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  作者: 欅いらくさ
7/10

かい


感覚が狂ってきた。ぼんやりと頭の中がゆがむみたいだ。

読書をしながら、私は青りんごをかじっていた。

味もせず、すごくぱさぱさしておいしくない。

壁にもたれながらひざにかけた毛布を引き寄せる。

食べる気すら失せ、皿を奥へ押しやると次のページをめくる。

今読んでいる本は怪物のお話。まぁ、ファンタジーというべきか。

『ワタシは壊すために生まれたノダ。そう気付かせたのはお前ら……』

可愛そうな怪物を演出する文章は、標的を次々に倒していく文章になっていった。

こんなのリアルにいたら大変だなぁ。

さらにアンドロイドまで出てくる始末。すごい突っ込んでいくなぁこの話(コレ )

なんでもキャラクターを入れていけばいいってものじゃないのだけれど、

読み進めていくにつれ、どんどんキャラが増えたり死んだり…。

読むのに疲れる話かもしれない。

ヘリが仲間にモールス信号を送る。

『I、C、H、I、G、O、U、K、I、T、S、U、I、R、A、K、U、S、U』

「一号機、墜落ついらくす……」

口に出して読み上げてやっと文が分かった。

あぁ、眠たい。


目をハッとして開いた。

寝ていたのかな……。

変な体勢をとっていたからか、首や肩が痛い。

それにしても、いつの間に私はベッドにもぐっていたのだろう。

伸びをすると、地響き。

「………ん??」

なんだなんだ。外だ。

玄関を開けて覗くと、火の粉と煙。

黒々しい煙の中から炎がちらりちらりと跳ねている。

「どう………な、え?」

へいの下を見ると、金属の塊が変な具合に曲がって絡まるように落ちている。

隣の人も、マンションの住人もだいたいの人は窓や扉から顔を出している。

「ヘリ………?」

さっき読んでいた小説を思い出す。

「『ヘ、リ……墜落…………す。』……」

夢だったというの?小説を読んでいたことが。

マンションの下だけじゃない。

ほかの建物からも煙が上がって、崩壊した建物が遠くに見える。

エレベーターや階段の方から怒号が聞こえる。

あぁ、ここもダメなのか。

屋上の方を身を乗り出して見ると、煙。壁の破片やちりが降ってくる。

ヘリの落ちた方から粉塵ふんじんが舞う。

あぁ、向こうの建物が倒れてくる!

今更逃げても間に合わない。

階段まで200m、向こうの落ちてくる速度は尋常じんじょうじゃない。

証拠に土煙のごとく何かが目の前をふさいで見えなくなった。

「誰か!!」

聞こえるはずなどない。すでに逃げる姿をいくつも目の端でとらえていた。


私は手遅れだ!


と思ったが、ぎりぎりのところで向こうの建物はこちらに届かず、地響きと何かの破片や塊が飛んできただけだった。

心臓が破裂しそうなくらい、呼吸ができないくらい死ぬかと思った。

奇跡だ。

しかし目の前の光景は、夢じゃない。

もうやめてくれ………。夢だって言ってくれ。

嘘だと言って。こっちが嘘なはずなんだ。ウソじゃなきゃいけない。

誰か。

瞬きも呼吸も忘れ、そこからは一切覚えていない。

目覚めたとき、小説を読んでいた時のように壁に凭れていた。


……首や肩が痛い。

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