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処刑の時間が来た。
僕は鎖を引かれて歩く。十字架に縛られて焼かれるそうだ。
まだ僕は歌っている。
君は、群衆の中にはいなさそうだ。
僕が歌っているのを見て気味悪そうにする人なら、いるけど。
君に、こんな姿を見られなくてよかった。
僕を縛った十字架が立てられる。
僕は歌を始めから歌う。
火が点火された。
熱い。熱いけど、僕は歌う。
火がついに僕の足を包み込む。
痛みが増すごとに僕の声も大きくなる。
霞む視界。煙が酷く、歌えなくなってきた。
それでも僕は声を上げる。
痛みは鋭く、僕の身体を支配する。
最後。
僕が目を閉じる前に見えたのは
僕が好きだった、君だった。
僕を包み込んで燃え上がる炎の中、僕は微笑んだ。
『カミサマ。
もし…僕が魔女ならば。どうか…。どうか、一度だけ。
僕を生まれ変わらせて、あの子に会わせてください。
それができないのなら…あの子に、幸せを。』