不浄の謁見編3
今回もよろしくお願いします!
12番手、序列内ではかなり弱い方だろうが先程の動きといい気は抜けないだろう。人道王から逃れるため必死に頭を動かす、相手の能力が分からないので今は逃走が1番だろう。
「へぇ、私以外の護衛みんな倒して最後の私の血を嗅ぎつけて来たと」
「貴様と悠長に話しとる時間は無い、大人しく死ぬがよい!」
その時、バックステップを華麗に決めた少女のケープがヒラヒラと舞い目の前ですごい衝撃波が起きる
「その力、誰に貰ったんだっけ?
考え無しに、他の食人鬼も2人殺しちゃって今私も血を流してるもんねぇ!無策に私だって手を切った訳じゃないよ…」
さっきの人道王とは比べ物にならない気配を感じたと思うと、次の瞬間に
「馬鹿者め」
その一言が聞こえ、人道王は壁にグシャグシャになりめり込んでいた、辛うじて息はあるようだった
「じゃあ行こうかお姉さん。あんまり油売ってると気まぐれで私まであぁなりかねなくておっかないや」
呆気に取られたが、少しして理解した
「…なるほどな、そこら中に人の血はこべり着いてる場所ではあるから人の血では探査できないが、護衛の食人鬼3人が傷を受けたら嗅ぎつけて強大な侵入者発生と断定してバイコーンが現れる訳か」
少し少女が笑う
「うーん、殆ど正解だけどその場合3人をお姉さんが殺しちゃった場合のパターンと、先にお姉さんが殺されちゃったパターンもあるよね。
その辺、実は護衛の残り2人は見つける事だけが仕事で鼻から異常があったとき守れるとはバイコーンは思ってなかったんだよね。それに結果から言うとお姉さんは錯乱状態前後で全く戦えなかったしね!
まぁ、こんな可愛い美少女を敵と判定するなんて有り得ないだろうし、私は特に優秀だから1人だけになってても心配ないけど!」
少女が得意そうにしている
「へぇ、あの場で逃げようとせずに居るとは肝が据わってると思ってたが、本当にバイコーンってやつが来ると確信があったとして、それ以前にもしかしてお前だけでも倒せたんじゃねぇのか?」
「さぁ?お姉さんの後ろに隠れたくて堪らなかったけど?」
軽口でこっちが言っておいて、確かに強そうな気配は全く感じられない。ただ、懐の方から異質な気配はしている
「ほら、エレベーター着いたよ!」
エレベーターに乗り込み地下2階のボタンを押す。エレベーターは特に問題もなく、扉を閉ざして降りていく。
「なんかお前、あの人道王って奴から遠ざかっての今更だが服のその辺りから強いて言うと変な気配がするな。
お前自身は非力でももしかしてだが、」
「えぇっ、私の胸が実は着痩せしてるのは認めるけどお姉さんそこばかりに注目してたの!?」
「そんな話してねぇ、物だよ。物。大体平面にしか見えねぇが」
少女の表情が少し禍々しく変わり、笑う
「話す理由は無いから、また今度機会があったらね」
コイツもれっきとした食人鬼で、しかもバイコーンの近くに置かれている存在なのだ。そんな簡単な奴なはずは無い。
「まぁそんなつまらない話は置いといて、落ち着いたしここらで自己紹介とでもいこうよ!私、ゼンザイって名前!」
「結局本名は名乗らないのか」
「れっきとした名前ですけど!それにお姉さんの方の名前とかは知ってるけどね、マイラさん!
吸血鬼って元々の発生原因が原因だから、みんな幼女って感じなんだと思ってたけどお姉さんは随分背が高くて恵体だよねぇ、見た目は20前後って感じで身長180cmちょっとはあるんじゃない?」
「一方的に知られてるとは気分があまり良いもんじゃないな」
少しの間をおいてエレベーターが到着した音が鳴り、扉がひらく。そして、資料で見た閉鎖区画のガラス扉を少女は暗証番号を入力して開くと、扉の奥へまた歩き出す。扉前から見ている感じ、やけに地下2階は閉鎖区画に近づくにつれて汚れもなく綺麗になっていった。
「この奥に居るから、もう少…おっ!」
目の前に後ろから足の下を通り流れてきた血液が集まり形を成していく。そして、2本角の綺麗な馬のような巨大な化け物となった。
「辿り着いたか、我が元へ。我が子孫よ。」
ここまで読んでくださりありがとうございます、次回も読んでいただけると嬉しいです。