↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壊れそうな心を抱きしめて  作者: 鈴本 凜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/3

プロローグ

プロローグ


――カランカラン。


「いらっしゃいませ」


扉を開けると、ふわりとコーヒーの香りが漂ってくる。


そして、マスターの声。


「こんにちは。いつもの席、空いてますか?」


マスターに尋ねると、奥の窓側の席を手で示しながら、


「空いてますよ」


と案内してくれる。


窓際の席。


木の香りとコーヒーの香りが漂うこのお店で、一番日当たりのいい席。


「ご注文はどうされますか?」


「……今日もおすすめでお願いします」


そう答える。


「かしこまりました」


マスターはカウンターへ向かうと、カウンターの奥でカップを拭いていた男性に声をかけた。


「奥の席のお客さん、今日のおすすめで」


「わかりました」


そう答えながら、ちらっと私を見る。


視線が合った気がした。


しばらくして、コトン、とテーブルにカップが置かれる。


「お待たせしました。今日のおすすめのモカブレンドになります」


さっきの男性が、コーヒーを持ってきてくれた。


「ありがとうございます!」


お礼を言うと、彼は伏し目がちに軽くお辞儀をして、カウンターへ戻っていった。


カップを手に取り、一口飲む。


口の中に、ほのかなコーヒーの苦味がすーっと染み渡っていく。


「ふぅ……」


思わず息を吐く。


一息つくと、いつものようにカバンから小説を取り出し、ページをパラパラとめくり始めた。


ここに来ると、不思議と心が落ち着く。


誰とも話さなくていい。


何も頑張らなくていい。


ただコーヒーを飲みながら、本を読んでいればいい。


それだけでよかった。


***


コーヒーを飲み終えると、本を閉じて立ち上がる。


「……んんーーっ!!」


軽く背伸びをして、


「よしっ!」


と気合を入れる。


すると、マスターが声をかけてきた。


「今日のおすすめはどうでした?」


「今日は、昨日までの仕事の疲れが溜まっていたので、すっきりしました!」


「それはよかったです。ありがとうございます」


会計を済ませ、店を出ようとすると、


「またのお越しをお待ちしております」


とマスターの声が聞こえた。


――カランカラン。


扉を開け、外へ出る。


そして、扉を振り返る。


「……今日も、ごちそうさまでした」


心の中で、そっと呟いた。


私の休日の充電時間は、静かに終わりを告げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まだ何も始まっていないけど、なんとなく切ないようなそんな予感がします。 店員がこちらをみたような気がする。 この表現だけで主人公の気持ちが想像出来て続きが気になります。 この先楽しみにしています…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。