プロローグ
なんだろう……。
すごく嫌な夢を見た気がした。
いや、夢じゃない。実際に起こったことだ。
家族を実の父に殺されたあの、事実。
決して忘れられない、俺は父さんを殺した。
幼い頃に母さんの手、足、胴、首、繋がってない死体を見て、俺は父さんを殺した。
父さんは最後に『俺じゃないんだよ、でも、許してくれ』と言って、死んだ。
俺は幼かったから、その言葉の意味があまり分からなかった。何が俺じゃないだ、もう遅いのだ。
俺は今妹と住んでいる。妹だけはピンピンしてる。
朝起きると、泣いていた。
毎回起きるといつも泣いている。
父さんを殺したあの日からずっと、まぁどうでもいい、朝飯を食おうと俺はリビングへ行った。
「おはよう! お兄ちゃん!」
さすが妹、朝ごはんも家の掃除もとっくにされている。いい子に育ったな。
妹は中学の制服を着てエプロン姿、顔は人より少し小さく肌はすべすべ、ほっぺ抓ってみたいほどの可愛さ、その髪色も金色、顔と相性が合いすぎて可愛い。
まぁそんなことはどうでも良く、お、俺は、実の妹に好意を持つわけもなく、いやそんな事は絶対ありえない。
「ところでお兄ちゃん、また転校?」
「んあ? あ、そうだ」
そういえば忘れてた。
今日、引越しを済ませなければならない。
面倒だ、この引越し作業も仕事も、どこでもいい、普通に静かに暮らせれたらいいなと、俺は考えている。
いつか、逃げ出せたらいいのに、でも、俺の妹、木津 花菜はそれを嫌がっている。大体何処に住むのかと言われると確かに何も言えない。だから、このままこの生活なのだ、疲れるな。
「あ、早く食べて考え事しないで冷めちゃう!」
「あ、ごめんごめん!」
完全に忘れてた! つい考え事をしてしまう。人間そういう生き物だよな。
「ご馳走様」
「お粗末さま〜♪」
そういえば、早く引越しの準備しなくちゃ、もう9時か俺いつまで寝てたんだ? まぁいい、はよ作業!
俺はトロリーバッグに服などを詰めていると、制服から生徒手帳が転がり落ちてきた。これは、そこには木津 香月と書かれている。
俺の名前、中2になった時に人を殺すのを辞めた時の生徒手帳だ。
その生徒手帳もバッグに入れて制服も入れた。
これなら、早く引越し先にも少しは早く行けるかもな、多分。
ピンポーンとベルがなった。
「はーい」
可愛く透き通った声で花菜は玄関のドアを開けた。
「お兄ちゃ〜ん」
「はーい」
俺は花菜に呼ばれ、玄関に行くとそこには先輩がいる。仕事の先輩が立っている。