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少年4
処刑時間の数分前となった。
処刑広場には大勢の見物人が集まっていて、俺らもかなり金を稼いでいた。
だがその見物人達は今、一人も違わずに広場中央の処刑台を凝視している。
すると、処刑の時間になったのだろう。
役人の一人に鎖を引かれて歩く、白いワンピースを着た魔女が現れた。
透き通っていて、穢れを知らぬ高いソプラノの声で歌を歌っている。
"題名もない歌"だ。
俺の夢に出てきた、あの少女が歌う歌。
俺の、一番好きな歌。
そして。その魔女とあの少女が重なって見えた気がした。