熱いぜ、大関くん!
ぶっちゃけ作者は相撲を一つも知らないです。相撲好きの人ごめんなさい。
関取くんは相撲部屋で居残って稽古をしていた。今度の大会のためだ。いつもの練習だけでもかなりキツいので他の皆は帰った。が、関取くん以外にも居残っている漢が居た。彼は大関くん。絶対王者『横綱くん』に一番近いと呼ばれている男。そして、関取くんが勝手に思っているだけだが関取くんにとってのライバルだ。普段はおチャラけているが相撲のことになると人一倍努力し真面目に取り組む。だが、それもある目標を果たすために過ぎない。彼は目標を果たすときっと相撲を辞めてしまうだろう。彼が目標を果たせる瞬間は来るのだろうか。
「ふぅ……お前も居残りしてんのか。関取。まったく気付かんかったわ」
一息ついている大関くんは水分補給をしながら、汗を拭きながら喋る。
「んー、やっぱアカンなぁ。真面目過ぎると周りが見えんくなる。関取もせやろ?」
大関くんの質問に対し、関取くんはコクんと小さく頷くだけで練習をし続けていた。その様を見た大関くんは飽きれた顔をして相撲部屋を出てロッカールームに向った。
「ほなな、関取。熱心になんのもええけど程ほどにな、もう九時やぞ」
大関くんの言葉に関取くんはハッとする。もうこんな時間なのか……と、達成感を味わうものの少し寂しく思えた。関取くんにとっては相撲が全てだ。練習すること、結果を残すこと、何より。相撲を楽しむことが。だけど、その相撲が今日は出来なくなる。だから九時まで練習をこなした達成感もあるが寂しさもあるのだ。関取くんも水分補給と汗の始末をしロッカールームへと向った。
そしてこう誓う。「今度の試合、絶対に優勝するでごわす!」
今度の大会まであと、一週間。一週間でどれだけの事が出来るだろう。そんなことは分からない、だけどやる事をやるだけだ。それが関取くんなのだから。
***
都会では珍しい満天の星を見上げれる丘野上公園。そこに大関くんは一人でたそがれていた彼は口笛を吹きながら夜空を見上げていた。そんな彼を街灯が照らし出す。
その景色は孤独な大関くんのその様を表していた。彼はある人物に復讐するために相撲をしている。関取くんの『楽しむ相撲』とはまったく別物だ。復讐を果たすために仲間はいらない、故に彼は孤独。
「ホンマ気に入らんなぁ、あいつ。 何が心底楽しむためやふざけんなや。俺はアイツを 倒す……復讐するためだけに相撲を やってるんや絶対にぶっ倒したるからな。横綱、 待っとけや!」
彼は月に向って拳を突き出し、そう誓った。もう、始まってるのだ漢達の戦いは。その戦いの終焉は誰にも分からない。それが、勝負。それが未来なのだから。