緊急会議集合
「ラファエルお兄様おめでとう」
「ラファエルおめでとう」
「ラファエルお兄ちゃんおめでとう」
「ぐっ………」
「ラファエル、素直に喜べ。レイチェル姫が不安がっている」
「………くっ………」
(私はそんな不安がっている訳じゃないのですけどね……ちょっと呆れてるぐらいです)
ミェースチの会議後。兄弟で集まる中で、皆がラファエルにおめでとうといい喜ぶ。ラファエル本人はそれに如何せん首輪が巻かれつつあるのが不安がっていたのだ。
「まぁ、安心しましたから後は任せます」
ウリエルは2番隊長の仕事があるからとの事でその場を去ろうとする。そして、扉の前で立ち止まり声をかける。
「ラファエル」
「ウリエル……なんですか?」
「女を泣かせる事はいけない。わかっているだろう? 僕はダメでした。ですが、ラファエルなら大丈夫でしょう」
「何の話だ? ウリエル」
「母上に聞くといい」
全員が何の事だと考える。しかし、ウリエルとミェースチにしか見えていない話なのだろうと考え。皆は深く考える事はなかった。ウリエルが去ったあと。残った4人で話を続ける。
「ラファエルお兄様は行かなくて?」
「任せてます。護衛が任務です。一応ですね」
「護衛しながらやったわけですか? よく怒られませんねラファエルお兄様は……」
「……後悔してる」
「ラファエル様!? 後悔してる!? 後悔してる言いましたね!!」
「ラファエルお兄ちゃん……ひっど」
「もっと遊んで居たかったんです」
「……ラファエル様。遊ぶのは許しますから……力を貸してくださいと言いましたよね?」
「結婚すると。なかなか抱かせてくれなくなるんです皆さん」
「そ、そうなのですか」
「ラファエルお兄様。やっぱり変ですね……最近」
「ラファエルお兄ちゃん。好色すぎ」
「……と言うのは置いておきます。実は本題でガブリエル、ミカエル。護衛を変わって欲しい。兵をまとめないといけない。それと………レイチェル」
「はい……短い期間ですが……剣を教えてください」
「姫様が剣を? やめた方がいいよ」
「ガブリエル様も剣をお使いになります」
「そうだけど……」
ガブリエルがミカエルを見る。ミカエルは頷き、レイチェルに向き直った。
「付け焼き刃だけど……それでもいいなら。泣いてもいいなら」
「うぅ………お手柔らかに」
「却下。レイチェル。私の妻なら越えなければいけない。わかったか?」
「はい……」
ラファエルはニヤリとし、レイチェルは強張る。それを見たミカエルはラファエルを見る。
「どこまで?」
「体に傷が残ろうと抱けますので……」
「!?」
レイチェルはその言葉に震えたのだった。
*
「……王国へ遠征ねぇ……ふふ」
ミェースチは貴族と打ち合わせ後。一人で遅めの昼食を食べていた。騎士兵士に混じった場所での食事に皆が怖がるため控え。自室にコッペパンとシチューだけ運ばせる。
昼食後自室で深く考えている時。一人の姫が訪ねてくる。扉の外に3人の足音が聞こえたが。入ってくるのは一人だけである。
「……ん? 王国の姫か。お見事とおめでとうと言おう」
「ミェースチ女王様。ありがとうございます」
「いいえ。やっと踏ん切りがついた。結局私は許せそうにない。決着をつけなくちゃ……迷惑かけるばかり……なら盛大に迷惑かけて終わらせる」
「………母上を殺すのでしょうか?」
「会ってみないとわからない。ただ……怒りだけはある。怒りだけは」
「わかりました。私は……すべてを見届けます」
「……見届けなさい……そしてもう二度とワタシのような者を出さないようにしなさい。王国はそれだけで滅んじゃうわ」
「………はい。あの……婚約認めていただき……ありがとうございます」
「いいえ。それよりも!!」
ミェースチがレイチェルの肩を掴む。
「一つ聞くわ。あの子でいいの? 正直……自由にしてたから。女遊びが激しいし、ウリエルのことを熱く慕ってるし……ちょっと変な子よ? 私の本当の子じゃないから、あんな子に育ったかも知れないけど……でも、後悔はない?」
レイチェルは唐突な母親のような表情のミェースチに腰を抜かしそうになりながら頷く。コインの表裏のような豹変に。
「大丈夫です。それも全て含めて……愛せます。だって……はぁ……あんな格好いいことされたら他の男性では無理です」
レイチェルは帝国に来てから夢のような日々を思い出す。本当に笑っていた。
「何があったかわからないけど……わかったわ。ラファエルが真っ当に生きていけるなら。王国姫だろうと気にしないわ」
レイチェルは器が広いなと思い。ミェースチの手を掴む。
「ありがとうございます。ミェースチ女王」
「……もう。だから、お義母さんでいいわよ。レイチェル……もしもあなたの母、シャルティエを殺める場合。あなたはその後どうするか決めるといい。恨むことも全て受け止めてやるわ。ただし!!」
「……」
「簡単に殺されはしない。強くなりなさい……レイチェル」
「はい……お義母様」
ただ短く強くレイチェルは返答したのだった。




