームルームが終わるとアカネがこっちに来て話しかけてきた。
な、なんだろう。やっぱり昨日のことだろうか。
それとも別の何かだろうか。ルシアのことで何か気になることでもあったか?
ルシアが不思議そうに見守る中、腕を引っ張られ廊下のほうに連れて行かれる。
「なんだよ、話って教室じゃ言えない話なのか? 昨日のことだったらもう忘れてくれ俺が悪かった」
「は、悪いってなによ。冗談だったわけ? 私、あのあと真剣に悩んだんだからね」
え、ええええええええええええええ!?
いや、まておかしいだろ。即答で振っておいて悩むってどういうこと?
いや、まだ悩んだって言われただけだ。
落ち着け、落ち着くんだ。
「あ、いや本気だったよ、うん、でももういいんだ」
「どういう意味よ! やっぱり私の気持ちをもてあそんでたんだ?」
ん、なんか怒ってる?
どうなってるのこれ。俺なにかまずいこと言った?
ダメだ理解が追い付かん。
「何をいってるかようわからん。授業始まるしそろそろ教室戻るぞ。落ち着いたらまた聞くから、な?」
俺がそういうと、アカネは怒ったように足早に教室に戻っていった。
ちょっと頭が混乱してたからああ言ってしまったがまずかったかな。
でもなんで怒ったんだろう?
やっぱりあれか、告白しておいて他の子と仲良くしてるのを見て怒ったってオチか。
それ以外にアカネが怒る理由なんてないよな?
あ、俺も人のこととやかく言えないな。
きっちり最後までアカネの話を聞けばよかった。
俺には女心はさっぱりだ。
それにしても俺の平凡な高校生活はどこへいってしまったんだー!




