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旧:向上蓮の珍道中〜行け!踏み台のその先へ!〜  作者: 蟹子遊篤
第一章 レン・アルフレッド
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第2話 バカ中学生とそれを罵る弟子

    ーーーとある中学校ーーー

 

 雲ひとつない晴天の中蝉の大合唱を聞きながら中学校の校舎へ入っていく人物が居た。

 そう、賢者とクラウスである。


「賢者様!勝手に入ってもいいんですか?」


 クラウスが焦りながらそう言うと、賢者は基本的な説明を全然していなかったなと思い、振り返りこう答える。


「安心していいですよ、あちら側の方々はこちらを見る事も触る事も出来ないのです」


「そして、こちら側も干渉は一切出来ません。簡単に言えば私達は自由に動ける劇を観ているのです」


 いまいち納得のいかないクラウスはジト目で賢者を見ていたが、すぐに興味は中学校の校舎に移った。

 この中学校は少し古い学校ではあるが木造ではなく、しっかりとしたコンクリートで建っているのでクラウスにとっては未知の技術である。


「賢者様!色々と聞きたいことが山ほどあるのですが、まずここは何処なのですか?」


「それを今から説明しようとしていたところですのでしっかりと聞きましょう。まず、知りたがっていたこの世界についてです」


「やっぱり私達がいた世界とは違うんですか?」


「もちろん違います。ここは…」


 と賢者はここが地球の日本だと言う事と、魔法が無く科学や知識によって発展していった世界であるなど、様々な事をクラウスに説明しながら目的地に進みます。


「此処の学校の生徒だった私ですが、死んで彼方の世界に転生してきた転生者なんです」


「テンセーシャって確か私のご先祖様で、魔王を撃ち破った伝説の勇者ですよね!そんな絶大な力を持った人と同じと言う事は賢者様の力の秘密はテンセーなんですね!」


「その答えはこの記憶を追って行けば分かる事ですよ。っと」


 すると突然、賢者が部屋の前で止まりました。


「クラウス、この教室が私の所属していた場所です」


「この教室で賢者様は勉強をしていたのですか。きっと成績優秀で学校で1番!ってくらいだったんですよね?賢者様!」


その言葉に賢者は少し、というかかなり申し訳なさそうな顔をしてこう返してきます。


「うん…そうだね…まあ期待してくれるのは嬉しいけど…うん、説明するより事実を見せればいいか…」


 その言葉にクラウスは疑問符しか浮かびませんでした。

 そして死んだ魚の目をした賢者が教室の扉を通り抜けて行きます、クラウスもそれに続いて教室に行き真実と言うか現実を見ます。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 いきなり俺の体が揺すられた。一体誰がと一瞬思ったが、まあ1人しかいないので仕方なく起きる。


「向上…やはり何を言ってもお前は変わらんという事か」


「やっぱり先生だ…おはようございます…」


 この人は大谷先生、 他の先生が寝ている俺を起こす事を諦めている中、未だに俺の事を起こしやしがる厄介な先生だ。


「他の先生に聞いたがやはり1、2時間目も全部寝ていたようだな。兎に角、起きたのならせめて板書くらいはやっておけお前の成績は絶望的だからな」


「はい分かりましたー」


 仕方ない…いつもなら揺すられても寝ているが起きちまったんなら言われた通り板書をしてやるか。

 眠い体をなんとか起こし、一通りの暗号の板書を終えると授業の終わりを告げる鐘の音が聞こえた。


「よし!今回はここまでだ。テストが近いから向上もちゃんとしろよ!日直挨拶!」


「きりーつ!気をつけ!礼!」


「「「ありがとうございました!」」」



 流石に始まりと終わりの挨拶はちゃんとしとかないとな、面倒くさいけど。

 教科書とノートを机にしまいながら席に座ると隣の席から半笑いで話しかけてきた。


「本当に相変わらずだな向上は、あの大谷の授業で寝るとかマジでイケメンだわ。尊敬する」


「ここまで嬉しくない尊敬もないがな…」


 まあ事実だから何も言えないけど…と思っていると今度は後ろから話しかけてくる奴がいる。


「それだけじゃないよ、蓮の図太さとアホさ加減もとても尊敬できる」


「お前らマジでぶん殴られてぇかコラ、流石にムカつくぞ」


「でもどうせ殴るのも面倒くさいとか思ってるでしょ蓮は」


 うん、全くもってその通りです。

 俺の事を褒めちぎっているこいつらの名前は松田と柴田。半笑いをしているイケメンが松田、爽やかに毒を吐いている美人が柴田だ。どちらとも小学校からの付き合いだが俺よりも成績が良いし顔も良い。俺だけ顔面偏差値低いとかマジショックです!でも親友だからOKです!ってところだ。


「次の授業何だっけか柴田…国語?理科?」


「確か蓮の大好きな英語じゃなかったけ?それも授業の方じゃなくて外国の先生が来るあれ」


 うげぇ…今度は全然OKじゃねぇ、どうせまた隣同士でペアを組んで英語を話しましょうとかやるんだろう、マジでやりたくねぇ…またお腹痛いって言って逃げようかな。


「腹痛で逃げようとか思ってるだろ向上」


「なん…だと!?こいつ俺の思考を!?」


「図星かよお前…」


 はぁ…バレてしまっては仕方ない、適当に授業を受けてやるか…。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「賢者様まさかあの問題児が賢者様じゃないですよね賢者様、ねぇ賢者様なんか言ってください」


「はい間違いなくあの問題児こそ私です、それと賢者様が多いですよクラウス」


「嘘だぁ!賢者様は凛々しくて賢くて強いんです!あんなそこら辺のバカが賢者様だなんて冗談でもやめて下さい!」


 嘘と絶対違うなどを連呼しているクラウスを見て、賢者はやっぱりこうなってしまったかと思いつつ昔の自分を罵倒され結構傷ついていました。


「ま、まぁクラウス私は完璧超人では無い人間ですのであんな時もあったんですよ。それにこの物語は始まったばかり、ここから向上蓮は成長していくんです」


「なので気長に待ちましょうクラウス」


 さっきから罵倒しかしていないクラウスですが渋々と言った感じにこう答えてきます。


「わかりました、取り敢えずあのバカを見守っやります」


「ありがとうございますクラウス…「でも!まだあのバカを賢者様と認めた訳ではありません!賢者様が言うから仕方なくです!」


 賢者の声を遮って捲したてる様にクラウスが喋ります。そんなクラウスにわかっていますよと答え、賢者はこんな提案をします。


「それでは合格蓮が死ぬあたりまで少し時間を進めましょうか。この辺りは少し退屈でしょう」


「そんな事も出来るんですか!それではお願いします!」


 その言葉を聞き賢者は呪文を唱えます。


『ネオアクセル』


 その瞬間、世界が歪み始め何も見えなくなっていき。やっと正常に戻るとそこは翌日の5時間目の授業でした。


次回に続きます

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