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少年5
魔女が十字架に縛られた。
それを気にすることもなく、魔女は歌い続けている。
ついに点火された。
火はだんだんと、魔女を包み込んでいく。
魔女はそれでも声を上げて歌う。
死にゆく魔女。
だんだんと、ナニカが焼けていく匂いが広がっていく。
ついに、魔女の歌が止んだ。
そして自らが殺されることを受け入れるかのように目を閉じる前。
確かに、魔女は俺を見た。そして…満足そうに笑った。
その時、俺は全てを思い出した。
魔女…いや、俺の初恋の少女は、俺と同じ革命軍の仲間で。
協力者が裏切り、皆が捕まる前に俺だけ逃がして…。
俺はッ…。あの少女はッ…!
どうして…俺はあの時…!
…これで、彼女を見捨てたことが償われるとは思わない。それでも…
『カミサマ。
もし…。もし彼女が魔女なのならば、どうか。次の人生では彼女を幸せにしてください。』