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15話 ボス戦、決着へ

「よっと!」


 こちらに腕を振り上げようとしてきたルビー・ゴーレムの腕を剣の腹で弾く。


(……くそ、やっぱり固ぇな。こりゃよっぽど正確に核か頭を突かねぇと、こっちの剣が折れちまうな)


 予想はしていたがこのゴーレム、かなりの硬度だ。自分の支給された量産品の剣では、迂闊に斬りかかれば簡単にへし折られてしまうだろう。


「……やっぱ、少しは良い剣担いでくりゃ良かったかな……っと!」

 ゴーレムの追撃を後ろに飛び退いて回避する。


 向こうの方はどうかと、三人の方を見ると、ヤムがゴーレムの一撃を回避したところだった。


「ふっ!」

 横に飛び退き、体勢を立て直そうとするヤムに追撃を放とうとするゴーレム。そこにイスタハが間髪入れずに魔法を放つ。


「【風の精霊よ。汝の疾さを我に与えん】……『風衝刃(ウインド・カッター)』!」


 イスタハの放った風の刃が足元に炸裂し、ゴーレムの動きを止める。その隙を見逃さずにプランが杖でゴーレムの頭を打ち砕く。


「はいっ!」

 プランの一撃でゴーレムが崩れ落ちる。もう一体のゴーレムがヤムに狙いを定める。


「くっ!」

 咄嗟に後ろに飛び退いてゴーレムの一撃をヤムが回避する。


「アイツを含めてあと二体だ!皆、油断するなよっ!」

 ルビー・ゴーレムの動きから目を離さず、三人に声をかける。


「はいっ!」

「うんっ!」

「了解ですっ!」


 三人の声が聞こえたのを確認し、再びルビー・ゴーレムと対峙する。


「さてと……迂闊に切るだけじゃあ剣が折られるだけだしな。なら……こうだっ!」

 ゴーレムと距離が離れているのを確認し、剣を構える。


「氷よ、鋭い牙となれ!『氷牙(アイシクル・ファング)』!」

 刀身から放たれた氷の刃がゴーレムに炸裂する。が、ゴーレムは動きを止めたものの、ダメージを受けている様子はない。


「……やっぱ、この安物のなまくらな剣じゃこの程度か」

 ゴーレムの硬度を確認するために放った一撃だったが、やはり相手の固さは相当のものである。

 ぶっちゃけた話、当時の自分ならこのクラスの魔物と遭遇していたならば、即逃亡かリタイアを選択していたであろう。


そうこうしている間に、向こうではイスタハの魔法により吹き飛ばされたゴーレムを間髪入れずにヤムが仕留めていた。


「はあっ!」

 ヤムの一撃が的確にゴーレムの核を貫き、ゴーレムが地面に崩れ落ちる。これで、残りは目の前の一体となった。


「ハインさん、加勢いたしますっ!」

 それを見ていた自分の横に、プランが駆け寄る。


「おう。でも大丈夫だ。むしろ、あいつは俺がサシでやる。下手に複数で手を出すほうがかえってヤバい。少し離れていてくれ」

 そう自分が言うものの、プランは横で杖を構えて言う。


「ですが……あの硬さです。こ、ここは私も戦闘に参加して、隙を付ける方が仕掛けた方が得策かと……」

「今までの奴らなら、確かにその通りだ。だが、あいつは別だ。確実に一撃で仕留めることが出来ねぇと、不味いことになる。どうにか初太刀で、確実に仕留めたい」


 自分がそう言っても、プランも引かない。

「な、ならばますます多対一でその隙を狙った方が……」


「駄目だ。ヤム、イスタハ。お前たちもそこで離れて見ていろ。下手に狙いが分かれたらかえって危ねぇ。確実に、隙を狙って一撃で仕留める。お前たちは自分に狙いが向かないように回避に専念してくれ」


 二人がその場に留まるのを横目で確認し、再度ゴーレムに視線を向ける。

 だが、次の瞬間ゴーレムがこちらへと駆け出し、狙いをプランに定めて向かってくる。


「望むところですっ!いざっ!」

 それを見たプランが、逆にゴーレムへ駆け出し距離を詰める。


「なっ……馬鹿野郎っ!離れろっ!」

 だが、プランはゴーレムへと杖を構え、目の前で跳躍して勢い良く杖を振りかぶる。


「あははは!そこですっ!」

 ゴーレムの頭部を狙い、プランが杖を振り下ろす。だが、先程までゴーレムの頭を打ち砕いていたプランの一撃が、ゴーレムの頭により弾かれる。


「なっ……!」

 初手の一撃を弾かれた事に衝撃を受けたプランが正気を取り戻すよりも早く、プランに向けてゴーレムの右腕がプランに振り下ろされる。


「あっ……」


「馬鹿っ!だから言っただろうが!」


 間一髪、そうなることを想定して駆け出していた自分の反応が間に合い、プランに飛びつき抱き寄せる形でぎりぎり回避に成功する。


「あ……あ……私、その……」

 自分の腕の中で、事態を把握したのかプランが何か言おうとしている。だが、今はそれに言葉を返す余裕は無い。

 その間にもゴーレムが、追撃を今まさに自分たちに向けて放とうとしていたからだ。


(……これで駄目なら、少し不味いかもな。だが、もうこうするしかねぇ)

 プランを片手で抱えた上で、体勢も不安定な状態である。だが、この状態でこの危機を回避するにはこれしかない。プランを抱えた反対の手で握った剣に力を込める。


「……煌け!そして貫け雷光!『閃雷(ライトニング・)(ブレード)』!」

 剣先から一筋の雷の刃が放たれ、周囲に爆音が鳴り響く。


 次の瞬間、自分たちに腕を振り下ろさんとしていたゴーレムの胸元に、その雷の刃が突き刺さり、ゴーレムの核を打ち抜いた。


 それと同時に、過度に込められた魔力に耐え切れず、柄の先から自分の剣が音を立ててひび割れ崩れ落ちた。


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