第3話 バカ中学生死亡 〜そしてテンプレへ〜
あぁ眠たい、あぁとても眠たい。
うん、どうも向上蓮です。ただ今5時間目の数学ですが全く分からん、久々に起きようと思ったがやはり眠っていた方が良かったな。
「よし!この問題がわかる人挙手!」
最悪だ、大谷の声が頭に響いて痛いんだが。あー駄目だ限界だわ、もう寝よう。
「向上!お前寝ようとしてるだろ!丁度いいからお前がこの問題を解け!」
最悪から災厄になってしまった。て言うか何だあの問題、真面目に意味が分からないんだがどうしよう。前に起きてた授業も暗号だったけど更なる進化を遂げてるんだが。
「今回は分からないで済ますんじゃないぞ!」
「せんせー無理でーす」
「意味が変わってないだろうが向上!」
何故だか知らんが分からないで済まさなかったのに怒られた。そして心底呆れた様子の大谷が別の奴を指名した。
「松田お前なら簡単だろう、すまんがあのバカの代わりに答えてやってくれ…」
「分かりました…」
おー松田が俺の代わりに答えてくれるのか、それなら安心だな!うん!もう本格的に眠たいので惰眠を貪るとしますか。いやー助かった助かった…ってやべ意識が途切れ……………………
ガツンッ!
明らかにヤバイ音が教室中に鳴り響いた。
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『よく来たな、向上蓮よ』
「は?」
っえ!?何これ何ここ何があったし!?と言うかさっき誰か俺の名前を呼んでいたような気が…うーん気のせいか?
『気のせいではないぞ向上蓮よ』
「そうかそうか気のせいではないのか………あんた誰!?」
クソっ!?人がいねぇのに誰か喋ってるし、周りもどこかも分からん白い空間だし、何か考えてること読まれた気がしたし、ついでに自分の体動かせねぇどうなってんだこれ!?
『それについて今から説明してやろうと思っていてな。まずお主、転生物の電子書籍が好きじゃろう。それと今の状況を照らし合わせ見るのじゃ、さすれば自ずと答えは出るわ』
うーん転生物だと?…突然の白い空間に姿は見えないが爺さんの声が聞こえて…そして思考を読んでしまうって…
「すごく……似ています……」
と言う事はこの声の主が言いたいのは俺が死んでしまっていて、これから別の世界に転生させようって事か?
『そう言うことじゃ、これからお主をわしの世界であるエンプティに転生してもらう。もちろん勇者として』
「おおー!それは凄い!俺の夢見たハーレムに俺TUEEEEEが出来るのか!」
『その通りじゃもう直ぐに転生させるが何か聞くことはあるか?』
聞くことか……っあそうだ俺の死因は何だったんだろう、確か教室で意識失くしてから記憶がないから分からないんだよな。
『お主の死因を聞きたいのか…うーむ教えても良いが余りにも悲惨じゃからのぅ』
「そんなに酷いのか俺の死に方って…」
爺さんがかなり言い渋っているってことは相当のものなんじゃないのか!?俺の死に方って恐ろしくヤバいのでは!?
『酷い…とは少し違うのじゃが…まあ良い心して聞くがよい。お主の死因は授業中にうたた寝をして机に頭をぶつけ死んだのじゃ!』
えっ?今なんて言った?机に頭をぶつけて?いや……えっ?マジで?俺……えっ?
『そうなってしまうのも仕方ないじゃろう、人類のアホな死に方ランキング上位入賞は間違いない程アホな死に方じゃからなぁ』
「えっと…それでどうなったんですか俺は…」
『死んでることに気づかれずそのまま放課後になってしまったのぅ。確か大谷と言うお主の担任が起こしに行ってやっと気づかれた訳じゃ』
アホだぁぁぁあああぁぁぁあああ!!!!アホ過ぎる!!!ランキング上位じゃねぇよ!!第1位だよ!!!最悪だ!!何!?授業中の居眠りで死亡って!?そんな奴聞いた事ねぇよ!!
『儂も聞いたことない』
「あああぁぁぁぁ………」
『兎も角、儂はお主を転生させてやる。そして勇者としてこの世界を脅かす魔王を倒すのじゃ!』
ちくしょおおお!絶対転生チート使って!ハーレムつくって!魔王ぶっ飛ばして!最高の異世界転生にしてやるぜ!!
「よし!取り敢えず落ち着いた。爺さん俺は勇者となってあんたの世界を救ってやるさ!期待しててくれ!」
『フォフォフォ期待しとるぞ向上蓮よ』
爺さんが話し終えると目の前が真っ白になり体がどこかへ吸い込まれていった。
その最中俺は誓った小説の主人公の様にハーレムをつくりチートになると。
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『ふぅやっと行きおったな、やれやれ結構疲れたわい。ってこのわざとらしい口調ももういいな』
『これで面白くなってきたな、勇者には引き立て役がいるからな。あいつみたいな馬鹿が丁度いい』
『まぁチートだとかハーレムだとかを望んでいたようですが、平和ボケした低脳は一体この世界でどの位生きれるのでしょうか?』
『死んだら死んだで期待外れだったでいいでしょ、これは俺たちの暇潰し何だから。せいぜい苦労しろよ向上蓮』
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視界の全てが白いと言う未知の空間にクラウスは興奮しているが、賢者は無言で佇んでいた。
「最後のは何だったのでしょうあのバカの記憶ではなさそうですが。何か知っていますか賢者様?」
クラウスが1番気になっていた事を賢者に聞くと、賢者はぼーっとしながら。
「あれはドリームダスト、この世界エンプティの元管理者ですね」
そして暫くして賢者は顔を俯きしかめながらこう続ける。
「嫌な記憶を思い出してしまいましたね、まったく…」
賢者の辛そうな顔など出会ってから初めて見たクラウスは、それが自分のせいだと思い誠心誠意賢者に謝った。
「すみません私のせいで…大丈夫ですか賢者様?」
クラウスは申し訳なさそうに賢者の顔を覗き込むが大丈夫ですよこれくらいと返した。
「何故私の記憶にドリームダストが出るのは分かりません、それにについては記憶を追っていくしかありませんね。私も思い出せない部分が沢山ありますので」
賢者もクラウス申し訳なさそうに答えるが、クラウスは顔を赤くし怒りながらこう言い放つ。
「元々賢者様の記憶を見たいと言ったのは私なんです!賢者様が謝る必要なんて1つもありません!兎に角あのバカを追いましょう!」
「………ふふっまさか自分の弟子に励まされるなんて思っても見ませんでしたよ。私は全然成長していませんね…」
賢者はクラウスの言葉に少し驚きつつも自分の未熟さに気づけた事、そして弟子であるクラウスの成長に感動していた。
「そうですね、卑屈なんて私らしくありませんね…それでは向上蓮の転生後に飛んでしまいましょうか!」
「はい賢者様!でも少しいいですか?あのバカがハーレムつくるとか一生かかっても無理だと思うですけど」
その言葉は賢者の心に深々と突き刺さり、今度は更に俯き顔を引きつらせながら、久しぶりにクラウスにムカついたのだった。
「うーん…そうですね今現在もハーレムではありませんので私の夢は全然中途半端と言う事ですね…まぁ黒歴史すぎて思い出したくなかった気持ちもあるけど…」
それは置いておいて!と賢者が叫び加速の魔法をさっさと唱えようとします。
クラウスはまたやってしまった!?と思い急いで賢者に謝った。
「あっ!?賢者様すみませんでした!!」
「もう良いですよ!」
『ネオアクセル!!』
賢者様許してくださいーとクラウスが言うも、世界が歪み始め何も見えなくなっていった……。
次回に続きます