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死刑の日が決まったそうだ。
と、言っても朝がいつなのかわからない僕に、その報告は意味がない。
…そうだ。どうせ死ぬのなら歌を歌おうか。
君の好きだったあの歌を。
僕が嫌いだったあの歌を。
君に捧げよう。たとえ、届く事がなかったとしても。
どうやら、処刑の日になったらしい。
何故かは知らないけど、身体をキレイにされ、ワンピースを着せられた。
僕は題名もない歌を歌っている。
「ふわり ふわり 風は舞う
ゆるり ゆるり 時は経つ
星を歌うよ 星の魔女
月を歌うよ 月の魔女
鎖を解いて大地を歩き
鎖をかけて魔女は死ぬ
愛する人に歌を歌う 魔女は笑顔を浮かべて言う
あなたはどうか幸せに 全てを忘れて幸せに
魔女は生まれ変わるからあなたに会いに行きましょう
歌を歌って行きましょう…」