聖女の本性現る
あ、ありのまま…今起こった事を話すぜ。FG○の周回をしていたと思ったら次の日になっていた。何を言ってるのか分からねーと思うが俺も何をされたのか分からなかった。更に、後1話投稿しなければならないと言う事実に気づいた俺は頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ。
「存外雑魚の犬を育てるのも悪くはないかもしれんな、利用する価値は充分にある。そして黒髪の女、冒険者クラスにしては中々やるな。このパーティじゃお前が1番動きが良かったぞ」
どうやらリザードマンはテリー達のことは眼中になく、レンを賞賛する為に出てきた様だ。
(最悪だ…何て日なんだ、まさかCランクでも強い部類に入るリザードマンと遭遇するなんて。しかし、そのリザードマンに褒められるとかかなり嬉しいんだけど!)
レンもレンでこの状況がどれだけやばいのか理解しておらず、敵に褒められて舞い上がっていた。
そんな意味不明なこの状況を壊したのはテリーだった。
「うおおお!」
テリーは走り出し、リザードマンに向けて剣を振る。しかしその攻撃は素人目から見ても、どう振るのか分かってしまう拙い物だった。
側から見れば格上の敵に果敢に挑む勇者の姿だろう、しかしそれはHIPのYOUつまり蛮勇だ。ド○ゴンでクエス○な勇者も逃げる時は逃げるのだ。
「ん?何だその腑抜けた攻撃は、どう斬るのか丸分かりではないか」
リザードマンは心底呆れた表情で攻撃をかわし、反撃の姿勢に入る。テリーは攻撃を回避され大きく体制を崩してしまっている、このままだとリザードマンの鉄拳が直撃してしまうだろう。
「テリー!どけ!」
しかしその時、レンが横からテリーを突き飛ばした。そのおかげでテリーはリザードマンの攻撃から逃れることができた。
「バカ!今の強さでリザードマンに勝てるわけ無いだろ!死にたいのか!」
レンのその言葉で、テリーは我に返った。どうやら自分と敵の力量の差も分からないくらいに錯乱していた様だ。
テリーは起き上がり、剣を構え直す。どうやらまだやる気らしい。
「ありがとうレン、助かったよ。でも勝てないって分かってても、此処で逃げたら勇者じゃ無いよ、だから戦う」
「私を忘れては困るな!テリーがその気なら私も一緒に戦うぞ!」
「んなっ!抜け駆けすんな!わたしもテリーと戦うし!」
「グローリアさん、クロードさん。ありがとう!よし!行くぞ!」
テリー右、フラムは左からリザードマンに斬りかかる。クリスは魔法を放つため狙いを定めている。テリーとフラムで隙を作り、そこにクリスの魔法を当てるという作戦の様だ。
「成る程、悪くは無い。だがその作戦は力量が拮抗している時に使うべきだぞ」
そう言ったリザードマンはテリーとフラムの攻撃を腕の鱗で弾き、腰を下げ何かの準備をする。
「不味いぞ、聖女様!クリスにプロテクションを!」
「えっ!?わ、分かりました!」
セシルがプロテクションと唱えたのとほぼ同時に、リザードマンが一瞬にしてクリスとの距離を詰め、腹に渾身の蹴りを打ち込んだ。
「がはっ!」
クリスはとても少女が出してはならぬ声で吹き飛び、木にぶつかる。セシルのプロテクションのお陰でダメージは抑えられたとは言え、かなり深刻な様で直ぐに気を失ってしまった。
「クロードさん!」
「普通ならば今の一撃であの様な小娘は殺せていたんだが。黒髪と金髪の女、何かしたな。どうやら狙う対象を間違えた様だ、明らかにあっちの奴等よりお前らの方が強い」
リザードマンはレンとセシルの方を向く。どうやら今度は遊び無しの本気、今まで行なっていなかった構えを取った。
相手の動きを見逃さないその眼孔やどんな動きにも対応をするその構えは下手に動けば間違いなく殺されてしまうだろう。
(最悪だ・・は○めの一歩的に、ああいう相手にフェイントは通用しないだろうな、そして油断も無い。だとすれば愚直な一撃か?それも駄目だ、あっさりとカウンターを取られるだけだろう。じゃあどうすれば良いんだよ!冒険者なんかじゃ絶対に勝てない、ここは俺が生き残ることを考えよう)
その時、レンの頭にある作戦が浮かぶ。賭けにはなるが、自分は生き残ることのできる作戦を。
「うん、悪いなお前ら。だけど勇者だしな俺は・・死んじゃ駄目なんだよね」
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「うむ、どうやらレンは逃げる気満々ですね」
「馬鹿だ・・すぐに殺されますよ。そんなことしたらリザードマンはやることは決まってます」
この絶望的な状況を眺めていたのはやはり賢者たちだった。どうやら二人は何をするのかわかっているようだ。その時レンは突然リザードマンの方向に走り出した。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「何!?」
リザードマンは無謀な攻撃でもするのかと思ったが違った。なんとレンはリザードマンを無視して森の奥に行ってしまったのである。
「ふざけるな貴様!待て!」
一人の戦士であるリザードマンにとって戦いから逃げ出すというのは、一番神経を逆なでする行為であったため。レンを追って森に入って行った。
レンは賭けに負けた。皮肉なことに、賭けに負けたことで自分以外の全員は逃げることができるという状況になった。もちろんレンはそんなことまで考えてはいない。
「よくやりますねぇ、リザードマンは誇り高い種族ってわかっててにげたんですかね」
「はぁ・・わかってなかったと思いますよ」
賢者はため息をつきながらそうつぶやいた、さて肝心のレンはというと大変なことになっていました。
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「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・めっちゃ追ってきてるし完全に俺の作戦失敗してるやん!」
ちくしょう・・俺だけ逃げる予定だったのにまさか追ってくるとは、絶対に敏捷の差で俺が負けるじゃん!戦う流れ出し!最悪だわ!
「逃げても無駄だぞ黒髪!」
「うるせぇ!黒髪じゃなくてレン・アルフレットだ!ちゃんと名前で呼べや!」
「なるほど、ならばレン・アルフレット!この俺ガイ・アルザと決闘をしてもらおう!」
うへぇ・・絶対死ぬし、あんなのと戦ったら。仲間がいるならまだしもタイマンなんて確定死じゃん。まだだ、まだ逃げる方法があるはずだ。
「無言は肯定と受け取るぞ!いざ!」
ガイは走っているレンにあっさりと追いつき踵落としを放つ、それを横に転がり間一髪で回避したレンは体制を立て直し。今持っている獲物である短剣から直剣に替えガイに斬りかかる。
「まだ考えてる途中でしょうが!」
「甘い!」
直剣を腕の鱗で弾き、体制を崩すであろうレンにガイは攻撃をする。しかしダメージを受けたのはレンではなくガイだった。
レンの直剣での攻撃は弾かれる前提で行ったものであり。弾かれた直剣を手から離し、必ず反撃をしてくるであろうガイのこぶしにあわせて顔面にクロスカウンターを行ったのである。
「ぐっ!?どうやら・・また見誤ったようだな」
(全然ダメージがないのかよ・・今のが俺の最高に近い攻撃だったんだが、本格的に勝ち目がないな。どうしよう・・)
「ふっ・・面白くなってきたな」
再びガイが構えるもその戦いを遮る者が現れた。
「ガイ!こんな所で何してんだ!」
「「へ?」」
現れたのはまたリザードマンだった、そのリザードマンはガイに近づき頭を叩きまくった。
「いてぇ!」
「何処行ったのかと思えば、お前はまた人様に迷惑かけて!ほらあの人に謝って!さっさと帰るぞ!」
「わかった!わかったから兄貴!」
(えーと?何この状況?一応助かった・・で良いのかな?うーん?)
兄貴と呼ばれたリザードマンはペコペコとレンに謝り、ガイを引きずって森の奥に行ってしまった。レンが最後に見たのは悲しい格好で必ず続きをやるからな!と叫んでいたガイだった。
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コボルト討伐の依頼を終えたテリー一行は急な雨に見舞われた為、それぞれ城の自室に戻っていた。
しかしとある人物だけ自室とは違う何やら暗い部屋で、何者からと話し合っている。
「準備は出来ているのですよね」
「はい、完璧です」
男は答えた。
「そう・・それは良かったわ」
「しかし、標的が即刻死刑になるやもしれませんが宜しいのですか?」
別の男がそう言う、会話から察するにどうやら何者かを陥れる作戦らしいが、死刑は困る様だ。
「いいえ、お父様なら死刑はさせず一生牢獄に閉じ込める選択をする筈です」
「理解されているのですね、国王陛下を」
「ええ、当たり前です。唯一の娘ですから、私は・・ふふふ。もうすぐ、もうすぐです早く私の物になって下さい」
不気味な女性の静かな笑い声が大雨の中で確かに響いた。
次回に続きます
本当に申し訳御座いませんm(_ _)m
もう少し待ってください