君に似せた微笑み
この作品は、“亡くなった推しに会いたくて作ったロボット”と、天才少年の恋と再会、そして別れを描いた感動系SFです。切なくもあたたかい読後感を目指して書きました。少しでも心に残れば嬉しいです。
僕の名前はカナメ。
ただの少年。でも、ひとつだけ違ったことがある。
天才――そう呼ばれた。
物心ついたころには機械を組み立てて、誰よりも早くAIに触れた。
でも、そんなことはどうでもよかった。
僕には“推し”がいた。
優しくて、美しくて、世界のどこよりも輝いていた。
でも、その人はもういない。
病気だった。
「ありがとう」と微笑んで、星のように消えていった。
その日から、僕の中にぽっかりと穴が開いた。
だから、僕は作った。
僕の記憶と映像、音声、AI、すべての技術を注ぎ込んで、
“推し”にそっくりなロボットを。
名前はノエル。
ノエルと一緒に過ごす毎日は、夢みたいだった。
手をつないで歩いた。
笑い合って、夜空を見上げて、ココアを飲んだ。
恋だった。
僕はノエルを、“彼女”として愛していた。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!
この物語は、「自分の心を救ってくれた存在を、もう一度信じたい」という思いから生まれました。
カナメとノエルの関係を通して、“心”とは何か、愛とは何かを少しでも感じてもらえたなら嬉しいです。
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