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姫と王子


 ミェースチは鏡の前でへたりこんでいる時。扉が開く。その場所に立っていたのは王子ウリエルだった。


 ウリエルは驚いた表情から真面目な顔をしてミェースチの目の前で膝をつく。優しく笑みを浮かべて……


「……ミェースチ様。怪我してますね」


「ウリエル……ウリエルどうして?」


「夜中にですか? それはもちろん賊を今さっき処刑した事を起きていらしゃったようなので報告に来ました」


「ウリエル……そう……」


「ミェースチ様手を……回復します」


「自分でする……」


 ミェースチは手の傷を癒す。そして涙で張らした目をこすり……夢をまた思い出して。ポロポロと雫を落とした。


「……ウリエル。ごめんなさい」


「何を謝るのですか?」


「お願いがあるの……」


 ウリエルはしずかに頷く。ミェースチはそのウリエルの片手を掴み。首に持ってくる。泣いた表情で彼女は懇願した。


「殺してウリエル」


「なっ!? 母上!?」


「……もう。抑えられない。いつか貴方に……あなたたちが私で不幸になる。その前にお願い……メアリーを死なせて」


 唐突な自殺願望にウリエルは……全く動じなかった。掴んだ優しい首に力を加えず。振りほどき、メアリーの瞳の雫を払い除ける。


 ウリエルは綺麗な紅い瞳とメアリーの弱々しい姿に再度安心させるように笑みを浮かべ、顎を掴む。メアリーは何も考えず殺されるだけを待っていた。しかし……それは以外な物でかき消える。


「んっ……ちゅ……ん……んん」


 メアリーは深く舌を絡められる。唾液が絡み、不思議に気分にとなり、頭がフワッとし……相手が格好いい王子だな~と思った瞬間。


「んんんん………!?」


ドンッ!!


 姫は目が覚める。王子のキスで。


「ウリエル!! 何をしてるの!!」


「メアリー。何をしたかわかるかな?」


「う!! わかるわ!!」


 メアリーは唇を障る。何も考えず、ただただ深く結び付いてしまった事に後悔する。


 そう……息子とキスをした。それも……身を預け、求めるように舌を絡めるほど。気持ちよかったと思い。頭が蕩け、深く長くしてしまったのだ。


「ウリエル!! 私とあなたは親子よ!? どうして……こんなことを……」


「……メアリー姫が泣いて居られたからです」


 頬に優しくウリエルが再度近づき手を差し伸べる。メアリーはその大きく固く暖かい手に……息子の成長が伺え知れた。もっと小さかった手が……今ではこんなに大きくとメアリーは思う。


「メアリー姫……」


 ウリエルが優しく、顎に触れる。またされると思い顔を背けた。


「ダメよ……父上が怒るわよ」


「父上は僕に貸しがある。母を殺したことを……大丈夫。すでに父上は任せると仰っていましたから」


「だからって!! 私はあなたの……んぐく!?」


 メアリーはまた口を塞がれる。しかし……抵抗はしない。抵抗し……嫌われたくないために。


「うぅ……ウリエル。やめて……こんなこと……」


「……母上。母上はきっと死にたい理由は息子に復讐が及び殺されるのが嫌だったからでしょう。最近王国にガブリエルとミカエルを置いて帰って来てからおかしかったですから……愛してるのでしょう?」


「…………愛してる。ウリエル、ラファエル、ガブリエル、ミカエルを。でも、いつか嫌われる。昔のように……そんなの耐えられない。復讐したいけど……嫌われる方がいや……やっと。やっと……一人じゃないのに……」


 メアリーが昔の少女のように泣きながら、訴えかける。ずっとずっと一人で悩んでいた事をウリエルに打ち明けてしまう。そう……ウリエルに絶対の信頼を寄せているために話してしまう。


 母親ではなく……一人の少女として。そして……一人の女として。ウリエルに嫌だと言っても丸め込まれれてしまうのだった。優しい王子に……包まれる心地に呑まれて。


 ウリエルは小さくほくそ笑んだ。







ガチャ


「……はぁ……おわった」


「ふぁーん……終わったの。ウリエル?」


 寝室から出ると座りながら寝ていたボロスが立ち上がり背を伸ばす。


「ついてきてたんですね。ボロス」


「ええ、親友の何か……よからぬ匂いがしたから……中々……その……そうだろうなと思ってた」


「……ごめんなさい。ボロスがいうほど僕は綺麗じゃありません。ずっと母上とこうするためにやって来てたんです」


「知ってる。親友だからこそ、秘密を察した。ねぇ……ミェースチ女王の事を聞きたいけどダメかしら?」


「もう夜は深いですし。秘密としたいです」


「それは……足下見てもいいかしら? バラさないから……それに……秘密をもうひとつ。あなたが道を外したなら。私も同じことをする」


「ボロス……ん!?」


 ボロスはそのままウリエルの唇を強引に奪う。ウリエルは驚きながらも身を任せた。


「ん……ふぅ……ありがとうウリエル。もうこれで私もあなたも普通に親友には戻れない。ウリエル……これで。わかった?」


「……はぁ。ボロス。君なら……諦めると思いました」


「……知ってたかぁ~。でも私もあなたを知っていた。知っていて……惚れてるんだから大丈夫よ」


「わかりました。今からは無理です。休日……腹を割ってお話しましょう」


 ウリエルはボロスを連れて歩き出す。後ろを向かず真っ直ぐに自信を持ちながら。








  

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