シャルティエ女王と好色王子
場所を移し、ラファエルは汚れを落とした後にシャルティエの寝室に出向く。用意された服を着こみ。レイチェルの隣の椅子に座る。
「ミェースチ姉さんが来ているんですね……」
「はい。お母さん」
「そうです。女王……母上は復讐しようとするでしょう」
「………その時がやっときたのですね」
シャルティエは疲れた顔で二人を見る。
「あなたは……私を恨みますか?」
「恨みません。関わりもないです。それに復讐はみっともないです。私の父は母を殺しましたが。それで復讐してもあまりよろしくないと思っています。復讐は恐ろしい。復讐は復讐を呼び。多くの犠牲者が出ます。しかし、何もなかった事はできないですが。区切りを持つ必要はあります。難しい問題ですね」
「……そうなんですね。てっきり……恨まれているかと思いました」
「安心してください。帝国民は感謝をしてます。悲しい理由でしょうがあなたが王国の女王でよかったと言うことです。帝国側ではですね」
「はい……」
「お母さん。お母さんは私の母親でよかった……」
「レイチェル?」
「母の子だから。今こうしてラファエル様にも会えたし……捨てられてもいい子としてるから自由も手にはいったんです。感謝してます」
「そうです。女王……別にあなたが悩む必要はないですよ」
ラファエルはシャルティエに優しい笑みを向けて好印象を与えようとする。ラファエルは何故か抱いてみたいなぁーと好色の癖が出てしまい。レイチェルに足を踏まれ続けても微笑むのやめない。鋼の意思を見せる。
「……悩む必要ですか? ふふ……あなたたちは知らないのでしょう。ずっと比較される辛さは……」
「いや。他人ですし。比較にならないでしょう?」
「母上、あれは別の生き物です。そんな考えがおかしいです。魔物と人間の違いを考えますか?」
「………」
二人がバッサリと否定を口にする。レイチェルも少しの期間で考えを改めたのだ。
「……シャルティエ女王。それよりもあなたは罪の意識があるようですね」
「それは……私のせいで……ミェースチ姉さんは……」
「……王国の母上とシャルティエ女王に抗争を家族皆で調べました。内容は簡単……ミェースチ母上は努力し、努力したのに婚約者を奪われて怒り苛めるのですがそこも問題ですね」
「ラファエル様。お義母さんのことバカにしますね」
「ええ、だってそうでしょう。王子に相談すればいい。誰にも相談せず個人でやるから悪いんです。逆にシャルティエ女王もそういう婚約者がいながらに王子にベッタリで甘えるのもいけなかった。王子もです。婚約者がいながらにして問題の解決を先伸ばしにしてますし、母上だけを悪者にした。まぁ……10才ならそこまで考えることは出来ませんけどね。それに母上は……手加減してた。殺せばよかったのに生かしましたし」
シャルティエ女王はその言葉に何も言えず口を閉ざす。今になって、直接、皆が悪かったことを咎められている気がしたのだ。それも一回りも下の子に。
「まぁ結論。全員悪かったと私たちは結論づけてます。なのでシャルティエ女王もそこまで過去を気にしないでいいのではと思います。若輩者で色々言いましたが……すいません。もう過去ですし……」
「そうそう。お母さん……ラファエル様の言う通り。過去を気にしすぎてもね。ただ……ミェースチお義母さんが会っても許してくれるかわからないけど」
「わかりませんね……はぁ……シャルティエ女王。雲隠れしませんか? 会ってもよくないことしかおきませんよ」
「…………………ふふふ……ふふふふふふ」
シャルティエは笑い出す。久しぶりに大きく大きく笑い出す。
「ははははははは………ははは」
唐突な笑い声にレイチェルとラファエルは首を傾げる。そして……ゆっくりと泣き声に変わり二人が慌ててシャルティエの背中をさすり出す。
「……そうですね。なんでずっと過去でああすればとか……色々考えて……全く意味がないんですよね……ふふ……」
「お母さん……」
「レイチェル……お母さんね……ミェースチ姉さんに会ってみる」
「「!?」」
「大丈夫……死んでも大丈夫よ……だって……こんなに二人が幸せになれそうなら。挨拶しなきゃ」
ラファエルとレイチェルは冷や汗を掻き出すのだった。戦争になると。
*
レイチェルを置いてラファエルは慌てて家族を宿の寝室に呼び出す。ミェースチ以外の家族に話をする。
「シャルティエ女王の説得失敗した……」
「ラファエル。君を信じた僕がいけなかった」
「ラファエルお兄様。今までありがとうございます。これからは兄弟3人でがんばります」
「ラファエルお兄ちゃん。騎士やめたら?」
「なかなかに厳しい」
ラファエルは申し訳無さそうに囁く。
「レイチェルと説得した。殺されると。でも……固く固く意思を曲げずにいらっしゃるので」
「仕方がない……母上の案がそのまま使用されるとは……」
ラファエルはレイチェルのお陰で忍び込めたが……ミェースチはどうするか皆がわからないのだ。
ただ一つ奇策を行おうとしている。それは異常な賭けのような事。頭が重い。
「あれ……やるのか? ウリエル」
「やるでしょうね。鎧も用意されてます……」
「ガブ姉さん……ヤバイね」
「ええ……敵地ですもんね」
家族はその賭け、ミェースチがただひとつ考えた最悪なイタズラの決行を覚悟するのだった。




