023
「消し飛ばしたり脅したり?」
キラキラしたウインクとグッジョブの右手に、俺の精神に致死的ダメージがっ!
ていうか大魔王様鬼畜っ!
って、あれ……?
「え、あの、一つ質問いいですか?」
「なんだ? 時間無いから手短にな」
カメラを握り締めて明らかに面倒臭そうな顔された……。
「あ、あの、魔物って大魔王様の仲間じゃないんですか?」
「あー、それな。あんな下っ端、どうせどっかから湧いてくるし心配しなくていい。あと、魔物が魔王の仲間っていうのは違うぞ?」
「え……違うんだ……」
「うむ。あいつらは好き放題するからこっちも基本は放置だ。がっはっは!」
最初から仲間にするの諦めてる! これ勇者対大魔王対魔物になっちゃってないかな⁉
「最近の奴らはだな、大魔王様に言われて~とか言ってもない言い訳して村襲ってる連中も居たからなぁ。だからその腹いせも含めて消し去ってやったわ。がっはっはっは!」
ひぃっ……!
「灰になる前に見たあの顔をお前にも見せてやりたかったなぁ! 助けてくださいー、だって! 魔物を助ける代わりに村人は助けてやったがな! はっはっは!」
「あ、あはは……(やっぱり大魔王様の力は偉大なんだね……)」
――プルルルル、プル……
「あ、やっべ……」
大魔王様はそう呟くと、後ろポケットから薄い板のようなものを取り出して耳に当てだした。
「……?」
「はいもしもし、魔王……いえ、元魔王のバルザックですが」
そこ言い直すんだ。
……前に奥さんと話してたのってあの道具でしてたのかな?
あれ街に売ってるかな。遠くの人と連絡とれるとかめっちゃ便利じゃないか。ポッケにスッと入りそうだし。俺も欲しいな。
「……ハッ!」
連絡とる相手が居ない……だとっ……!
「あ、アイリーン? どうしたの……って、え? なんでパーティーに居ないのかって……それは……」
おっ、父と娘の修羅場ってやつだな。娘さんの方が強そうだけどっ。
「だって、アイリーンが来るなって……。だから父さん城から出てきたんだよ?」
うわぁ、さっきまで笑ってた顔が嘘みたいに曇っちゃったよ!
「……うん、うん。でも、あの時アイリーンが……」
あわわ……大魔王様の背中がどんどん丸くなっていく!
これが娘に対する父親の姿なのかっ⁉
「……え? 何、あれ嘘だったの? 今から行ってもいい? やった! お土産持ってすぐ行くから! 今日はとっておきのが撮れたからね! んじゃ! はーい、バイバーイ!」
道具からピッと音がしてすぐ、大魔王様が真面目な顔で――
「んじゃ、そういうことだから」
と満面の笑みでデレッデレで扉へと歩いていく。
「あの!」
「え、何……忙しいんだが」
うっわ! すごい嫌そうな目でこっち振り向いたよ大魔王様っ!
「お、えあ、そ、その道具なんて言うんですか!」
ちっげ! 質問すること間違えた!
「え、これのことか?」
ええ、それのことなんですけど、「え、お前知らないの?」と言わんばかりの顔するの止めて……!
「は、はい! 少し気になって!」
なぜ俺は「はい」と言ったんだあぁ! 聞く内容違うんだよぉお!
「これ最近アリスに渡されたポケット電話とかいう魔道具なんだよ」
「すごく近代的な代物ですね……」
「んじゃ」
「い、今から行ってパーティー間に合うんですか⁉」
ちっがぅ! これでもないっ!
「あ? うん。近いもん。さっきも言ったぞ。手間取らせたら殺すぞ」
「……すいません」
ってか、お城どんだけ近いんだよ……。近いことに驚愕だわ……。なんで家の近所に魔城あるの……、そんなの聞かされたら不安で夜寝れなくなるわっ!
「あの、えっと――」
言いたいことあるんだけど、言い出しづらいなぁ……。
「また今度みやげ話でも聞かせてくれよ。あー楽しみだなー、アイリーンのパーテ――」
――バタン
言いながら出て行っちゃったよ……。
「い、いってらっしゃい……」
嵐が過ぎ去るってこいうこと言うんだろうな……。窓から部屋の入口まで通り過ぎて行ったのは大魔王様だけど。
「大魔王様さぁ……」
装備一式くれたのはすごい助かった。
多分、これ無かったらこの島から出た後即死だったと思うよ。感謝するよ。
でもね、これ――
「一人分じゃんっ! 二式くれ二式! 一式だけじゃ人数分足りてねえよ! あれか、一式を小さくして二つに分けて小二式ってオチかいっ⁉」
……。
しんと静まり返る部屋の中。
柱に頭を思いっきり打ち付け――
「面白くともなんともなかったわ馬鹿やろぅっ!」
……はあはあ。
でも、何はともあれ……あ、血が出てる――いや、今は血なんてどうでもいい。
辺りをチラチラ。
落ちている装備を目の前にしてドキドキが止まらない!




