第8話 バカと勇者と他2人、王都に行く
少し遅れてしまいました、すみませんm(_ _)m
読んでいる方ならわかると思いますがこの作品タイトル詐欺気味です。
ガタン!ゴトン!
そんな音と背中の痛みで起きてしまった…どうもレン・アルフレッドです。
「おはようレン!良いタイミングで起きたね、もうすぐで王都に着くよ」
「おぉ…最悪…」
目覚めてから一番に見る顔がテリーとはきっと悪夢だな、もう一回眠ってしっかり起きよう。
「ちょっとマヌケバカ!テリーが話してあげてるのにその反応は何よ!」
「そうだぞ!巫山戯るのも大概にしろ!クサレバカ!」
「あの〜勇者様御一行、少し静かにして頂けますかね〜側には騎士様も居るもんですから」
「すみません御者さん!僕から言っておきますので」
うーん、うるさい。マジでうるさい。テリーが好きなのに迷惑をかけるなよ。まあ、俺のせいなんですけどね。
馬車に揺らせて三千里、何故俺は田舎町から王都なんて都会に出なくちゃ行かないんだっか…そうだ全てはあの日に遡ります。
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ここはエイラスの教会、今教会では選定儀を行うのですが何か様子がおかしい。町で高い地位にある人達が殆ど集まっている。皆勇者のクラスが一体何になるのか待ち遠しいらしい。
「さてと、いつまで地面に埋まっているんですかクラウス。早く出ないと選定の儀に遅れますよ」
「いや…賢者様流石にこれは酷すぎませんか!か弱い乙女を地面に埋めるなんて!」
「いや単身で世界の果てまで来た君がか弱いならあの世界の殆どの人がか弱いのですが」
などとアホみたいな会話をしているのは勿論、賢者とクラウスです。どうやら前の処す宣言で地面に埋められた様です。しかも賢者はクラウスを放って先に教会に行ってしまいました。
「クラウスは放っておいて勇者とあの女の子達のクラスとステータスの確認に行きますか」
「ちょっと待って下さい!今出ますから…って!?これ極位魔法で固めてますね!なんて事!ちょっ!?待ってくださーい!」
「うーん…何やら後ろが騒がしいですね、まあ気のせいでしょう」
クラウスの人で無しーと言う魂の叫びを聞き流し賢者は教会に急ぎます。
教会ではすでに数人のクラス選定が終わっている状態でした、次はクリス・クロードがクラス選定をする様です。
「何とか間に合った様ですね、確かクラス選定は名前順でしたの始まったばかりなのでしょうね」
無事クラス選定を受けたクリスは神父からステータスカードを見て歓喜の声を上げる。
「やった!やった!魔術士よ!それも炎と雷の心得を持ってる!やったー!」
その言葉に並んでいた子供達や、テリーと子供のクラスを気にしている大人達はざわついた。
「へぇーそれは凄いですね、ふむふむなるほどステータスもスキルも魔術士に必要な要素がちゃんと揃っていますね。素晴らしい」
相変わらず人のステータスを盗み見する賢者であったが。確かにクリス・クロードのステータスやスキルは将来魔術士のスペシャリストになれる素質があった。
1人感激に浸っているクリスであったがそれを見ていたフラムは気が気でなかった。
(不味いぞ!私もちゃんとしたクラスにならないとテリーと一緒になんて夢のまた夢だ!)
そんな心配をしている内に皆のお目当であるテリーの番が来てしまっている。テリーが前に出て神父の話しを聞いている頃には、あれ程ざわついていた教会が静まり返っており、空気が重くなっていた。
「それでは勇者テリーよ、ブラフマー様に祈りを捧げるのじゃ!」
「はい!」
いよいよテリーが像の前に行き、クラスの選定を受ける。この瞬間を皆、息を飲んで見守っていた。そして………
「こ、これは!?何という事じゃ!?選定されたクラスが魔剣士じゃと!?中位クラスではないか!?」
神父が放ったその台詞はあまりにも衝撃が強かった、ざわつくどころかむしろ静まり返ってしまったのだ。
普通、人のクラスを叫んではならぬ事だが、これは仕方がない。確かに中位のクラスならば一回の選定の儀で1人は現れる、だが紋章を持ってなお中位のクラスに選ばれた人間は余りにも少な過ぎるのだ。
「確かにこれは選定を受けたばかりのステータスとしては異常ですね…うーん非の打ち所がない、最初からこれ程とは。天賦の才…というものなのでしょうか」
賢者が戦慄をしていると、テリーのクラスがどんなものか知りたかっただけの大人達はどんどん帰って行った。子供達にとっては見られる心配がなくなって、少し緊張も無くなっていた。
その後、順調に選定の儀は進んだ。
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「大人達が帰ったって事はテリーのクラスは決まったのか。さてとテリーは何処だ?一応どんなクラスになったか聞いておこう」
2度目の挨拶ですみません、どうもレン・アルフレッドです。テリーを探しているのだが一向に見つからん、選定の儀が終わった後だから遠くには行ってないと思ったんだが…ん?あれは…
「勇者様、どうか我々と王都に行ってはくれませんか」
「えっと…その…」
「はいはーい!テリーが王都に行くならわたしも連れてって!」
おぉ、テリーの奴騎士さんに王都に行こうって誘われてやがる。ていうか勇者なんだから誘われて当たり前か…うん?テリーがこっちに気づきやがった!?不味いぞこれは過去最高にやばいことに巻き込まれそうな予感がする!?
そんな俺の予感は見事に的中した。
「あっ!?レン!騎士さん!レンと一緒なら僕、王都に行っても良いです!」
何ですとぉ!?テリーのクソ野郎が!なんて事言いやがる!
「何と!?あの者も連れて行けば良いのですね!分かりました。ならば明日の朝この町の門で待っておりますので、そこでまた会いましょう」
あれぇ〜!?俺の意見も無しにトントン拍子に話が進んでる〜?おかしいなぁ〜?絶対これ逃げられないよね、だって町の人たちテリーが王都に行くの間違いなく望んでるもん。クッソ!取り敢えずこうなった原因で憂さ晴らししてやる!
「こらテリー!何が俺と一緒なら王都に行くだ!お前1人で行けよ!勇者なんだから!」
「だって不安だし寂しいし…」
子供か!……ってまだ12歳って子供やん!?
っと俺が唸っているといきなり横槍を入れてきた奴がいる。もちろんこいつだ
「だーかーらーテリーはわたしと2人で行けば良いの!マヌケバカはさっさと帰れ!」
「今までにあっただろうか…クリスの意見に途轍もなく賛同したくなったのは…本当に帰りたい俺」
「別にクロードさんも来ても良いけどやっぱりレンがいないと行きたいないな、王都には」
と話が振り出しに戻り、しばらくの間お互いの意見をぶつけ合っていると。
「ちょっと待った!私も行くぞ!テリーと一緒に王都へ!」
その声の主の名は、フラム・グローリアであった。どうやら選定の儀を終わらせてこっちに来た様だ。
「ふん!フラムは何のクラスになったのさ?テリーについて来るんだから並みのクラスじゃわたしが許さないよ!」
俺は並み以下なんすけどね。
「舐めるなよクリス!私のクラスは中位クラスのサムライだ!」
「嘘!?だけど私は心得2つ持ちだもんね!」
俺は心得全部持ってるけどね。
こうして、また言い争いとなってしまった訳だが結局俺もクリスもフラムもテリーの王都行きに付き合うこととなった。
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「はっはっはっはっ!今日はそんな事があったのかレン!良いじゃないか王都!行ってこい行ってこい!」
「笑い事に聞こえるかもしれないけど真剣に考えてくれよ親父…」
「私も良いと思いますよ王都行き。可愛い子には旅をさせよ!って言うじゃないですか」
うわぁ…両親共々賛成ムードだよこれ、こりゃ諦めて王都に行くしかないかな。
どうも再三すみませんレン・アルフレッドです。ただ今両親に王都行きを相談中なのですが全く駄目です、俺の生活は完全に破壊されてしまうなこれは。
「よく聞けレン!俺がお前ぐらいの時なんかたった1人生きてたんだぞ!転々と街を移動して、何とか食いつなんでいたんだ。お前も王都でAクラスの冒険者になって来い!俺の息子なんだからそれくらいはしないとな!」
それは初耳だな…Aクラス冒険者は無理だとして、何時もお気楽な親父にそんな過去があったとは。それから俺は親父の旅の話に夢中なった…そして忘れかけていた勇者になってハーレムを作るという夢を思い出した。
「わかったよ親父、母さん。俺…王都で頑張ってみる、そして今よりもずっとずっと強くなって…でっかくなって帰って来るよ!」
決意の表情をした俺を見た親父や母さんは満足そうな顔をして俺に最後の助言をしてくれた。
「良い?レン、これから生きていく中で絶対に忘れてはいけない事があったら必ず「心に刻む」これを忘れないで」
「分かった!心に刻んだ!もう絶対に忘れない!」
こうしてバカこと、レン・アルフレッドの長い旅路が本格的に始まった。しかしその旅の道は本人の予想とは反対に最悪な方向へと向かっていた。
次回に続きます
今週中にもう1話投稿しますm(_ _)m