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互いの手は一つの模様

作者: 一河善知鳥
掲載日:2007/02/11

「結婚しよう」


「やだ」


「うん。…三十七…」


「三十八だよ」


「いったい何回言えば結婚してくれるわけ?」


「それ、回数じゃないっていつも言ってるでしょ」


「じゃあ、なにさ、花束やら、給料三か月分のエンゲージリングやらを持ってくればいいの?」


「あと場所ね。あたし、試着し終わった瞬間にプロポーズされた経験ってないのよ」


「そっちのが思い出になるじゃんか」


「そんな思い出いらないし!」


「じゃあ、やっぱ夜景の見える場所とか、憧れちゃってるの?」


「そうそう」


「べた」


「いーじゃん! 少なくともここよりは! ここ、店員さんだっているし、他のお客さんもいるんだよ?」


「…つぅかさ、その服似合ってんなー」


「え?」


「買えよ、それ。すっげーかわいい」


「買って?」


「…うん」


「って、うそだよ。君、給料前じゃん」


「なら、ちょっと待ってろ、ココで」


「え? なんでよ、ってちょっと―…」



a few minutes later...



「あぁー…疲れたぁぁぁ」


「ね、どこ行ってたの?」


「一階の、ATMんとこ…。エレベーター来なくてさ、でも階段なんて使うもんじゃねぇなー。歳だよ、これ、完璧に」


「大丈夫? 酸素、足りてる?」


「まぁー、大丈夫…。それより、ほら、お会計」


「あ…うん。…いいの?」


「いーの。 すいませーん、これください」


「はい、ただいま。……えーっと、一点で二万八千円になります。…三万円からお預かりいたします」


「ねぇ、なんか…」


「ありがとうございましたー」


「何?」


「なんか……ごめん」


「なーんでよ、かわいくってごめんなさいってか?」


「違うよ、そうじゃなくって…」


「…なぁ。結婚、しよっか…?」


「……………。…はい。お願いします」

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― 新着の感想 ―
[一言] 印象的にはほのぼのあっさり系で、とてもよかったです。 ただ、最初の方の「やだ」「うん」の受け答えはもっと他の返事の仕方がよかったかなって思いました。 執筆頑張ってください。
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