表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
漆黒平和団  作者: 霜降雨
1章 私たちは漆黒平和団
5/7

華と夢と紅、雫と幸と星

各班の練習場所は一つの部屋で個人個人行っているらしい。

班の武器もそれぞれいろいろなものがある。

班の部屋の中には個性的な武器、人との会話など、色が違う。

私は自分の班だけではなく他の班も楽しく班の個性を引き出すような、そんな練習になりそう。

仮に私の班は・・・


「あー!なんでこんなんだよ!」

早速颯太が自分の武器について不満を言っている、うまく扱えないからか。

「1班全員それだからしょうがないよ」

私は弓を手に持ちながら颯太に話しかけた。

妙に天井から謎のこびとのパネルがカタカタカタカタ不気味に動いていた。

ただのプラスチックで出来たこけしみたいなパネルを比奈野は狙い済ましていた。

「お!」

パーンという音と共にパネルが埃のように散っていき、土台となる部分だけがかたかたと動いていた。

「やったぁ!これで2回目!」

また当てられなくてしょんぼりしている私の後ろで比奈野が喜んでいる、自分が打ち抜こうと思ったパネルはカタカタという音を立てながら去っていった。

「律華、しょんぼりしないで、今日始めたばっかだからね?」

叶が励ました、その言葉を飲み込むように私は弓を構え「わかってるよ」と言うようにパネルを狙った、このときの私はもう心の葛藤なんてなくなっていた。

またパネルが来た、けれど9連続外れだった。

颯太と私は一度も当ててない、叶と恒星は一回だけ、比奈野が二回と最高、そして純は・・・

ショックから立ち直れずに端っこで私たちを凝視していた。

ウォークマンをとられたショックは凄いんだろうな、少々他人事かもしれないけれど。

「純~どうだ~?一回くらい」

恒星が冷やかしのような・・・慰めてるのか分からないが純に話しかけていた、けれど心は向かなかった。

「本気になれないしなぁ・・・」

「ぐずぐず言わずにやりなよ!」

叶がその状況に気付き、自分の持っている弓を純に押し付けた。

「・・・いや、平気」

それでも心は向かなかった、恒星は叶の行動に呆気に取られているだけで行動せず、比奈野は練習に熱中、颯太はどうでもいいかのような目線でカタカタ動くパネルを見て、私はただその様子を見守るだけだった。

「わかったよ、やればいいんだろ?」

そう言うと重そうに立ち上がって叶の弓を奪い取る、そしてパネルが流れてきたと思うと、一瞬の内に消えた、打ち抜いたのだ。

全員呆気に取られていた、比奈野でも当てたのは5回目ぐらい、純は一発で当ててしまったのだ。

「・・・すごいよ純!私見返しちゃった!」

「いったい何を見返したんだ!」

褒める叶とツッコむ純、どちらも笑顔だった、ウォークマンを取られたときとは違う軽い顔だった。

私はそれを見て微笑んだ、私だけじゃない、みんなが。


別の部屋でのあの人形は、斬られていた。

義和が凝視する中、慶喜は自分の手に持っている刀を人形に向かって振り上げ、斬った。

すぐ真っ二つになった。

「わーおみごとー」

義和が心のこもっていない拍手と感想を上げると、それに慶喜は怒った。

「お前!お前が見せろっていたのになんでこんなお礼がないんだよ!」

「そーだぞ!人ががんばってやったのに生半可な感想はよくないぞー!」

慶喜が怒っている後ろで勇人も声を荒げた、なぜあんな野次を飛ばしたのか生半可なことを言われたのか知らないが、次の瞬間に義和は立ち、声を勇人並に荒げていた。

「てめえは黙ってろ!」

その言葉と同時に武士の戦争が紅班で広げられた、周りに合わせてしまう慶喜もふざけて加わり、まるで一揆のようだ。

さすがに腹が立った近くにいるまつりは鬼が怒ったように声を張り上げた。

「ちょっと!髪切っちゃったら困るからやめてよ!」

その言葉を聞いた三人は刀を置いて、一気に一つの一揆から水戸黄門のあのシーンのように土下座をしていた。

「すんませんでしたぁ!」

その言葉の隅であらたは黙々と剣を触っていた。

まつりはその様子を近くで見ていたため、近くまで来て話しかけた。

「あらた?こんなに剣見て何やってんの?」

あらたは無言であの人形のほうを指差し、ぼーっとしていた

「この剣、切れ味悪いよ」

よく見てみると、藁で出来た雑っぽい人形がジグザグに切れていてまっすぐ切れていない、藁の特性と言うべきなのかこの剣の切れ味が悪いのか・・・とにかく何かがおかしいのは分かった。

「うーん、私にはよく分からないや」

一言だけまつりが呟いた。


別の部屋、そこで行われていたのは蛇の宴・・・みたいな光景を出している鞭の武器を使う幸班の練習風景だった、蛇の宴とか盛る内容なのかと思うが、まあ、大体そうだった。

「いやいや!!!当たったら痛いから大河やめて!」

「変態じゃねえかよこいつ!」

悪い意味で。

「悪くないだろ?別に、害なんてないだろー?」

大河はそうすっとぼけているが周りは全然反対の方向まっしぐら。

「いやいや、何回かメガネ壊れそうになったから、悪いから」

広架はただただ焦る顔をして。

「血とか出たらどうするの!?危ないよ!?サヤカさんがなんていうか・・・」

遥は大河を叱りつけて。

「でも血とか言うけどさぁ、哲の場合は見えるもの何もかもが血だからさぁ」

「たとえ方やめろ!心に来る!」

哲は大河に振り回されて。

「平気じゃないのー?サヤカさんさっきこれは人に当たっても害が無いやつだからって」

委員長のはずの美月は、その様子をただただ凝視しているだけだった。

相変わらずどの部屋にもある藁人形は練習のためにできた無残な傷跡がはっきりと残っている。

大河がふざけてやっている前からその傷は付いている、今、休憩中か大河が突然やりだしたかだ。

「まったくーひやひやしたよ」

広架がため息をついて床に座り果ててしまった、その後の時間は無言、さっきのがまったくの夢だったかのように静かだった。

「そういやさー美月」

その時間はすっと終わり、大河が美月に話しかけていた。

「え?何?何のよう?」

美月はあわてて返していた。

「これとかの武器って、俺らには無害なんだよな?」

「そうらしいよ」

美月がさっき言った人に当たっても害が無いやつという言葉に反応したようだ、聞いていた哲も自分の持っている鞭を軽く当ててみるが、まったく痛そうな感情をしていなかった。

「へー?すごいなぁ」

哲と同じように確認した大河は呟いた。

そこから無言が続くかと思ったらそんなことはない、遥が次の話題を出してきた。

「そういやさ、私達の練習部屋の・・・前の部屋?あるじゃん」

「あー、あそこ?」

広架が話に入ってきた。

「あそこの扉の窓、ちょーっと見てみたんだけどね?」

その続きを言う前に、哲が反応した。

「あーあーあーあー!あそこ広くね!?」

「そう!広いんだよ!」

遥が言うには、幸班の練習部屋の向かい側がかなり広いということだ。

「この部屋そんなに広く無いじゃん!」

幸班の部屋の広さは教室かそれ以下の広さ、それに不満を持っているのかはわからないが気にしていたらしい。

「あそこ練習場所じゃなかったりして」

大河が遥に指を指しながら言った。

「まあ、武器がやばいんじゃない?武器が」

広架が興味なさそうに言うと、遥は「あー」と深く相槌をうった。

その話もそこで途切れて、地味な無言が続いた。


幸班の向かい側の大きい部屋はちゃんとした練習場所だった。

他のところよりも広い教室の2倍分ぐらいあるこの部屋には、珍しく人形が何処にもない、広さの無駄遣いぽかった。

だが、その武器が使われるというとこれくらいでいいかと感じるものだった。

「・・・で?これ?どうやって練習するの?」

香が疑問をぶつけだす、サヤカもシオンもサザンカもいないし、どう対処すればいいのかと言う問題だ。

「爆弾だし、誤爆すると危ないかもね」

清子が同じ状況に悩みながら香の言葉に便乗した。

「舞園はどうやればいいと思うー?この手榴弾」

香はどうしようもない状況の中、いさまを呼び出した。

「俺に聞いたってわかんないよ・・・」

この状況に困っているのは同じなのか、ほぼ同じ答えが返ってきた。

「・・・竜生」

別のところで峰狭は竜生を呼び出した、内容はまったく同じだった。

「この爆弾?・・・そりゃあまあ」

それを聞いた竜生は手榴弾のピンを抜き、本気そうな顔で壁を凝視した。

「竜生!ままま待っていきなり!?」

それを見ていた清子は腰を抜かしたように驚いた、竜生は思ったことをすぐに実行するタイプなので危険なことをしてもおかしくなかったのだ、香といさまはその声に反応し竜生のほうを見つめ、峰狭は何も言えずに突っ立ってるだけだった。

「なんだよ!爆弾は!爆発しなきゃ!始まらないだろ!」

そう叫んだ竜生は爆弾を思いっきり遠くの壁に投げつけた。

その場にいる全員はギョッとした、けれど竜生は運動能力が全体的に高い、危機は逃れるだろうと思っていた。

思ったよりも手榴弾が飛ばず、約4mくらいしか手榴弾が飛ばなかったが。

「・・・は?」

「・・・いや・・・え・・・?」

その状況にだれもが声を漏らす状態となった、一時の無言はその前兆と言えるだろう。

「何やってんのよ竜生!!!!!!!」

清子が竜生に怒鳴った。

「いやここまで飛ばないとは思って無かった・・・てそんな場合じゃない!!!!」

「責任を取れ!」

「こんなことになるとは思っていなかった!!!偶然だ!!!俺を責めるな!!!!」

パニック状態に陥った清子と竜生はわけも分からず言い合いをしていた、もちろんそれ以外だってパニックになっていた。

「扉が開かない!!??どうなってんのこれ!?」

さっきまで開いてたはずのドアが開かなくなっていた。

「こっちのほうが爆弾に遠い・・・った!!!」

爆弾から遠ざかるためにあえて爆弾の方に行こうとしていた、だが景色は近くなのにそばにいけずに戸惑っている、結界のようなものなのか。

「今爆発したら命終了する!!!」

そのような状態の中峰狭はただ一人動かない。

だが、焦っているのは確実だった。

言い合いや脱出をしているうちに・・・その時は来てしまった。

突然・・・やっぱり・・・?爆弾は爆発した。

爆音が周りを轟かせて、響かせる、一瞬の閃光も煙の中に消えて、爆風の波紋が広がっていった。

その波紋の中に夢班は押しつぶされていった。


「ひっ!!!なになになに????」

その音は紅班のまつりにも聞こえていたから他の班にも聞こえていた。


煙がゆっくりと消え、爆風の波紋が落ち着きだした頃。

夢班は壁に押し付けられるような感じで倒れていた。

「・・・んあ?」

香が最初に目を開けて周りを見回した。

壁に寄りかかっているが傷は無い、香だけではなく他の皆も。

「・・・うわーびっくりしたー・・・俺は生きてるのかーよかったー」

爆弾の近くにいたいさまさえのんきな事を言っているので、改めて被害は無いようだ。

それと同時に、夢班の練習場所の重いドアが勢いよく開けられた。

「あわわわわわ!!!!!大丈夫!!??」

サザンカがコケそうなほどに慌てて夢班の無事を確かめた、全員居て、しかも息をしていることを確かめると大きなため息を吐いた。九死一生に近い状態だったのかもしれない。

「防音機能作動しなかったかー」

サザンカは足音を鳴らしながら香たちを見回した。

「・・・全ての元凶は誰だか」

峰狭が嫌味混じりに竜生を見た、それは清子も同じだった。

「はっ!?全ての責任を押し付ける気かよ!?感じわりぃなぁ失敗することだって・・・」

「えっまさか爆弾近くで爆発した!?」

竜生の言葉はサザンカの大声にかき消された。

「そういうパターンか・・・うーん、意外と飛距離出ないのか・・・」

そういう危険物を扱わせるなと、何人が思ったのだろうか。

サザンカがゆらゆら揺れているだけが目に付く感じで無言が続く。

「・・・あっ!シオンに頼もう!」

サザンカはそう言うとすぐさま部屋を出て行ってしまった、さすがにそれはどうだろうかと周りの空気は感じた。

「あっしばらく爆弾は投げないでね!」

扉の外側からひょこっと顔を出すと、走っていってしまった。

爆弾は至近距離で爆発してもたいした被害がないとは分かったが、さすがにやばいなと確信したのは夢班全員だった。

爆弾を投げれないので練習が出来ないから、一体どうしようかと疑問にしか思わなかった。

「・・・とりあえず、今後全員石投げでいいから飛距離伸ばそう、とくに香」

清子は運動神経の悪い香をピックアップして全員に告げた。

「なぜ私を」

うすうす気づいてはいるが香は突っ込みを入れてしまった。


武器は実際にあるものばかり?いや、漆黒平和団オリジナルの武器もある。

漆黒平和団の武器はサヤカとシオンの二人で作ったものだが、これは味がある。

「・・・で、これで完了、粉は吸わないでね」

サヤカがいるのは雫班、雫班がその武器を使って戦うのだ。

「なんていうか、幻想的だね・・・」

きさきが呟いている間に、一番心配な基本的に話を聞かない天音が使っていた。

天音は一本の先が丸い棒を真ん中で割り、そのまま握り続けた。

「つまんなーい!早くー!」

せっかちな面もあるのか、つまんなそうだった。

その天音と遠いところにいるしずくの手には、何もなかった

「あ・・・れ?」

握っていたはずの棒は消えてなくなった、しずくは手を上に上げた。

その瞬間、聖火のようにしずくの手から炎が上がった。

「わーっ!!!」

きさきはそれに驚いてすっ転んでしまった、それを見た弘文はくすくすと笑っていた。

手から炎が出てるので熱くはないのかと周りは思うが、サヤカはしずくに聞いた、その答えは意外なものだった。

「熱くは感じないでしょ?」

「うん、感じない」

うそっ!とたまきは驚きの声を出すが、事実しずくは平気そうだし、汗もかいていない、感じていないのは見て分かるとおりだった。

「どういう技術なんだ・・・」

弘文はただただ唖然としてその様子を見ていた、綺麗な炎がちりちりと周りを明るくしている

「棒を半分に折って、握って魔力を手に浸透させる、そして棒が浸透したとき力を発揮できる、こ・れ・が魔棒の力よ!!!!!!!」

自信満々にサヤカは大きな声で言う、次に魔力が浸透したのはたまきだった。

たまきは恐る恐る右手を開くときらきらとした雪の結晶が現れて、周りに冷たい雰囲気を与えた。

本人は冷たいとも感じていず、周りも寒気などは感じていなかった。

「あーこれで、雪の女王のマネできるかなー」

たまきは呟いた。

「幽閉、理香、指パッチンしてみて」

サヤカがコードネームで二人を指示をした。

初めに指パッチンをしたのはしずくだった、音はならなかったがその代わりに炎が一直線に進んでいった。

もぐらのように、1センチもずれずに描いた炎はとてつもない光を放ち、すぐさまあのかかしみたいな人形に燃え移った。

人形はぼうぼうと燃え、光がまるで焚き火のように発せられていた。

「うわぁ・・・」

その光景に声がこぼれるのは雫班全員だった。

「え・・・じゃあ・・・」

たまきも指パッチンをすると、これまた一直線に氷が進み、燃えている人形の隣の人形にぶつかっていった、しかも一瞬で氷付けにされてしまった。

炎と氷がぶつかり合って、水が生まれてきてるのは見るまでもなかった。

「すごーい!サヤカさんもいい仕事するねー!」

いい仕事とは言葉が違うかもしれないが、興味を引くものだったのは確実だった。

魔法が使える、なんて夢ではない。

「粉は吸わないように気をつけてね!」

きさき、弘文、天音の順で魔力が浸透していき、竜巻に巻き込まれている葉、炎の光を全て吸い込んでしまいそうな闇、聖火のように輝く炎が順番に出てきた。

「かっこいい・・・」

きさきはその光景をみて呟いた。

「まったくーまだまだ私と違って子供だねーきさきはー」

天音がきさきのほうを見ながら笑っていた、きさきはそれに反応してあわてている様子だった。

「事実じゃん」

天音に便乗するようにたまきが笑いながら言った。

むくく・・・という声を発するようにきさきは怒りながら俯いていた。

「ルールを守ってね、特に小鳥」

サヤカが一言発すると、天音はすぐさま反応して反論を始めた。

「へ?」

一言だけ漏らした言葉でもサヤカは言った。

「天音は人の話を聞かないから・・・」

呆れているようにも見えるサヤカは、腕くみをしていた。

「何?私天才だから説明聞かなくてもわかるの!」

あまりにも漫才のような返し方をされたのでサヤカは腕くみをしながら苦笑いしていた、周りの四人もその様子をみながらくすくす笑っていた。


今までが静か過ぎたのかは分からない、けど一番騒がしかったのはそこだろう。

銃声が響く、最後の一班、星班。

「10・・・9・・・8・・・」

シオンが出している声はとても大きい、いつも声が小さい彼が大声を発しているのは一つの理由がある。

銃声でまったく聞こえないからだ、いつもの声を出すと銃声にかき消される。

右から由紀、方正、英二、秦田、由梨羅が並んでみんな違う銃を持っている、右から見てみる。

由紀はスタンダートなちっさい銃、片手でまるでスナイパーのようにポーズを決めて銃を放つ。

方正もほぼ同じの大きさだが玉の発射間隔が短い、連射がすごい、けれど一発一発はそんなに痛くない。

英二は射的のような銃、ポーズも射的みたいな感じ、連射は出来ないが一発の威力はすさまじい。

秦田は英二の銃の連射が出来る版、ポーズも決めている、一発の威力は少し落ちてるが、まあすさまじい。

由梨羅はわざわざ小さい銃を2つ手にはめている、大きさは由紀や方正より小さい、連射はがんばれば出来る、上級者向けかもしれない銃。

銃を発している時間はもうすぐで1分を切る、銃声は酷くなっていた。

「6・・・5・・・4・・・」

どこに向かっているのかはご存知のかかし、しかし上にはデジタルの得点板が吊り下げられている、得点を競い合っているゲームをしているのだ。

「3・・・2・・・1・・・」

得点板にも銃が当たった跡がたくさんつけられていた、激しい戦いということを滲み出させている。

「終了!」

シオンの言葉と共に徐々に銃声が消えていく、うるささになれて違和感を発するかもしれないほどだ。

全員の額からは汗が流れている。

「おっ!」

方正が見ている得点板には順位が示されていた、順位を気にする皆は結構真剣に見ていた。

「っしゃあ!1勝!」

今回勝ったのは秦田、結果を見るとガッツポーズ交じりに笑顔がこぼれていた。

秦田よりも下の2位は方正、結果を見た彼はしょうがないなというような顔をして秦田を見ていた。

「やった!順位上がった!」

その次の3位は由紀、武器を変えたことからか順位が上がっていたらしい。

これは2回目、さっきは由紀は最下位武器を交換しながらやっていたが上級者向けの由梨羅の奴を使っていた。

その影響か、由梨羅は最下位だった。

「この武器ムズイ!武器のせいだよ!」

「能力上げてこうぜ」

由梨羅が不満を言っているが、一位の秦田は高嶺の花の如く煽っていた。

「じゃあ次秦田がこれ使ってよ!」

由梨羅が力強く2つの銃を秦田に渡した、押し付けたって行ったほうがいいのか。

英二は4位、弾をつめる時間があーだこーだ言っている。

「玉を変えるのも練習だからなー」

方正はニヤニヤとしながら立腹の英二を慰めた。

「こんなのに時間をとられたくないんだよなー」

それに返された答えを方正はまたニヤニヤして聞いていた。

「順位ってどうやって決めるの?シオンさん」

由紀がシオンのほうを振り向き、疑問を発した。

「・・・速度と・・・威力」

さっきの声とは違ういつもの声で答えた、由紀はそっかーと呟き、みんなと同じ方向をまたむいた。

「もう一回やる!埒があかねぇ!」

英二が怒り交じりに叫ぶと、武器をガシャと音を立てて置いた。

それを方正が持ち上げて武器を触り始めた。

「俺これ使おうかな」

そして方正が使った銃を拾い上げた英二は、怒りを隠してこれもいいかなというような顔を見せた。

「じゃあ・・・次は移動射撃・・・」

シオンがそういうと全員えっ!?やらはっ!?やら言いながらシオンの方を見た。

「ずるいー!得点変わっちゃうじゃーん!」

「俺は抗議するぞ!」

由梨羅と方正が叫ぶと、そーだそーだ!と野次を飛ばす秦田、さすがにシオンも苦笑いだった


---

黒い空に立つ建物の中身は、騒がしかった


騒がしかったんだ


そうか、今年もか


「いつ攻めるの?」


あの黄色い小さい子はそう言う


私は答えた


「もうすぐかもね」


さて、今年の相手は・・・



・・・



大好きだ


力強そうな感じがある


どうせ今年で最後だし


最後は最後で暴れよう


「へんなのー、今年はいつもと違うよね」


やっぱり言うと思った


なんていうか、今年は楽しみなんだ


漆黒平和団 終わりの年


私が消える年


最後くらい、楽しもう


そして、黄色い子にこう言った


「楽しみにしてるよ」


そして、黄色い子から離れて、闇で隠した


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ