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10︰カインの追憶3

暫く訓練を眺めていると、突然明らかに威力が高い風魔法が何処からか放たれた。

咄嗟に目で追えば魔法を放ったのは、グルドと言う王家派閥の過激派として有名なアインク侯爵家の令息だった。どうやらペアで、トゥレライラ公爵派閥であるノルマンド・シピアを狙った故意の犯行のようだった。

固まって引き攣った悲鳴を上げるノルマンドの元へヴェロニカ先生が走っているのが視界の端に見えたが、それよりも彼が走りながら魔法を放つ方が速かった。


「【氷壁(アイスウォール)】!」


彼は珍しく声を張って、少し焦った表情でノルマンドの前に氷の壁を創り出した。強めに放たれたグルドの風魔法が全く意に返されないような、圧倒的な硬度を持った氷魔法で、傷一つ無く風魔法を殺しきった。風魔法が消滅すると、彼は自身の氷魔法も消した。

突然起こったトラブルと彼の圧倒的な手腕に誰もが声を発さない中、先生が彼に礼を言った。彼は正しく彼らしく先生に苦言を呈したが、先生は慎ましくそれを受け取った。


彼は一瞬だけグルドを睨んだが、その後真っ青なグルドを放りノルマンドを見遣った。震えるノルマンドに対する彼の言葉は冷たかったが、あの焦った表情を見た俺は、彼の本心はそこには無いのではないかと感じた。

それに、彼が氷魔法を消した際に一瞬だけ見せた安心した様なあの表情も、見間違えでは無いはずだ。あと、ノルマンドの元に心配そうに近寄ったベイルとジュノールを見てフッと笑んだのも。


俺の元に戻って来る途中で彼は第2王子殿下に声を掛けられていた。潜めた様な声量で交わされる言葉は流石に聞こえなかったが、なんとなく想像がついた。殿下が怪訝な表情をしていたからだ。




俺の横に座った彼に、心からの言葉が零れた。


「やっぱりオルフェンって強いんだな!」


やはりと言うべきか無視されたが、俺は嬉しい感情を抑えきれず、再開された訓練も余り目に入ってはいなかった。でもそれも仕方がない。



(強くて優しくて、俺が一番尊敬する人だ。)



その姿を、悪名に覆われた彼の高潔さを、再び見る事が出来たのだから。

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