第3話 クロエ
そういえば、今日転校生が来るんだったわね。
まだ夏の始まりの日に転校生。
そして、一昨日の夜お父様が少しイライラしていたこととその昨日、電話中に『ガードマンを増やす』とかなんとか言っていたわね。
ほぼ丁度に転校生、他のクラスにもいると聞いたわね。違う学年も同じ日に転校してくるのはおかしいわ、なにかあるに違いない。全員兄弟と言えばそれまでだけど、お父様の『ガードマンを増やす』は狙われているのかしら。
とにかく、私、お父様、お母様の誰かが狙われているかもしれない。
やっぱり騒がしい教室ね、この人たち少しは静かにできないかしら。
「はーい席座ってー」
チャイムとほぼ同時に先生がやってきた。
「今日は転校生を紹介する。入ってきなさーい」
入ってきた少年は木津 香月さんって言うなね、今日の夕方騙してみるしかないわ。
そうね、色んな選択肢があるけど、暗殺者の方がしっくりくるわ。
なんせ、学校まで探しに来るほどだもの。
あの人授業中ずっとこっち見てたわね、なんて分かりやすいのかしら。あれが暗殺者なんて到底思えない。
昼の鐘がなり、香月さんの方に目をやったら誰かと一緒に食堂へ向かった。
そうだわ、今日兄に呼ばれてるんだった。
早く行かな──
「お前ちょっと来い!」
急に手を引っ張られ、顔を見ると兄だった。
今日は怒ってらっしゃる。
私なにかしましたっけ、まぁいいですわ、このまま引っ張られた方が早いですし。
食堂の横を通ると兄は何故か急に止まった。
何かと思い、私は前を見ると香月さんがいた。
「その方が困っているだろ」
「うるせ! 兄として当然のことだ!」
「兄がいると上からいわれていないぞ」
あら、『上』と言いましたわ、間違いなくなんかしらの組織と繋がっていますわ、なんて勇敢で分かりやすいのでしょう。
私は思いっきり引っ張られ、校舎裏に来ました。
やっぱり、怒っていたらしいです。
「おい、なんで暗殺者が俺たち家族を狙っていることを黙っていた。答えろ!」
「いえ、聞かれてないのですもの」
あらあら、怖いお顔です。
「お前!」
「ところで、家族とはなんのことですか?」
「は? 何言ってんだお前、お前俺の妹だろ」
「いいえ? お父様とお母様が言ってました。あなたは家族でもなんでもない、と」
兄はそのまま膝まづいてしまいました。
そんなにショックだったのでしょうか、たまに私は言いすぎてしまうことが意外に結構あるんですね。
「安心してください! 兄は死なないですよ!」
「は?」
「聞こえませんでしたか〜?」
「違う、それはどういう事だ!」
「実は、暗殺者さんは兄の事を知らないのです!」
あ、でもさっき知られちゃいましたけど、鈍感そうな人ですし、組織には報告しないと、賭けるしかないですわ!
「そうか、ところでどうやって知ったんだ?」
ここからが問題なんですが、どう答えるべきなんでしょう? 学園にスパイしてもらって情報を入手させていると言うべきなのか、情報屋に聞いたというべきなのか、私会いました、と言うべきなのか。
色々とありすぎて困るので、手っ取り早く「雇ってる人間がそこら中にいるんです。」と答えて教室に行きましたわ。
放課後になり、香月さんと2人っきりになりました。青春謳歌してるみたいですわ!
口調も変えたほうがいいでしょう。
ちょっと、悪魔っぽく言ってみたかったのです!
さてと、尋問の始まりです。
読んで頂きありがとうございます!
自分はこのストーリー上手くいっているのかと心配になってきちゃいます!
もし誤字などがあれば報告して欲しいです!
感想もお待ちしております!