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『第二の人生Ⅰ』

 俺は目を覚ますと地面に横たわっていた。ここはいったいどこだ?俺はなぜ地面に横たわっていたんだ?疑問は尽きないが、一つだけ分かることがある。自分はなぜか生きているということだ。正確には生き返っていると言った方が正しい。

 混乱した頭を落ち着かせて現状で分かっていることを整理しよう。俺の名前は城崎隼人(きざきはやと)、年齢は17才。最後に覚えていることは、病院のベッドで人生を終えたこと。だから服は病衣で靴は履いていなく裸足だ。

 何の意識もしなかったが自分の足で立っている、筋肉もそこそこ付いている、腕を回したり跳ねたりしてみるが違和感はない。こんなことがあり得るのだろうか、いやあり得ているから普通に立っているのだ。普通に人生を送ればこんな姿になるのか、と驚きと嬉しさで自分の体をあちこち触って確かめる。自分自身についてはこんなものだろう。

 次は場所についてだ。まずここは日本なのだろうか、背の高い木々が生い茂っているから周りを見回しても目に留まる物は木と草ばかりだ。唯一わかるのは今が夜ということだけ。木の隙間から差し込む月明かりで辺りを見回すことはできた。

 空を見て深い溜息をつき、少し笑ってしまう。ここまで自分の状況がわからないと不安を通り越して笑えてくる。


「なにわともあれ、どうやって生き返ったのかはわからないが神様に感謝だな。そして、第二の人生は楽しく生きよう。」


 そう言ってパンッパンッと手を二回叩いて合掌する。

 だが、感謝するのはいいがこれからどうしたものか。森の中で遭難した場合の対処法についていくつか考える。

 まず、周りの安全確認。木と草ばかりで襲ってくる動物はいなさそうだな。次に方角だ、確か北極星を見つけられればそこが北だな。……………見当たらない、いくら探しても見当たらない。

 なぜ見つからない、と慌てて空を見ているとき、ふと考えたくないことが頭をよぎる。


「もしかして、ここは日本じゃない……とか?」


 さすがにそれはないだろう、ないと思いたい、ないはず、ないよね?百歩譲ってそうと仮定する場合、ここは南半球のどこかになる。それでも状況的に相当やばい。

 知らない国に一文無しで放置されるとかどんな罰ゲームだ。こんなことをした奴を恨んでやりたい。といか親も止めろよ。

 だが、そうと分かれば不用意に動くことは得策ではない。朝になるまでここで過ごしてそれから行動することにしよう。

 都合よく布など無いので、落ちている葉っぱをかき集めて布団代わりにする。こんなところで寝るのは危険かもしれないが、体力を回復させるのも立派な仕事だ。

 葉っぱ布団に横になり目をつむって寝ようとした時、木々の間から微かに動物の唸り声が聞こえた。驚いて飛び起き辺りを見回すと、赤い二つの光がいくつか見える。


「まじかよ。」


 どうやら二度目の人生もそんなに甘くはないらしい。動物に襲われるのなんて、小学生のときに近所の犬に噛まれるの以来だ。

 そんなことを思い出していると赤い光が徐々に大きくなって、赤い目の持ち主が正体を現した。その姿を見た途端、全身の血の気が引いた感覚がした。

 やっと落ち着いてきたと思ったのに最大級にやばい問題が発生した。動物に襲われることよりも遥かにやばい。何がそんなにやばいかというと、ここは日本どころかもしかしたら地球ですらない可能性がでてきたということだ。

 目の前にいる動物?いやここでは獣と表現した方が適切だろう。

 見たことがない。確かに自分は17年という短い人生だったが、こんな獣は知らない。太い四本の足がしっかりと地面を捉え、赤い両目と尖った耳。全身を黒い体毛で覆われており、唸る口から見える牙は、いかにも獰猛ですといった感じだ。

 このドーベルマンを筋肉質にした感じの獣はまだいるかもしれないが、見えている数は五匹だ。涎を垂らしてこちらを見る姿から、間違いなく肉食だろう。犬というより狼に近い感じだろうか?

 こんな獣が地球上に存在するのだろうか?いやいるはずはない。もしもこんな凶暴は動物がいるのならトップニュース間違いなしだ。

 ここは地球ではないのかもしれない、そんな考えたくもないことを考え急に不安がこみ上げてくる。さらに、今にも自分に襲い掛かってきそうな獣たちを見ると、今更ながら怖くなり足が震える。不安と恐怖で今にも押しつぶされそうだ。

 だが今はここがどこなんて考えている余裕も怖がる暇もない。せっかく神様に生き返らせてもらった第二の人生そんな簡単に終わらせたくない。


「どうする、逃げるか。だが逃げたとしてもこいつらから逃げ切ることなんてできるのか。」


 この状況を解決するための方法を散々考えるがまともな案が思いつかない。やはりこういう状況ではこの方法しかないだろう。


「城崎隼人、何年ぶりかの全力疾走頑張ります。」


 そう言ったあと、大きめの石を赤目の獣目掛けて投げ、それと同時に全力で駆けだした。

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