第13話 冒険者エリンの災難
そして伝説へ・・・こっからどう書いていこうか?
此処は王都グランアーデンから馬車で16日程掛かる場所にある、大きな街テミパーラ。そこで新たに冒険者になろうとする者がいた。
「よし、準備は万端!冒険者ギルドに行きますか!」
僕の名前はエリン・カルネ、今日で14歳になります。両親が冒険者になるのは最低でも14歳からと言っていたのでやっと許可が出ました!3人の幼馴染とギルドで会おうと約束しているから急がないと!
エリンは家の扉を開け、冒険者ギルドに向かって走った。すれ違った人達にエリンは挨拶をするとは皆笑顔で返事をしてくれた。そして冒険者ギルドの目の前でエリンは止まる。
「此処が夢にまで見た冒険者ギルド!よし深呼吸をしよう!」
すぅーはぁーすぅーはぁーとエリンが息を整えていると、エリンは声を掛けられた。
「入るなら早くしてくれねぇか、扉の前に立たれると邪魔だ」
「あっ!?すみません!すぐに退きま・・」
しまったと思い、直ぐに謝り退こうとした。しかしエリンは謝る途中で言葉を失った。声の主が余りにも特徴的な外見をしていたからだ。
身長は160センチ位、顔は美しさとかっこよさを両立させたかの様な美貌を持ち。
右目は普通の黒い瞳だが、左目には傷があり獣の様な眼光に赤い瞳をしている。
髪は黒をベースに腰まで伸ばしてあり所々に白いメッシュがかかっていた。10人中10人が美人だと答える様な人がそこに立っていた。
しかしそんな美貌を持っている人が平凡よりかなり下の装備を着ていた。ボロ布の様なフード付きマントに皮の服、そして最低限の急所を守る事ができるクロースアーマー。右腕には何も着けていないが左腕だけ騎士がつける様な籠手で二の腕まで隠していた。そして腰には獲物である平凡なロングソードが据えられていた。
エリンはその人物に勇気を出して話しかけた。
「えっと…失礼ですけど貴女の名前を教えてくれませんか!」
「・・・はぁ?いきなり何だテメェ、俺の名前なんか聞いてどうすんだよ」
「えっと…その単純に知りたくて…」
その人物はエリンが思っていた以上に荒っぽい性格だった。暫くして、面倒くさそうな顔をしながらエリンに話しかけた。
「はぁ・・別にかまわねぇがこの場所じゃ迷惑だ、ギルドの中でなら話してやる。そうだな…飯を奢れそれが条件だ」
「わかりました!是非ご一緒させて下さい!」
エリン達がギルドに入ると、多種多様な人達が依頼を受けたり、ご飯を食べたり、パーティ要請などの資料を見たりしていた。だがなにやら一部のテーブルが騒がしい、確認してみるとまだ10代であろう少女達をいかにもな男がナンパしていた。
「なあ良いじゃんか、どうせ待ってる男もそんな大層なもんでも無いんだろ。Eランクの俺と遊ぼうぜ、君らの知らない快楽を教えてやるよ」
「絶対に嫌ですってさっきから言ってますけど。聞こえなかったんですか?」
「邪魔・・・」
「少しうるさいですね」
どうやら相手は最近Eランクに上がって調子に乗っている男らしい。気の強そうな女の子を筆頭に反発しているらしいがこのままだとステータスの差で連れて行かれてしまうだろう。
「だから・・エリン!やっと来たのね!」
「皆!?どうしたのさ!?いったいこの状況は何?」
「あいつら・・邪魔・・エリン・・どうにかしろ」
「エリン、すぐに助けなさい」
その女の子達はエリンの知り合いらしい、しかしエリンはまだいまいちこの状況を飲み込めずにいた。そんな中完全に無視をくらった男は噴火寸前みたいな赤い顔をしていた。そしておもむろに腰の剣を抜き、少女とエリンに斬りかかる。
「まずい!」
エリンは少女達を庇い背中を向ける。だが・・
「それは駄目だろ、兄ちゃん」
「んな!?」
その攻撃を止めたのはエリンと共に入ってきたあの美人だった。美人はエリン達の眼前に立ち、左手の篭手を盾にしナンパ男の剣を弾いた。ナンパ男は剣を弾かれたため後ろに転び机をひっくり返した。
「すまねぇな、ギルドの人と他の冒険者も。迷惑料ならあとで払うから少し静観しててくれねぇか。ちょっちこの兄ちゃんにオハナシがあるんだ」
「てめぇ・・なめんじゃねぇ!」
「ふざけてんのか、てめぇみてぇな奴舐めたくねぇよ」
ナンパ男は落ちた剣を拾いながら美人に斬りかかる。しかし美人は軽口を叩きながらその攻撃を今度は腰の獲物を抜き応戦する、美人の放った剣の一撃は、ナンパ男が放った攻撃よりも数段上だったのか持っていた剣を弾き飛ばされ今度は店の天井に突き刺さった。
「あ・・すんませんギルドの人、天井に剣刺さっちまいました。これ終わったら抜いときまーす」
「ば・・化け物だ!ひいいいぃぃぃ!!!」
ナンパ男は所々で転びそうになりながらギルドの外へと逃げていった、そのあまりにも無様な姿に美人は大笑いしながら天井の剣をジャンプして抜いた。そこに先ほどの少女たちとエリン、そして冒険者が近づいた。
「あっはははは!あの兄ちゃんおもしねぇな!冒険者引退して芸人になった方が売れるだろ!」
「「「あの・・」」」
「ん?」
「「「助けていただきありがとうございます!」」」
「・・・ありがとう」
「姉ちゃんやるな!どうだい俺らのパーティに・・「いやいや俺達の・・「私達のパーティに!」
美人は大したことはやってないし先約があると言って断り。ギルドの職員に迷惑料を払った、空いている席に座った。エリンと少女達もその席に座り、本題に入った。
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「さて、状況がややこしくなっちまって面倒くせえが。とりあえずそちらさんの自己紹介からしてもらっていいか?」
「たしかにそっちの方が良いですね。僕の名前はエリン・カルネです、今日で14歳になります。クラスは狩人です」
エリンは黒色の髪に黒い目をしているごく普通の少年だ、狩人のクラスということで武器はしっかりと手入れがされている長弓と矢のようだ。
「えっと・・改めて御礼を言わせてください。ありがとうございました、私の名前はリン・プレセアです。クラスは戦士で、エリンとパーティを組もうって約束していました」
(まずいわね・・あの女の人、間違いなく私たちよりも美人で度胸がある。少し気弱なエリンが惚れそうな相手だわ)
リンは赤い色の髪を腰までのばしている活発をそうな少女で、腰にバトルアックスをつけているところを見ると重い一撃を与えるタイプの戦士のようだ。
「・・名前・・リオン・・クラス・・格闘家・・」
(エリン・・また女・・連れてきた・・)
リオンは紫色の髪を短くまとめている無口な少女で、スパイクブーツを装備しているところを見るとどうやら蹴りを主体としている格闘家のようだ。
「助けていただきありがとうございました。わたしセラ・ブラウスと言います、クラスは僧侶です。適当にセラで結構ですよ」
(ふむ今度は大雑把系の女性ですか、エリンは本当にプレイボーイですね)
セラは黒い髪を肩まで伸ばしている真面目そうな少女で、武器はメイスではなくステッキなので回復を重視しているようだ。
「よし、まあ一通りわかった。最後は俺だな、俺の名前はアレン・シーカー。ただの冒険者だ、一応よろしくと言っておく」
アレン・シーカーと名乗ったその人物は、いったい何フレットなのか。そしてそんな馬鹿に出会ってしまったエリンのこれからとは。
次回に続きます