第5話 自分の事を勇者だと信じている精神異常者のバカ
すみません1日遅れましたm(_ _)m
どうも向上蓮です。あぁ今はレン・アルフレッドって名前だったな。
俺がこの世界に来てから丁度2年位経つけど、朝っぱらから外が滅茶苦茶騒がしいな俺が生まれてきてから初めてじゃないか?こんなの。
「レン!大変!クラウスさんのお家で勇者が生まれたんですって!お父さんと一緒に見に行きましょう!」
(何?勇者だと…俺以外にもいたのか、これはどれほどの存在か先輩勇者である俺が確認してしんぜよう。さあ我が母君よ、俺をその勇者の元に連れて行って下さい)
そんなアホなことをのたまっているとまた玄関から人が現れた、まぁ俺の親父なんですけど。
「オリガ!祝いの品は用意できたか!もうすぐに出かけるから早くしろよ!」
「わかっていますよ。グレンさんは台所にある上等のエールを持っていってください!」
「何!?あれは俺が大事にしているものだぞ!絶対に駄目だ!」
あぁ…親父が口答えしてるな、これは久々に母さんあれをやるな間違いなく…。
俺の悪い予感は見事に的中、母さんは突然満面の笑みになり右手に魔力を溜めはじめた。それを見た親父は血相変えて土下座した。
「すみません…エールを祝いの品にします。なのでそのこぶしを下ろしてください死んでしまいます」
この光景を見るのは久々だが。いつも母さんと親父が夫婦喧嘩をすると親父がすぐに謝り母さんに従っている…うんとても情けないと思うわ。
それから少しして母さんも親父も準備が整い、俺を連れてクラウス宅へと向かったのである…しかし。
「これは大変だな家の中に入るのは正直無理そうだぞ」
そう勇者の顔を一目見ようとこの町中の人達が家の前に集まっているのである。
(うーん、まったく凄い人だかりだな…ん?俺が生まれた時ってこんなに騒いでなかったぞ、どういうことだ………まあ何か特別な理由でもあるんだろう、俺は神様に直接勇者にしてもらってるし)
人だかりの中、興味深い内容を話しているおっさんと青年がいた。
「ふむ…今代の勇者の紋章はどれほどの大きさなのだろうか!」
「ん?なあ紋章って何だ?」
「何!?お前そんなことも知らずに見にきたのか…いいだろう教えてやる、紋章の何たるかを!まず紋章とは勇者や魔王など特別なクラスに属している者の目印みたいなものだ、このクラスは持ってる奴が死ぬまで新しい奴が現れない特殊なものでな…………………と言うか訳だが分かったか?」
「お、おうなんとなく(ヤベェ全く内容が入ってこなかった)」
(なんだそれ?俺の体にそんなものあったか……?いや無い気がするな、うーんまあこれも俺が普通の奴と違って特別だからかな?)
恐ろしく長い話を終えた男はこれだからにわかは困ると少し憤慨した。
男の話を夢中になって聞いていたらいきなり人が増えはじめた、後ろの人が無理やり家に入ろうと進みまるで満員電車の様にどんどん窮屈になっていく。このままだと怪我人が出てしまいそうな勢いだ。そんな中親父や母さんも波になす術なく流されていく。
「まずいな…くそっオリガ!レンを頼んだ!俺はこれを止めてくる」
「分かったわグレンさん、しっかりね!」
「だいじょうぶかな?おとうさん」
「ん?大丈夫よ、グレンさんはやらなきゃいけない時はちゃんやる人よ。もしちゃんとしなかったら何が待ってるかも理解しているでしょうし」
母さんの満面の笑みが怖すぎるぜ…基本ボロ負けの親父がどうにか出来るんかな?と思っていたが。
俺の心配は杞憂に終わった。生まれて2年経つが初めて親父がカッコいいと思った瞬間だった、うんやっぱり父親の背中は偉大だなぁ。
そのまま話はあれよあれよと進んでいき、いつのまにかクラウスさんの家で親父と母さん夕食をご馳走になっていた、そして俺はと言うと。
「よーテリーオレはレン、おまえのセンパイだぞー」
「だーだー」
(やはりと言うか赤ん坊に話しかけても無駄なようだ…よし!町の人が言ってた紋章って奴を確認するか)
俺がテリーの体を確認しようとした時、食事が終わったらしい親父やクラウスさんがこちらに来た。仕方ない流石に親の目の前でやるのはやめておこう。
「よぉレン、テリー君とは仲良くしてるか」
「おとうさんテリーのいってることまったくわかんない」
親父は笑いながらそうだろうなと答えたが、その後ろから来たクラウスさんは少し怒りながら俺に注意をした。
「レン君、勝手に赤ん坊に触るのはいけない事だぞ。もしテリーが怪我でもしたらどうするんだ」
「うっ!?ご、ごめんなさい…」
しまった…完全にやらかしてしまった。赤ん坊の触り方とかよく知らなかったからなぁ…これは怒られてもしょうがない。素直に反省しよう。
するとクラウスさんは満足そうな顔をして話し始めた。
「うんよろしい。しっかりと反省してくれたのならそれでいいんだ、今後気をつけてくれればそれで。ちゃんと誤ってくれたご褒美にレン君が見たかったテリーの紋章を見せてあげよう!」
「おー!」
(叱られて泣きそうになったが関係ねぇ!ふっふっふっ柄にもなく興奮するぜ、さあ俺に見せてくれ!その紋章とやらを!)
クラウスさんがテリーの服をめくり背中にある紋章を見せてくれた。だが俺の感想は正直微妙なものだった…それは何故か、確かに紋章らしき痣はあったけどその形の意味が全く分からなかったからである。
「えーとおとうさんクラウスさん、この形にはどういういみがあるんですか?」
「何らかの意味はあるらしいんだけど、生憎よく知らないだ済まないねレン君」
「俺も同じだ、紋章専門の学者とかなら知ってるかもしれんが正直そんなツテも無いしなぁ」
完全に手詰まりの状態を救ってくれたのは食器洗いがひと段落した母さんだった。
母さんはエルフで長く生きてるから紋章について結構詳しかった、形の意味とかどうして紋章を持ってる人が強いのかとか色々と知ることができた。
それから、もう夜も遅いという事で家に帰ることになった。親父はクラウスさんとエールを飲んで酔っていたので直ぐに寝てしまったが、母さんは親父が今日狩りに出掛けられなかったので明日の準備をしている。そして俺は今日聞いた話を一通り振り返っていた。
(うーん同じ紋章を持ってる人は2人現れないのか…もしかしたら俺勇者じゃ無いかもな。なんてあり得ないな、だって俺主人公だしな!これから俺TUEEEしてハーレム作るんだから!勇者じゃ無いとかバカな事考えないでこれからの輝かしい未来を考えよー)
この時の俺に言い聞かせてやりたい。その紋章について深く考えろと…現実世界で培ってきた浅い知識をフル活用しろと。
ここが分岐点かはわからないが、もう少し疑問に思っていたなら絶望の未来も少しは明るくなれたのかも…しれない。
次回に続きます