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漆黒平和団  作者: 霜降雨
序章 第○○期 漆黒平和団結成
2/7

入団希望

和田泉中学校はテスト期間中だった、さっきまでは。

「「「イェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!」」」

そう、終わった、何もかも終わった、1学期中間テスト!

クラスには喜びを分かち合う声が響いている、同じく私も。

「叶、叶!」

「やったね!今日のテストも難しかったけど・・・」

こういう喜びがクラスでは普通なことだ。

しかし・・・私たち1年1組は次の日に普通じゃなくなる。


テストの返却時のことだった。

私たちのクラスは答案用紙が折り曲げられて、授業が終わったらみんなで開ける、というものだ。

この方法は颯太が考えたものだが、2回もの間にいつの間にか皆に広がって3回目の数学の時にクラス皆でやっちゃおうということになった。

たしかにこの方法は楽しい、だってその後の喜びや後悔が一気に皆の口から出てくる、なぜかそれが気持ちいいから。

で、今それが始まる時だった。

「よし、いくぞぉ」

颯太の合図で開いた、皆一斉に。

しかし私たちが見たのはテストの点数ではなくまったく別のものだった。

成績にも、テストにも、学校にも、家庭にも関係ないもの。

私たちは喜びや後悔の声をあげずに答案用紙にはさまれていないはずの白い紙を見た。

「和田泉中学校1年1組へ、あなたがたは全員2023年度漆黒平和団に任命します、今日中にクラス全員漆黒平和団本部に来てください、なお強制任命です、漆黒平和団長 サヤカ 漆黒平和団副団長 シオン 漆黒平和団指揮長 サザンカ」

ふざけて入れた物なのか?それだったらなんで先生が捨てておかなかったのか?白い紙の他に何かプラスチックの物もあった、それに気づかないなら先生が気づかないうちに入れたのか?いや、こんな高速で入れる奴なんてここにはいない、白いプラスチックを見ると黒い油性マジックペンで何かが書いてあった。

「長谷川律華 コードネーム のぞみ

へんなコードネームだ、でも・・・どうせ誰かのいたずらだろう。

「ねえ、律華」

叶が二つの物を持ち何か聞いてきた、ずっと二つの物を見ている私をビックリさせた。

「律華も配られたんだ、それ」

叶も二つの物を配られていたらしい、この時から皆には疑問と笑みの声があちこちから聞こえている。

叶の方を見ると、白い紙はまったく一緒、白いプラスチックには

「三野本叶 コードネーム 若葉わかば

と書いてあった、若葉かぁ・・・なんか叶に合っているような気がする、叶も私のプラスチックを見ると呟いた「望・・・ねぇ」

・・・議題が変わっているような気がする。

こういうことを言っているのは自分だけではない、他の人もそうだ。

たとえば私の席から見て右・・・颯太と大河と・・・たくさんいる。

「お前のコードネーム爆鬼ばくきかよー合ってねえ」

颯太がそう笑いながらきさきに言うとそうだな、と笑いながら恒星、大河、竜生、勇人、英二、義和が便乗した、それを見て高良しずくはひっそりと笑っていた。

「ち、違う一体どこを見てるんだよ!第一義和の一布ひとぬのだって変じゃないか!」

きさきはすかさず言い返した、見た目女の子のきさきはそう突っ込まれることもありえなかった。

「いやー違うよ、爆鬼で合ってるよ、だってねーほらすぐキレるじゃん」

「あー!そうだそうだ!」

今井天音が言うと川谷遥が便乗してきた、たしかにきさきは怒りっぽい、まあ周りがいろいろ言ってるからだが。

「あー!お前頭いいな!」

勇人が天音に言う。

「うん!私超天才だからね!」

でたただのバカ、全然頭良くなくて今回赤点ばっかだったくせにと私が思い、玉川たまきが言う。

「いいかげんにしろおおおおおおおお!!!!」

きさきがまた怒った、やれやれ、こいつらはいつもどおりだ。

さらに私の席からいちばん右、方正と慶喜と伊沢弘文が輪になってる。

色旬しきしゅん 淀松よどまつ 倉高くらたか

方正が三つのコードネームらしきものを言った、そういうと慶喜がつっこんできた。

「えー!?みんな地味だなー」

コードネームに価値観を求めてはいけないと思うんだけれどもな。

「お前らはー?」

弘文が有本比奈野、有川由紀、斉藤美月、清子の女子グループに訊いた。

「あ・・・えっと・・・由紀が豊実ほうみ、私が優夏ゆうか、美月が咲夜さくや、清子が・・・愛美まなみだったっけ?」

比奈野が恥ずかしそうにいった。

「大丈夫!合ってるから!」

美月と由紀が言う、その後に清子も頷く、それを見て比奈野はホッとした。

そして弘文と方正も笑ってる、頼むから比奈野ばっかり見るな。

そして、私の左で、興味がある話が聞こえた。

左には香と山田秦田の異性親友コンビにいさま、六崎哲、古下広架がいる。

「何だよ私のコードネームの物固ものがためって!良くない!」

香ちゃん、だからコードネームに価値観を求めるな。

「それよりもさぁ・・・この業火ごうかっていうのが気になる」

秦田が言う、すぐにバシッと香が返した。

「そう!そういうのがいいんだよ!」

香ちゃんはこういうのが好き、オタク・・・いや厨二病?

「香らしくていいじゃん」

広架が優しく答えた、物固と言う意味は何か知らないが。

「じゃあこれはどうだ?俺の風野ふうの、六崎君の森減しんげん、さらに森川君の発緑はつりょく、意味不明だろ、コードネームって本人の感覚で決めるのか?」

いさまが言う、確かに、発緑は意味が分からないけど風野や森減はそもそも本人に合ってない。

「いーじゃん、かっこいいから」

香ちゃん、そうまとめないで。

コードネームで話題になっている教室に新たな疑問を哲が言った。

「・・・これってなんだろうね、漆黒平和団」

赤い目で哲は紙を見た。

「漆黒平和団団長のサヤカとかいうやつがやったのかな?いや・・・でも本部ってどこだ?第一、誰かのいたずらなんじゃあ・・・」

そういうと広架が答えた。

「いたずらねぇ・・・確かにその可能性はあるかも」

それに続いていさまも答えた。

「こんなこと普通じゃありえないから、嘘なんじゃね?」

やっぱり誰一人本当と信じていないようだ、私もだけど。

「いたずらにしては程がありすぎるよなーwww」

秦田が言う、さて香はどう思ってるのか。

「・・・ですよねー」

やっぱりいたずらだと思っていた、ていうか本当だと思っていたのか。

「本当だったらおもしろそーだったんだけどなーこの本も埋まるし」

そう言ったら香はいつも持っている変な分厚い本を取り出した。

「わ!机の面積減らすな!」

秦田がめいわくそうだった、机をすっぽり埋めた本が目立って見えた。

「どこもかしこもいつもどおりだね」

私はそう呟くと次の授業の場所、理科室へ向かった。


・・・おかしい。

チャイムが10分前に鳴っているのに先生が来ない、クラスの皆いるのに。

さらには教室にすらいない、いや、それ以外に根本的におかしい。

人がいない、時が進んでない おかしくないか?

「不気味・・・」

小波あらたが呟く、さすがに他のみんなも気づいている。

「・・・さっきのは本当だったりして」

たまきが呟いた。

31人もいるのにシーンとしている廊下は冷たかった。

「ん?中で待っていたりして」

香が理科室のドアに手をかける、すると秦田が言う。

「いやいやいや、さすがにそれはねーって」

しかし香は問答無用で扉を開けてしまった、するとシーンとしている廊下はさらにシーンとなった。

その瞬間、なにかが歪んだ 視界が眩んだ。

「はゃ・・・なんだこれぇ・・・目が痛い!」

竜生が叫ぶ、皆は抱え込んでいる、私もこの空間に耐えられず眼をぎゅっと閉じる。

なんなのこれ・・・おかしいよ・・・

「・・・ら・・・おま・・・ら」

何か聞こえる。

「お前ら、大丈夫か?」

目を開けると眩みはなくなっていた、歪みも、しかし・・・

ここはどこ?

謎の機械、未来みたいな空間、新しい風、そして目の前にいる3人は誰?

「ようこそ!漆黒平和団へ!」

3人のうちの背が低い黄色い子が言った。


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