この恋を君に誓う
僕には好きな人がいる。
彼女は見た目が特別いいわけではないが、どこか美人と思わせる不思議な容姿をしている。パーツ自体は平凡ではあるのだが、バランスがいい。配置の妙が僕の視線を惹きつけてやまない。
彼女とは毎日会い、挨拶を交わす関係だ。
特別仲の良いというわけではないが、知り合いよりは深い縁だと感じている。
彼女の魅力は貌だけではない。愛想も含めた内面が素晴らしい。どんなに醜い人間であっても無視を絶対にしない。
優しく話しかけるのだ。
今日も彼女と会う。別れる時に二、三言葉を交わす、その時間に確かな絆を感じている。
いつまでもその茶色の瞳を見つめていたい。
「…あの、お客様?お会計は終わりましたけど」
「…」
「…っは、はい。す、すみません。ありがとうございました」
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「店長。なんかあのお客さん、じっと見つめてきたりしてなんか...」
「まあまあ、接客業だから。変な客だって少しはいるよ。申し訳ないけど我慢して」
「それだけじゃないんです!この前シフト上がりに店から出たら、あの人がいて。怪訝な目で私が見ると一目散に逃げ出して...」
「わかった。なんとかするよ。とりあえず今日は上がっていいよ。なんなら家まで送ろうか」
「…いえ、それは大丈夫です。お疲れ様です」
「お疲れ様」
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今日はいつもより多く会話ができた。明日はもっと仲良くなれるかもしれない。家に行けなかったのは残念だが、まだチャンスはあるだろう。この店の店長で本当に良かった。