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王国女王と娘の無礼な婚約者


 ミェースチたちは先ず道路が舗装されている帝国領内から南下し、南下した都市で馬を変えてから大きく迂回し王国との境にある帝国の属国を経由した。冒険者として重役が走り回るのは国として大きな事件になるが帝国内ではロイド皇帝や諸外国公爵の巡回が多いためなれている部分があった。


 貴族が旅行者に扮するのは日常的になっている。レイチェルはそれに驚きと貴族が平民のふりしての行動力ができるほど治安の良さに驚きながら。順調に道を進み。


 春先、暖かくなる一歩手前で王国につくことが出来た。


「結構順調に行きましたね母上」


「レイチェルが思った以上に元気だったからよ……あの糞女からよくこんな子が生まれたわね?」


「お義母様……糞女言わないでください。大切な母上なんです」


「そうです母上」「そーだそーだ」「お母様そうです」「お母ちゃん……」


「……はいはい。糞女言いません。売女め」


「「「「「……」」」」」(うん、知ってた)


 子供のように悪意を滲ませるミェースチにいつものように子供たちは無視する。扱いが手慣れている部分をレイチェルも学びだす。そんな中で、ミェースチたちは門兵に止められた。もちろんローブを外したままでの相対。冒険者カードで身分を示す。偽名ではないが……


「へぇ~変わった名前ですね。ファンの方ですか?」


「……ええそうよ」


 そのまま、レイチェルさえ似てますねと言われるだけで入ってしまう。それにラファエルは聞く。


「レイチェル……君は本当に姫なのか?」


「……レイチェル姫と思っている一般人かもしれません。いつから入れ替わっていた!?」


「そうか。君は影武者で他にレイチェルが……」


「そこ、二人でいちゃつかずついてきなさい」


 ミェースチは馬を預け。宿を取って荷物を置く。そのまま皆で冒険者酒場に出向き。集合場所の依頼を出す。そしてその前にレイチェルにミェースチは言う。


「先に母上に会ってきなさい。ラファエル。挨拶してきなさい」


「わかりました母上」


「これでやっと兄離れできるわね」


「……………………………………………………………………………そうですね」


「ラファエル様~」


 長い沈黙に家族は笑い。レイチェルはそのまま城まで歩を進めたのだった。





「シャルティエ女王陛下……」


「なんでしょうか?」


 寝室で午後の3時紅茶を飲みながら本を読んでいたシャルティエに騎士が慌てて走ってくる。騎士は驚いた表情で笑みを浮かべシャルティエに話をする。


「レイチェル姫が!! 帰ってこられました!!」


「えっ!? どうやって!?」


「それは……少し事情が複雑なようです。会われますか?」


「もちろん!!」


 冬の終わりが近いこの時期にレイチェル姫が帰ってきたと言う報告に真偽を疑うシャルティエは上着を羽織り、寝室を飛び出す。騎士とともにゆっくり駆け足で廊下を進むと待ち合い室前で声が聞こえ扉に手をかける。騎士は慌てて自分があけますと言ったが無視をして扉を開ける。


「レイチェル!?」


「お母様!!」


「…………………まじか……」


 扉を開けると薄汚れた装備に身を包んだ我が子が目に入り、隣に同じような青い髪の青年と目が合う。シャルティエは口を押さえ……その澄んだ綺麗な空のように美しい瞳と髪に驚く。手紙で知る人だったのだ。


「ラファエルさん? えっと……ラファエルさんですね?」


 ラファエルさんと問うシャルティエにゆっくり近付き。跪く。


「……………………………はい。ラファエル・バルバロッサです。レイチェルとの婚約者です」


「あっ……表をあげてください。そんなかしこまらなくて結構です」


 ラファエルが立ち上がり。優しく微笑み、一歩近づく。その接近する顔に少しだけドキッとするシャルティエは知らぬうちに手を捕まれていた。


「流石、レイチェル姫の母上様です。最初、あまりの美しさに言葉が出て来ませんでした。よろしければ……レイチェル姫含めておなはし……うぐ!?」


 ぎゅううううう


「ラファエル様!! 何、口説いてるんですか!!」


 レイチェルがラファエルの耳を引っ張り剥がす。ラファエルの場所にレイチェルが入れ替わりで母親の顔を覗く。シャルティエは驚いた表情で二人をみつめる。


「お母様……婚約者は好色です。気を付けてください」


「レイチェル……流石に手を出さない」


「ウリエルお義兄さまを見て同じこと言えますか?」


「…………………………………すまない。離れた方がいいですね」


 前科1犯のラファエルは否定できなくなる。


「……レイチェル。その……変わりましたね? 少しだけ大きくなりました?」


「シャルティエ女王。胸がすこ……うぐっ!?」


「ラファエル様!! お口閉じて!! 無礼とか考えないの!!」


「……印象を良くしようとしても。君が嫉妬するでしょう? 今さっきの社交辞令でも君は私に手を出した。母上を綺麗であり奪われる心配をしたんだよ。レイチェル」


「う、ぐ……」


「君も結構……無礼ですよ? 本来なら椅子に座って挨拶し、ヨロシクお願いしますと言えばいいです。まぁ私はレイチェルが慌てる姿が見えて満足です」


「………ぺっ」


「レイチェル。はしたない。はしたない」


 ラファエルがレイチェルの隣にたち。手を掴み、シャルティエに見せつける。その手には指輪が嵌められており。すでに誰のかを示していた。


「シャルティエ女王。婚約者とは嘘です。すでに婚姻は終わり。私めが王国の姫を奪いました。返しませんよ?」


「ラファエル様………………それがしたかっただけですね」


「…………うん」


 二人でクスクスと笑い。シャルティエは……そんな仲のいい光景に驚きながらも口に出す。


「ラファエルさん……レイチェルの事愛してますのね。ありがとうございます。そして………」


 シャルティエは頭を深く深く下げる。


「娘を一人前にしてあげてください……幸せにしてあげてください。私には無理でした………だから……」


「レイチェル、ちょっと離れてください」


「………仕方ないですね」


 ラファエルがレイチェルから離れ、シャルティエの前に来る。


「お顔をあげてください。女王陛下」


「……」


 シャルティエはキリッとした表情で見る。すると……ラファエルが騎士の礼をする。


「私も騎士です。ご命令を承ります」


「……ふふ。ありがとうございます」


 シャルティエは若い若い騎士に昔の王の姿を思い出すのだった。過ぎ去りし忘れた想いと共に。








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