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小説『虚空のバベル』1

作者:三澤賢司
最新エピソード掲載日:2026/10/12
欧米の巨大テック連合が展開するデジタル空間「SpaceNode」では、仮想の「土地」が数十億円で取引され、それを担保にした証券化商品まで世界中に売られていた。日本からも、数十兆円規模の資金が既存の銀行を素通りして流出している。東洋中央銀行の常務・白石崇は、この「虚空のバブル」が日本の金融を飲み込むと危機感を抱き、金融庁長官・日野健一に「防衛戦」を持ちかける。
白石の策は、預金債権そのものを流通させる「トークン化預金」を決済基盤とし、デジタル土地の権利と賃料債権を信託銀行へ信託譲渡して倒産隔離するというものだった。信託の専門家・神崎の賛同を得た白石は、保守的な役員会で融資担当の鬼塚と激突する。「実体とは何か」と問う白石の熱弁に、副頭取の黒岩は「プロジェクト・バベル」を承認するが、三ヶ月以内に成果を出せなければキャリアは終わりという条件を課す。夜の屋上で白石は、これが現代のバベルの塔かもしれないと感じつつ、崩壊を防ぐ「楔」を打つ決意を固める。
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