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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

怖い話

見つけてあげる

作者: 腹黒兎


「どーこかな。どーこかな」


真莉亜(まりあ)はキョロキョロしながら歩きまわった。

テーブルの下を覗き込んだが、パンの袋や空き缶しか無い。

お風呂場にもトイレにもいなかった。

アパートの狭い部屋で隠れる場所はそんなに多く無い。

真莉亜はうーんと腕を組んで首を傾げる。

入口から始めてみよう。

靴箱を開けて探したけど見つからない。

台所の隅に置かれた段ボールを覗いたら丸いお尻が見えた。


「みーつけた」


テレビのある部屋にはママのお洋服と紙袋がたくさんある。

山のように積まれた洋服の中に紙袋があった。その中に小さな足の先が見えた。


「みーつけた」


隣のお部屋ではママがぐーぐー寝てる。

起こすと酷く怒られる事が多いので、そこは後回しにしてベランダへ行く。

沢山のゴミ袋の隙間から、ママみたいに赤くなった小さな爪が見えた。


「みーつけた」


真莉亜は嬉しくなった。これで三連続の当たりだ。

後は妹の梨里亜(りりあ)だけだ。


「りーちゃん。りりあちゃーん。どこー?」


梨里亜はまだ小さいから狭いとこに隠れてるかもしれない。

もう一回、入口から探したけど見つからない。

残るはママが寝ているお部屋だけ。

そっと行けば大丈夫かな。

襖をちょっと引けば、ママのいびきが聞こえて来る。

音を立てないようにそっと入り込む。


「りーちゃん、どこですかー?」


起こさないように小さい声で問い掛ければ、押入れからカタリと小さな音が聞こえた。

押入れの中はぐちゃぐちゃしてるから探しにくい。

「りーちゃん」と名前を呼べばカタ、コトと小さな音がする。

その音を頼りに奥にあった箱の中でようやく梨里亜を見つけた。


「りーちゃん、みーつけた」


にっこりと笑うと、梨里亜もにぱっと笑って手を伸ばしてくれた。


「りーちゃん、おねーちゃんと行こうね」


まだ言葉も話せない小さな妹をギュッと抱きしめて、真莉亜は笑った。

慣れた仕草で抱っこをすると、床に散らばった物を器用に避けながら出口へと向かう。


「だいじょうぶ。おねーちゃんがいっしょだからね」


縦抱きにした妹の背中をぽんぽんと叩いて、真莉亜はドアを開けた。









【次のニュースです。2人の子どもを虐待死させたとして22歳の母親が逮捕されました。母親は自身が住むアパートで2人の首を絞めて殺し、姉の真莉亜ちゃん(4歳)の遺体を切断して隠し、妹の梨里亜ちゃん(1歳)をクーラーボックスに入れて押入に隠していたということです。

異臭がすると警察に通報が入り、逮捕となりました。この件について児相は–––––––】


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