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ミェースチの父母への復讐


 数ヵ月後、ミェースチとミカエル、ガブリエルは家に帰ってきた。王国の数ある物品は元王国民のみへの配布となり。王国で行った非礼が話題になる。


 噂は馬より早く。そして……国家間の話にも膨れ上がったが別にミェースチと言う存在ならそうするだろうと言う事で大事となったがすぐに沈静化する。王国側はすぐに事態の陳腐化にさせるために動いていた結果かもしれないがそれでも国家の権威は落とされたと言えた。それと同時にまた王国でまた問題が起きているらしい。


 そんな中で、ウリエルとボロスはネクターの報告に耳に入れる。


「……以上だ」


「ふむ。ネクターが心傷で里帰りしていたのは知っていましたが母上と一緒に帰ると思いませんでしたね。会うかもとは思ってましたが……騙されました」


「潜伏は命令だったからな。まぁ……ウリエル居ればいいだろと思ったからな。安心しろ、騎士団長には触れてない」


「……ネクター。母上に触れる男が皇帝以外に?」


「ボロス、ウリエル。そんなことは今はいい。でっ……命令はなんだったんだ? さっきの話の内容を見てくるだけか?」


「……復讐はどうか。ドントルチェン家を失脚させたくないかと」


「ドントルチェン家……といえば母上の家だった貴族ですね?」


「うむ……俺のネネリクス家を失脚させ追い出した家だ。まさか……騎士団長の元家とは知らなかったな」


「ネクター。城の廊下に復縁迫る手紙が貼ってあったろう? 読んでいないのか?」


 ミェースチが女王に返り咲き。活躍をしているので元家復縁やドントルチェン家の交友貴族からの融資のお願い等の文が王国から寄せられている。


 ウリエルはそれが廊下の壁に貼られているその泣き文のような言い訳などを見ながら悔しさを胸に頑張ってきた。いとおしい母上を捨てておいて、厚顔無恥に復縁を迫るのは虫のいい話しすぎると。


「すまんな……読み物は苦手だから」


「ネクター。皇后のその廊下に貼っているのを見てみるといい。面白いぞ、私は全部読んだ。王国で処刑するべき貴族がわかる。リストもあるぞ? 私の思う復讐者リストだ」


 ボロスが部屋の一ヶ所の本を指差した。ウリエルはなんとも言えない気分になる。全くボロスには関係はない話なのだがと……ボロスは母上の復讐にk加担する気なのだ。


「まぁ……それは後で読むとして。王国での話をしよう。ドントルチェン家はウリエルは何処まで知っているかな?」


「僕が知っている情報は……中々いい話を聞かないね。王国を裏で支配したいや悪事もやっているとも言える。目を瞑っているのは力もあるからだと思ったが……違うかいネクター」


「ウリエルの言う通りだ。それで全て。変わらない。もしも……王がそのままなら……騎士団長は王国女王でドントルチェン家が権利を持つ。そういう段取りだったのだろうが。王家もバカじゃない。それはヨシとはしなかったんだろう。だから……まぁ今の女王だな。運がいいのやら悪いのやら……」


「運がいいでしょう? 私はそう思う」


「ボロス……僕もです。母上に出会えなかったら君達に出会えなかった。母上のお陰で僕は光を手にしたのです。帝国民と言う光を」


 ネクターはニヤリと笑う。


「残した心残りも無くなったしな……ウリエル。ジイサン、バアサンに恩は?」


「ない。それがなんですか?」


「安心した。失脚したぞ。今までの悪事を全て暴露されている。今頃大変だろうな王家も。嘘だと思うか? ある方の名前……書けばいい」


「………ミェースチと書けばいいか。今では分かりやすい証明書か。母上はここまで我慢したかと言えますね」


 ウリエルは腕を組んで母上を思い浮かべ口元を緩める。不思議だった……お爺様に対する何もない事が。それもやっと……今動いたと言う。


「ウリエル。簡単に説明を頂戴」


「ボロス。母上は王国を相手に苛めをしている」


「分かりやすい。本当に分かりやすい」


「相手は全員母を虐げた者たちだ。もう……復讐は諦めてくれとは言えないですね。相手の士気や戦力を割く手です」


 ウリエルは口ではそういうが……心では忘れて欲しいと願う。母上の裏の顔を知っているために。


「ウリエル。そうだ。騎士団長として仕事はしている。そして……俺は復讐を成せた満足さ。それと……会えるかもな?」


「会える?」


「お爺様にな」


「……………」


 ウリエルは少し考えるが血の繋がりがない母親の父については赤の他人なのではと思い。どうなるか悩むのだった。







 結局、ウリエルは家族会議で情報を投げる事にする。ウリエル、ラファエル、ガブリエルは血の繋がりがないが。実子のミカエルは違うのだ。


 だからこそ……考えないようにしていた。母上の母親に対する扱いを考える必要が生まれた今になってである。


 失脚後、母上をあてにして帝国に現れると思われたのだ。目を瞑っているわけにもいかない。


 なのでウリエルは旅から帰って間もないミカエルに話をしたのだ。


「爺様婆様が落ち生き延びる場合もある。その時に母上は処刑をする筈だ。そこをどうするか決めればいい。ミカエルの言葉なら手のひらをひっくり返す事もするだろう」


「するかな? ウリエル兄ちゃん」


「ガブリエル、ラファエル。もしミカエルが殺さないでと泣きついたら?」


「ウリエル。取り止める」


「もちろんウリエルお兄様。ミカエルの言うことは聞きます」


「だっそうだ。1回なら大丈夫と僕も思う。ミカエルが決めるといい」


「………」


 ミカエルは目を閉じ……一つ二つ考え。まとまったのか目を開ける。


「何もしない。仲良くしようと思えない。確かに血は繋がってるが……心は繋がっていない」


 ミカエルの言葉にウリエルたち三人がミカエルの顔を見ながら首を傾げた。


「ウリエルお兄さんとお母さん。ラファエルお兄さんとお母さん。ガブリエル姉さんとお母さん。全員血は繋がってないけど……お母さんと呼ぶのは心が繋がってるからだと思う。血も重要だけど一番は心も重要だと思う。だから……血縁よりも大切な物がある」


 そのハッキリした言葉に3人は頷いた。


「ミカエル。わかった。では母上の処刑を見届けよう」


 そう決めた瞬間。待っていましたと言わんばかりにラファエルはワインのコルクを抜くのだった。





「母上……報告に上がりました」


「なーに? ウリエル?」


 酔った頭で休日に顔を出すウリエル。同じように休日に報告書を読んでいたミェースチ。紅いドレスに身を包んで城に設けられた騎士団長室の椅子に座る母がウリエルを見る。妖艶な声で囁き、舌を舐める。餌場にウリエルは忍び込んだかなと冗談混じりで考えるなか。一枚の報告書を提出した。


「あら……やっと失脚したのね」


「ネクターからお聞きでしょう? 母上」


「ウリエル。たしかに知ってたわ」


 悪びれず、王国の家族を突き落とした顔は清々しい。


「まだ若い子などいらっしゃいますが?」


「…………」


 若い子、ドントルチェン分家など。ミェースチの後釜やミェースチのように使い捨てにでも出来る子たち。それらも路頭に迷っている。


「母上が復讐対象となり。非常に敵を作る要因にもなり得るでしょう。孤児院に入れ、そこで生活してもらうぐらいは手配しますが……」


 ウリエルの案にミェースチは足を組んで悩む。ウリエルはそれについて……少し丸くなったと言う意見が浮かぶ。問答無用で処刑をと言う母上が落ち着き……考えている。悩む。


 それを見ながらウリエルは笑顔を溢す。復讐だけに囚われている母上が少しだけ快方に向かっているのを見えて満足する。ただ……一般常識では復讐に燃え上がらせて首の危険が増えるために男の親族根絶やしは基本である。しかし、今はミェースチのせいで復讐されるなら全員と言う事が広まり。あの王国ですら全員処刑をする程に常識化しつつあった。目の前の悩んでいる女性が世界を変えてしまった気さえする。


(流石は母上といった所でしょうか)


「ウリエル……」


「はい」


「決めかねていたが……殺してもいいが……恩赦を与えてもいいと思うが。が……が………」


「が?」


「わからない」


「……わかりました。若い子は孤児院にお入れします」


「…………」


 母上は頷くだけで答えない。答えないが……母上の甘さが見え、ウリエルはそれに綻んだ。


 しかし、この決定が後に帝国内で事件になることは想像できなかったのだった。







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