プロローグ2 第二艦隊来る前
前回は伊藤整一中将率いる第一遊撃部隊が徳山沖泊地を出撃してから異世界にやって来るまでを書きました。
そこで今回は異世界側の事情を見ていきましょう。
そして前回艦級名だけ登場した(前檣上部が大和に似ている)“ブレネンデリーベ級巡洋戦艦”の正体も今回明らかになります。
あと専門用語に解説ルビ付けました。
注意:ルビ読みながら本文読んだら通常以上に楽しめるように試みた結果作中で目茶苦茶なプロパガンダが出来ました(実情はルビを参照のこと)。
シュヴァルツェンライヒ、帝國特別自由都市ジルバーギルデ
帝國特別自由都市ジルバーギルデは2,000年以上前に存在していた巨大帝国に於いて銀鉱石の精製と銀貨鋳造を一手に担う街として建設されたことが始まりとされる、シュヴァルツェンライヒ現存最古の金融街であった。彼等は2,000年以上もの長い歴史の中で数多くの苦難に直面し、非常に信頼のおける傭兵団と共に幾度もその財を狙う侵略者と戦いながら繁栄を保ち続けた。そしてジルバーギルデ史上最悪の侵略者であったヴォナパルテ率いるフランク帝国と交戦中であった38年前、1人の異世界から来た少女を見てジルバーギルデ自治評議会で議長を務めていた当時のジルバーギルデ市長が「奇貨置くべし」と彼女に大規模な投資を行うことを決断。彼女は自身の生来の魅力と異世界での経験により培ったスキルと投資によって得た莫大な資金を利用して異世界でも立ち上げていた自身のファンクラブを基礎に“武装親衛隊”を組織するとジルバーギルデ周辺にあるフランク帝国の属国の野戦軍を次々と急襲して包囲殲滅して解放すると海を渡って大陸にあるフランク帝国の属国を次々と解放する。そしてその戦歴や自身の魅力によりヴォナパルテ直率のフランク帝国主力野戦軍(総兵力37万)との決戦である諸国民戦役に於いて奉戴される形で総司令官となった彼女は莫大な資金で全軍(20万(うち司令部要員2万))に最新型小銃(後装式ライフル)を完全充足させ、自身が直率する武装親衛隊を完全に自動車化した上当時最新の兵器であった機関砲(後に機関銃と呼ばれることに)や蒸気機関で動く重機を大量導入、自らの司令部(当時としては異例な2,000人もの大所帯)&司令部護衛(僅か1個大隊)を囮とすることで戦史に「史上最悪の釣り野伏」として残る包囲殲滅を展開した。その後の講和会議に於いて彼女が諸国民戦役で共に戦った諸王&市長たちから奉戴される形で皇帝に即位すると、ジルバーギルデは新たな帝國に特別自由都市として編入された。そしてシュヴァルツェンライヒに組み込まれることで必要な軍事費用が大幅に削減されたうえ他の自由都市に比して諸侯税(初代皇帝がシュヴァルツェンライヒを建国するにあたり中央集権化を目的として創設した配下の王や諸侯及び自由都市に課せられる税)が安いという環境は必然的に他よりも法人税が安い環境を生み、それによりシュヴァルツェンライヒ内諸国から多くの企業が集まってジルバーギルデを更に発展させることとなった。加えて、シュヴァルツェンライヒの基本的な経済政策の根底にある「自国経済を好調にさせる最善の方法は、一人も取りこぼさずにみんなで豊かになろうとすることで自国と関わりのある市場を拡大させることである。パイがゼロ・サムなら力付くでも奪い合うしかやりようが無いが、パイが拡大させられるならどこまでもパイを拡げ続けてみんなを豊かにすることでより多くのパイを得ることが出来る。」という思想がジルバーギルデの発展にさらなる拍車をかけた。
かくしてジルバーギルデはこの世界のウォール街となった。
帝國歴32年3月20日、シュヴァルツェンライヒ。
3月20日は初代皇帝の勅命により「地下鐵道を狙ったテロに代表される化学兵器攻撃への備えを確認する日」という公休日と定められた日であり、毒ガス攻撃に対処する訓練が各所で行われる日であった。とはいえ第一次世界大戦のような大規模戦争が起こっていないこの世界に於いて毒ガスは“卑劣な武器”として製造保有使用が憚られていたことから帝國國民は毒ガス攻撃への対処が特段必要とは考えていなかった(尤も、毒ガス攻撃への備えが必要と考えていた初代皇帝も(こっちには露大統領プー◯ンとか居ないし)毒ガスを使用する主体として想定していたのは“オウム真理教”のような大量殺戮を実行する宗教組織か“某亡国論”のような特定の民族の完全にして不可逆な絶滅を目指す論説を採用するテロリスト集団くらいだろうと考えていた。)。なお余談ではあるが、毒ガスを“卑劣な武器”として製造保有使用を憚る文化は初代皇帝の重視した衛生政策である「上水の塩素殺菌」や「伝染病を媒介する各種衛生害虫を駆除するための殺虫剤開発」の障害にもなったそうである。
閑話休題、この年もその日は帝國各地の大学病院で様々な種類の化学兵器それぞれを診察し治療する方法を内科医たちに教える講習会が開かれようとしていた。対象が救急医療を担当する外科医や救急医ではなく内科医なのは、毒ガス攻撃を受けるであろう者には必ずお付きの医師がいて、その者からの連絡を受けて招かれた内科医が患者を訪問して治療するという想定であったが故である。要するに、初代皇帝を除いて、誰も医師が付き従わないような庶民が毒ガス攻撃の対象となるとは微塵も思っていなかったのである。
帝國歴32年3月19日黎明、シュヴァルツェンライヒの南にある島嶼に設置された飛行船基地。
深い森に囲まれた広大な平野に位置する飛行船基地は、朝の柔らかな光に包まれていた。周囲を濃い緑の木々が取り巻き遠くの山々がぼんやりと輪郭を浮かべる中、基地の広大な敷地には巨大な格納庫がずらりと並んでいた。それぞれの格納庫の中には、全長980フィートの硬式飛行船が、鼻先を係留マストにしっかりと繋いだ状態で静かに収められている。20隻の巨体は銀色の外皮を輝かせ、内部のフレームがわずかに影を落としていた。
基地のクルーたちが動き始める。信号が発せられると、格納庫の巨大な扉がゆっくりと開き始めた。まず最初に、鉛蓄電池を電源とする電気自動車形式のトラクターが登場する。これらのトラクターは静かなモーター音を響かせながら、係留マストを慎重に牽引し始める。飛行船の巨体は、マストとともに格納庫から引き出され、広大な発着スペースへと移動していく。風が軽く吹いて飛行船の尾部がわずかに揺れそうになるが、トラクターの複数のチームが連携して浮上を抑え込み向きを安定させる。トラクターのタイヤが地面をしっかりと捉え、飛行船の浮力を制御しながら指定の位置まで導く。
発着スペースに到着すると、係留マストが徐々に延ばされ始める。マストの伸長機構が作動し、飛行船の鼻先を上空へと持ち上げていく。飛行船のディーゼルエンジンが低く唸りを上げてプロペラがゆっくりと回り始める。浮力が徐々に強まり、トラクターたちが最後の抑え込みを解除すると、飛行船は優雅に地面から離れていく。1隻、2隻と、次々に離陸する巨体たち。空に浮かぶ姿は、まるで雲の塊のように壮大だ。
20隻すべてが上空に上がり、整然と編隊を組む。指揮船を中心にとするV字型のフォーメーションを形成し、プロペラの音が遠くの森に反響する。北の空に向かって、ゆっくりと進み始める。基地のクルーたちは地上から見上げ、巨艦たちの出発を見送る。森の木々が風に揺れ、平野の空が彼らの新たな旅立ちを祝福するかのようだった。
だが、彼等の目的は、その優雅さからは余りにもかけ離れていた。飛行船のゴンドラの中に収められていたのは、1隻あたり35,000ポンドもの大量の“航空爆弾”であった。
帝國歴32年3月20日未明、シュヴァルツェンライヒ南方(最低低潮線より20海里)上空高度15,000フィート
8つの編隊を組む合計150隻もの巨大な飛行船がシュヴァルツェンライヒのジルバーギルデに向けて飛行を続けている。飛行船の編隊は夜の闇や雲に紛れたためにシュヴァルツェンライヒはこの編隊を未だに探知出来ていなかった。エンジンがディーゼルであることや間隔を開けた陣形として無灯火で飛行していたことも探知を阻害した。そして何よりもシュヴァルツェンライヒ側が爆撃を試みる飛行船を排気管からの排気炎(シュヴァルツェンライヒの飛行船はガソリン・エンジンを使用していたため排気管から排気炎が発生する)や航法電波の傍受(仮想敵であるフランク共和国は航法電波を利用する夜間空襲を計画しており、それを知ったシュヴァルツェンライヒは航法電波傍受用のアンテナが多数設置して夜間空襲に備えている)で探知出来ると考えていたことも、探知の妨げとなった。かくして飛行船の編隊は発見されること無くシュヴァルツェンライヒ領空へ侵入を果たす。
同日早朝、総指揮船内
「諸君!愈々『抑圧者・犯罪民族』たる日帝本国人に付き従って抑圧や犯罪に加担してきた邪悪な犯罪集団を滅ぼす時が来たのだ!奴等は口では共栄を謳いながら世界中の人民から富を搾取することで益々肥え太ろうとしている!従って、奴等は負った原罪の咎として一人残らず滅されねばならないのだ!」飛行船の編隊を指揮する司令官が根拠無きアジ演説をぶつ。「そうだ!我が隣国では奴等の搾取のために毎年30億もの餓死者が出ている!」「私の友人も住んでいる街では毎日30万もの市民が奴等の兵士に虐殺されている!だから虐殺の報いを受けさせるべきだ!」「奴等は高度な文明国でクーデター起こして政府を転覆させた挙句|搾取し尽くし《技術指導&学校整備し》て更地としなおさらなる搾取を続けようとしている!」飛行船を操る将兵たちは司令官のアジ演説に反応して彼等の政府が刷り込んだプロパガンダを次々と口にする。
そして司令官は手で制すると、「今回の浄化目標は邪悪な犯罪集団が世界中の人民から富を搾取するために建設したアジトである!このアジトに巣食う卑劣な犯罪者どもを一頭残らず駆除してから焼き払うのが今回の作戦の目的である!今回の作戦は先ず我々先頭集団が駆除剤を撒布して卑劣な犯罪者どもを駆除し、その後後続集団が同志国である中道改革国連合から供与された通常爆弾と拡散爆弾と焼夷弾により犯罪集団のアジトを滅却するのだ!」と最終説明を行う。
「同志司令官!拡散爆弾とはどのような爆弾なのでしょうか!?」一人の将校が司令官に質問する。「同志よ、素晴らしい質問だ!」司令官が質問者を褒めると「光栄です!同志司令官!」と応じる。
そして「拡散爆弾とは弾殻の中に多数の小型爆弾が仕込まれている爆弾である!この爆弾は投下されると弾殻が割れて小型爆弾が一斉に飛び出し広い範囲を破壊し尽くすのだ!そして一部が犯罪者の生き残りを助けようとする裏切り者を自動的に処刑するという素晴らしい機能を備えている!」と司令官は拡散爆弾の解説をする。「なんと素晴らしい爆弾か!卑劣な犯罪者だけでなく奴等を助けようとする裏切り者すらも処理出来るとは!」「拡散爆弾こそ標準とすべし!」飛行船を操る将兵たちは司令官の説明を聞いて次々と拡散爆弾への称賛を口にする。船内はもはや帰路に拡散爆弾を讃える歌の作詞作曲大会が始まりそうな空気である。その上、司令官にも説明されていないのだが、今回搭載された拡散爆弾は空きスペースに空中散布型対人地雷が詰め込まれていたりする。
同日朝(通勤ラッシュが起こる時間帯)、シュヴァルツェンライヒ・ジルバーギルデ。
この日は「地下鐵道を狙ったテロに代表される化学兵器攻撃への備えを確認する日」という公休日であったのだが、化学兵器を“卑劣な武器”として製造保有使用を憚る文化から来る化学兵器対策を軽んじる見方が優勢なため金融市場は休むこと無く活動を続けている。そして数多くのビジネスマンがこの日も出勤するため通勤列車に乗ってジルバーギルデに向かっている。
そんな平穏な日常に異変が起きたのは0747のことであった。突如として“落下してきた”樽のような物体から油のような飛沫が飛散してそこから白い霧が立ち昇った。忽ち周囲を「腐った干草のような甘酸っぱい臭い」が覆う。当然だが自分たちも当事者となったジルバーギルデ当局は直ちに“異臭騒ぎ”と“突然発生した原因不明の霧”への対応に乗り出す。否、乗り出そうとする。
ジルバーギルデ市役所の会議室では宿直の市役所職員が目の痛みと胸の中で膨らんでいく違和感に耐えながら中央に広げられた一般人にとって大き過ぎて使い難い巨大なジルバーギルデ市の地図に慣れた手つきで木製の駒、それら一つ一つが“異臭騒ぎ”の通報箇所と“突然発生した原因不明の霧”の発生位置を表している、を並べていく。そうして忽ち会議室の中央にジルバーギルデで発生している事態が再現される。宿直の市役所職員の動作一つ一つがジルバーギルデの2,000年以上の間自らの力で市を守ってきた歴史を誇示するかのよう。そうして医療機関との通信が確立し、医療機関はこの日の外来受付を中止して戦時竝災害時医療体制へ転換する。そんな中0800〜0810頃に通勤して来た市役所職員たちは割り当ての部署に就いて非常時対応に加わる。同じ頃医療機関でも当直で出勤してきた医師や看護師も部署に就いて急患の到着に備える。ところが、事態は2,000年以上もの間自らの力で市を守ってきた歴史を嘲笑うかのようにジルバーギルデ当局竝ジルバーギルデ住民を絶望へと叩き込んで行く。
0815頃、ジルバーギルデの医療機関で宿直から直接急患対応に入った医療関係者が次々と斃れて戦線を離脱。同じ頃、宿直の市役所職員が次々と斃れて救急搬送される。そしてジルバーギルデ大学病院の内科医が斃れた医療関係者の症状からホスゲン系の化学兵器による症状の可能性が大と診断してシュヴァルツェンライヒ大学病院対化学戦システムの作動を試みるとともに独断でジルバーギルデ大学病院通信科無線電信局を通じて近隣都市の医療機関竝周辺に展開しているシュヴァルツェンライヒ帝國陸空軍及び皇帝武装親衛隊に緊急の救援要請を発出、ジルバーギルデ市役所に状況を問い合わせて回答を得ると、即時のジルバーギルデ市放棄を提案する。
近隣都市はジルバーギルデ大学病院から発せられた救援要請に驚愕し、直ちに市内の医療機関へ受け入れ体制を整えるように要請して救援列車の編成をシュヴァルツェンライヒ國鐵に要請する。近隣のシュヴァルツェンライヒ帝國陸軍及び皇帝武装親衛隊の諸部隊は直ちに化学戦戦備、大型の除染装置を備えた分離式ガスマスクを装着しイリペット系化学兵器を防ぐため防護服を着た状態、でジルバーギルデ市への出動を決定する。
0820、ジルバーギルデ市役所会議室はジルバーギルデ大学病院からの情報と提案に紛糾した。これにより漸くジルバーギルデ市当局はジルバーギルデ市がホスゲン系化学兵器による攻撃を受けていることを把握することになる。しかしながら大学病院からのジルバーギルデ市放棄という提案の根拠には未だ懐疑的な様子であり、寧ろ未だ攻囲されてすらいない状況でかかる卑劣な攻撃者に屈するべきではないという意見の方が優勢であった。それ故に0825、ジルバーギルデ市長はジルバーギルデ市放棄を正式に却下して何としても状況を保たせるように命じる。だが、その後間もなくジルバーギルデ市の救護体制は医療機関を狙って大量に投下されたジホスゲンにより医療関係者が続々と斃れて殉職したため急速に崩壊。0830には殆どの医療機関で医療関係者が全滅し機能を喪失する。そして同じ頃、ジルバーギルデ市役所も市役所職員が壊滅状態となりジルバーギルデの指揮統制が完全に麻痺して殆ど通信が途絶した状態となる。
同日0821、シュヴァルツェンライヒ、ジルバーギルデ郊外の防空警戒蛸
雲の立ち込めている中、防空見張員は双眼鏡を手に空から一見すると公園の四阿にしか見えない防空警戒蛸で敵機が来ていないかを警戒している。とはいえ電波を利用した見張りの無いという条件下で雲の上を飛行する航空機を発見するのは極めて困難であり、それ故に今回は空襲前に彼らの努力が報われることは無かった。
だが0821、彼等の努力はとうとう報われることになった。彼等は僅かな雲の切れ目から飛行船を発見した。彼等は発見した飛行船の高度を正確に15,000フィートと観測した。
彼等が発見した飛行船は、ジホスゲンの効果が十分発現するまで待機している焼夷弾と通常爆弾と空中散布型対人地雷入りクラスター爆弾を満載している飛行船戦隊の1隻であった。
彼等は即座にシュヴァルツェンライヒ帝國空軍のジルバーギルデ管区防空司令部に通報した。
同日0822、シュヴァルツェンライヒ某所、シュヴァルツェンライヒ帝國空軍ジルバーギルデ管区防空司令部
シュヴァルツェンライヒ帝國空軍ジルバーギルデ管区防空司令部。その中央には巨大な地図盤が存在しており、その上に様々な種類の駒が配置されて状況が地図盤上に再現されている。
そしてジルバーギルデ郊外の防空警戒蛸からの通報を受けてプロッターが地図盤上のジルバーギルデ近郊に敵飛行船を表す駒が置かれた。駒に高度を表す150という数字が駒の土台に配置されていた。
防空指揮官は侵入した飛行船の高度を考慮してジルバーギルデ周辺に浮遊している空中軍艦に邀撃を命令、ジルバーギルデ周辺の空中軍艦が待機中のまたはスタンバイ状態の空中軍艦基地に緊急発進を命じる。そして利用可能状態の空中軍艦には発進準備を命じる。
直後、シュヴァルツェンライヒ、ジルバーギルデ郊外の陸軍防空飛行船部隊基地
シュヴァルツェンライヒ帝國空軍ジルバーギルデ管区防空司令部からの緊急発進命令を受けると、気嚢に水素を充填済みの空中軍艦は野戦用水素ガス発生装置から水素を、燃料補給車から航空用ガソリンを、それぞれ補充し終えると台車ごと風上に向いてから横から飛び出すように設置された4つの水冷直列6気筒ガソリン・エンジンを始動し上やや前方に向けて飛び立ち、高さ17フィート幅100フィートという薄型な気嚢部に風を受けて空へと舞い上がる。待機中の空中軍艦は陸上飛行船基地用水素ガス急速充填システムから僅か3分で気嚢に水素を充填し飛び立つ。
シュヴァルツェンライヒの空中軍艦は僅か9.15トンと小さいが、薄型幅広の気嚢部で風をつかみ五大列強国中でも最上位層に入るほどの高い上昇力でぐんぐんと敵飛行船の居る高空まで上昇して行く。
同日0825、シュヴァルツェンライヒ、ジルバーギルデ近郊上空高度15,000フィート、上空待機中の飛行船船内
「敵飛行船、下方から一気に上昇して来ます!識別:シュヴァルツェンライヒ、硬式空中軍艦エアシップ級!」見張りが雲を越えて上昇するシュヴァルツェンライヒの空中軍艦を発見し声の限り叫ぶ。「機銃!撃ち落とせ!」指揮官は機銃座に撃墜を命じるが、シュヴァルツェンライヒの空中軍艦は巧みに船体を左右に傾けたりエンジンの向きをこまめに変えたりして飛んでくる機銃弾を回避しながら尚も上昇を続ける。
「上を取らせるな!上昇しろ!」指揮官が操縦手に命じるが、「これ以上は上手く登れません!」と操縦手から応答。
すると「同志司令官!急いで爆撃しましょう!爆弾を投下すれば軽くなって浮き上がりますし、何より今回の作戦を遂行出来ます!」と爆撃手から爆撃の前倒しが提案されるが、「同志爆撃手!まだ駆除剤の効果判定が出来ていない!駆除剤の効果が十分出ていないうちに拡散爆弾や焼夷弾を投下すれば駆除剤の効果を妨げることになる!そしてそうなったら卑劣な犯罪者どもは巣から逃げ出して何処かに隠れ潜み、再び蠢動して破壊と殺戮と搾取を始めるだろう!そうならないために駆除剤の効果が十分出てから拡散爆弾や焼夷弾で街を残さず破壊する計画となっているのだ!」と司令官は却下する。
同日0826、シュヴァルツェンライヒ、ジルバーギルデ近郊上空高度15,000フィート、邀撃任務中のエアシップ級空中軍艦
4基もの水冷直列6気筒ガソリン・エンジンの轟音の中エアシップ級空中軍艦を操縦する機長は敵飛行船の上を取るためさらに上昇を続けさせる……「なんて高高度を飛んでいるんだ!」と悪態をつきながら。エンジンは限界に近い状況で動いてプロペラで空気を掻き分けながら機体をさらに押し上げる。「これは降りたらエンジン全部オーバーホールですね!」機関手の一人が軽口を叩くと、「そもそもコイツは飛んだらエンジン全部オーバーホールする決まりだろ!」とすかさずツッコむ。
そんな中エアシップ級空中軍艦は敵飛行船より高い高度に上がると敵飛行船の銃座の死角を更に上昇しながら突き進んでいく。そうしてエアシップ級空中軍艦は敵飛行船の船尾方向から直上に躍り出ると、「爆弾槽開放!」と宣言した機長の操作で爆弾槽扉を開け放ち、機長はエアシップ級空中軍艦を操縦しながら斜め下向きの照準器をのぞき込んで照準を定める。そうして照準が合うや「照準良し!」と告げてから一拍置いて「撃ー!」と宣言しエアシップ級空中軍艦の爆弾槽から60発のランケン・ダートを投下する。
投下された60発のランケン・ダートは直下の飛行船の外被を斬り裂いて内部に突入、飛行船の各部で炸裂する。飛行船の内部で殆どの気嚢が爆発、浮力を喪失して墜落していった。シュヴァルツェンライヒの空中軍艦複数部隊計12隻は敵飛行船10隻を撃墜する。その様子を見た敵飛行船70隻はジルバーギルデ市街地方向へと向かって行った。
同日0830、シュヴァルツェンライヒ、ジルバーギルデ。
ジルバーギルデ市役所では市役所職員がジホスゲンにより壊滅したため、指揮統制が麻痺状態となっていた。更にジルバーギルデ市内各所との通信も殆ど途絶えた状態となっていた。今やジルバーギルデでまともに機能している施設は大学病院とジルバーギルデ中央駅(鐵道施設へのジホスゲン投射量が少ないため)のみであった。加えて会議室中央の大地図の周辺には血を吐いて息絶えた市役所職員の屍が折り重なっている有様である。その状態を受けてジルバーギルデ市長は胸を抑え血を吐きながらジルバーギルデ市の放棄を下令する。
同時刻、シュヴァルツェンライヒ、ジルバーギルデ上空高度15,000フィート。
敵飛行船70隻はシュヴァルツェンライヒの空中軍艦部隊を振り切って(そもそもエアシップ級空中軍艦の空戦規則に於いて市街地上空での空中戦は禁止されている)ジルバーギルデ市街地上空に侵入。
0832、その先頭集団は拡散爆弾や通常爆弾を一斉に投下する。
0832、シュヴァルツェンライヒ、ジルバーギルデ
ジルバーギルデ市放棄の決断を受けて、ジルバーギルデ市からの脱出が始まる。しかしながら指揮統制の麻痺によりジルバーギルデ市警察やジルバーギルデ市消防による避難誘導は統制を欠いたものとなってしまい、混乱した避難誘導となってしまう。
そしてそんなところに、通常爆弾やクラスター爆弾の子爆弾が降って来た。通常爆弾の半分程度が幾つもの証券取引所や銀行支店といった金融施設の屋根を貫通して屋内で炸裂し、その内部にある金融商品や貨幣をズタズタに破壊していく。一方クラスター爆弾の子爆弾は半数以上が不発弾として残り、加えて空中散布型対人地雷までもが街中に散らばっている状況は生き残っているジルバーギルデ市警察の警察官を爆死せしめ或いはジルバーギルデ市住民の片脚を吹き飛ばすなどによりジルバーギルデ市住民の避難を著しく妨げる。そして化学兵器攻撃を受けた環境下での避難遅延は避難民の生命を着実に蝕んでいく。
しかしながら、ジルバーギルデへの攻撃はこれで終わりでは無い。
0835、シュヴァルツェンライヒ、ジルバーギルデ上空高度15,000フィート。
敵飛行船70隻のうち先頭集団は通常爆弾や拡散爆弾を投下し終えたが、ジルバーギルデ周辺に集まりつつあるシュヴァルツェンライヒの空中軍艦を見てジルバーギルデ上空に留まっている。そんななか、後続集団はジルバーギルデ市各所へ様々な焼夷弾を投下していく。
同時刻、シュヴァルツェンライヒ、ジルバーギルデ
敵飛行船が投下した様々な焼夷弾はジルバーギルデ市各所で様々な建物や避難を試みる避難民の頭上に降り注ぐ。そして建物や避難民を火達磨にしていくだけではなく、火災旋風を発生させてさらに2,000年以上の歴史がある街を火の海に沈め、更に散布されたジホスゲンをホスゲンに分解して避難民の生命を奪っていく。
同時刻、シュヴァルツェンライヒ帝都
ジルバーギルデへの無差別爆撃の一報がシュヴァルツェンライヒ帝國軍の指揮系統を通じてシュヴァルツェンライヒ帝都に届いたのは0835のことである。この一報を受けた
シュヴァルツェンライヒ第三代皇帝であるマヤは事態を重く受け止めて帝國安全保障会議を招集する。彼女の招集を受けてシュヴァルツェンライヒの内閣総理大臣、副内閣総理大臣、内務大臣、外務大臣、國防大臣、エネルギー大臣、大蔵大臣、情報大臣、交通大臣及び統合参謀本部参謀総長が彼等のスタッフを従えて次々と御所宮殿内の皇帝居館地下に設置されているシュヴァルツェンライヒ帝國軍最高司令部に集まってくる。シュヴァルツェンライヒ帝國軍最高司令部は極めて大きな地下施設である。その中央には東京ドームが乗る大きさのシュヴァルツェンライヒを中心に配した巨大な世界地図が載っている地図盤が鎮座ましましてその上に様々な駒が配置され、それらの駒が地図盤の周りやロープウェイのゴンドラに配置されているプロッターにより動かされることで最新の世界情勢が地図盤の上に再現されている。
隣の部屋ではその中央に大和型戦艦が2隻メザシ係留したくらいの大きさの地図盤が鎮座ましましてシュヴァルツェンライヒ国内の情勢が地図盤の上に再現される。
別の隣室ではその中央に大和型戦艦が2隻メザシ係留したくらいの大きさの地図盤が鎮座ましまして各地にあるシュヴァルツェンライヒ帝國空軍の管区防空司令部からの情報が地図盤の上に再現されて管区を跨ぐ防空作戦の調整を行う。
残る4つの隣室ではその中央に大和型戦艦が2隻メザシ係留したくらいの大きさの地図盤が鎮座ましまして、国家規模の図上演習を行っている。
皇帝は地図盤の鎮座ましますロアデッキから2.5階くらい高さのアッパーデッキからそれらの地図盤を覗いて状況を把握したりシミュレーションを見学したりして指示を出すことが出来るようになっている。そしてアッパーデッキには巨大な通信施設が配されて帝國各地と交信を行っている。
そんな巨大地下施設のアッパーデッキの一角に置いてある、大衆食堂のテーブルに
皇帝マヤと彼女の招集した内閣総理大臣、副内閣総理大臣、内務大臣、外務大臣、國防大臣、エネルギー大臣、大蔵大臣、情報大臣、交通大臣及び統合参謀本部参謀総長が集まって来る。集まった面々に比してテーブルと椅子は余りにも貧相な見た目であったが、起こった事態の重大さからすればそんなことは些事ですらない。
「集まったな。じゃあ早速始める。」
皇帝マヤが帝國安全保障会議の開催を宣言する。「帝國空軍からの報告によれば、国籍不明の大型飛行船150機が雲に紛れてわが国に侵入してジルバーギルデを空襲、うち70機がホスゲン系の化学兵器を主として医療機関や市役所周辺大量に撒布したとのことです。敵機発見の遅れから我が軍による邀撃が遅れたために、我が軍の空中軍艦12機が邀撃に出動し敵飛行船10機を撃墜したものの、ホスゲン系の化学兵器の撒布やその後の無差別空襲を阻止することが叶いませんでした。」統合参謀本部参謀総長はジルバーギルデ無差別空襲を報告する。「今後は対空見張りが課題ですね。場合によっては時間帯や天候に関係無く敵飛行船を領空侵入前に探知する目的で飛行船による哨戒が必要になるかもしれません。」情報大臣が報告を受けて今後の課題を纏める。「大型飛行船150隻の空襲、それもそのうち70隻がホスゲン系の化学兵器を撒布したとなりますと、最悪の場合現状世界で流通している通貨のうち25%が消滅する可能性があり、その場合“世界恐慌”の発生など世界経済に甚大な影響が出る恐れが大いにあります。」大蔵大臣は報告を受けて経済面からの懸念を告げる。「“世界恐慌”が起きれば、幾つかの少資源国が武力で資源地帯を奪取しようという動きが発生するでしょう。」外務大臣は大蔵大臣の懸念した事態の後に起こり得る事態を共有する。
「ああ、そして1,000,000人以上ものKIAが発生する世界大戦へと発展するだろう。もしかすると、民間人も含めて2,000,000人を超える犠牲が出るかもしれない。」
皇帝マヤがジルバーギルデ無差別空襲を起点に発生し得る人的被害の予想を口にする。「何としても、“世界恐慌”は阻止せねばなりません。」外務大臣は事態の深刻さを感じながら方針案を提示する。「“世界恐慌”の発生は、治安面で極めて深刻な事態を引き起こすかもしれません。ライヒ建國以来、我々内務省は好調な経済の恩恵を受けております。というのも経済が好調であれば共産主義や共産主義に共産主義といった過激な思想やらオウム真理教や中道改革連合にジハーディズムといったカルト教団やらは一般庶民から白い目で見られますから取り締まりも容易に行える上、自白に頼らずとも必要な証拠を揃えて起訴に持ち込めますからね。ですが、経済が悪化すれば奴等は勢いを増してライヒやライヒ内諸國を絶滅収容所へと変えることでしょう。」内務大臣は“世界恐慌”が引き起こすであろう治安危機を警告する。「出てきた意見から、政府としてはジルバーギルデ救援及び“世界恐慌”阻止に全力を挙げたいと思います。」内閣総理大臣が基本方針案を上奏すると、
「よろしく頼む。何があろうと“世界恐慌”は阻止しろ。」
皇帝マヤは口頭で勅命を発する。「承知、仕りました。」内閣総理大臣は勅命を承り、「大蔵大臣、失われるであろう通貨の発行を急げ!」と大蔵大臣に命じる。「委細承知。直ちに補正予算編成を始めます。」大蔵大臣は内閣総理大臣の命令を受けると自身の秘書を通じて大蔵省へ大至急補正予算案を組むよう命じてシュヴァルツェンライヒ銀行に新たに発行する国債の引き受けを要請する。
「次。ジルバーギルデを無差別空襲して世界市場を流通している通貨や中小国の国債及び中央銀行を破壊することで“世界恐慌”を引き起こそうとしているのは誰だ?」
皇帝マヤは次の議題へと移行させる。「報告によれば、現在確認されている敵飛行船に國籍章の類は一切描かれておりません。」統合参謀本部参謀総長が報告された内容を共有する。「國籍章が一切描かれていないだと?それは戦時国際法違反な上に航空機に関する国際合意を無視している。つまりジルバーギルデを無差別空襲したのはテロリストということになりますな。」外務大臣は共有された内容から国際法の観点で犯人像を分析する。「ライヒに多数の飛行船を保有し得る内務省監視対象組織は幾つか存在致しますが、どれもジルバーギルデを破壊して“世界恐慌”を発生させることなどしないでしょう。何故ならばそういう連中は全てジルバーギルデにかなり依存しております故。というのも禁制品の密輸で金の受け渡しが出来る場所はライヒ中を探してもジルバーギルデにしか存在しておりません。麻薬密輸であれ人身売買であれ、貿易相手側の口座はジルバーギルデにしか存在しないのです。つまりジルバーギルデを破壊した内務省監視対象組織は他の内務省監視対象組織全てから敵視されて、内務省が手を出すまでも無く壊滅することでしょう。国外の内務省監視対象組織も同じこと。いえこちらはジルバーギルデが壊滅すればさらに深刻な事態に陥ります、というのも資金の供給が途絶しますからね。」内務大臣は外務大臣の推測を内務省内の情報に基づき考察する。「投入した飛行船の隻数を考慮すると、敵飛行船の國籍國は我が国に尋常ならざる敵意を持つ大国かその大国の支援を受けた属国の何れかでしょう。ホスゲン系の化学兵器もその国から供与されたと考えるのが自然かと。」國防大臣が軍事常識からの推論を述べる。すると「我々内務省は初代皇帝から承った勅命やその継続法に基づいて内務省監視対象組織が独自に化学兵器を生産していないかを追跡調査し続けてきました。そのような勅命を初代皇帝が出されたことを鑑みますに、ホスゲン系の化学兵器が我が国に尋常ならざる敵意を持つ大国から供与されたものとは限りますまい。」内務大臣が國防大臣の推論を聞いて内務省が受けた勅命に基づいて反論する。そして「我々内務省が初代の皇帝陛下から承った勅命詔書には『例え歴史の浅い宗教組織であっても極めて強力な化学兵器を製造してこれを無差別攻撃に用いることが容易に可能であるから、化学兵器開発製造竝その製造能力獲得の兆候を迅速に掴むべく例えどのような小さな組織であっても油断せず疎漏無く入念に探査すべし。』と明言されております。初代皇帝陛下は化学兵器の開発製造が容易であると考えておりましたが故に我々内務省へこのような勅命を下されたのです。それ故に、我々内務省は今回ジルバーギルデを無差別空襲した敵組織でも今回投入されたホスゲン系の化学兵器を製造することが可能と考えております。」と内務大臣は意見を述べる。
そこに帝国陸軍参謀と情報省大臣補佐官がやって来て、統合参謀本部参謀総長と情報大臣にそれぞれ耳打ちする。そして統合参謀本部参謀総長と情報大臣がお互いに目配せすると、「陛下。わが軍の空中軍艦が撃墜した敵飛行船の残骸を発見、調査を開始致しました。敵飛行船は爆撃用硬式飛行船であり、爆弾槽内の爆弾を調査した結果集束爆弾を搭載していることが判明致しました。しかしながら銘板の類が取り外された形跡があり、敵飛行船や集束爆弾を製造した組織は分かりませんでした。一方、遺体の識別票の形式や文字からジルバーギルデへの無差別空襲を実行した組織が、“社会民主主義人民共和国”であることが判明致しました。また、機内の海図室に残っていた海図の残骸を調査した結果当該の敵飛行船の発進基地が判明致しました。これを一番飛行船基地と仮称致します。」と情報大臣が撃墜された敵飛行船の残骸を調査した結果を報告する。
「敵飛行船基地を位置が判明したのは僥倖だ。とはいえ、再び敵飛行船による大規模無差別空襲を受けるような事態となれば間違い無く最悪の事態を引き起こすことになる。それを考えると、主力の戦艦や巡洋戦艦及び航空母艦を要地防空任務に充てる必要があるだろう。」
皇帝マヤは“社会民主主義人民共和国”による無差別空襲の危険を指摘する。「それなら皇帝陛下、帝國海軍の聯合艦隊に命じてブレネンデリーベ級巡洋戦艦2隻を中核とする水上打撃群を2群編成して敵飛行船基地への艦砲射撃に向かわせては如何でしょうか?ブレネンデリーベ級巡洋戦艦は計画名コンゴウ級巡洋戦艦、主砲として45口径14インチ砲を4基の連装砲塔に搭載する最大速力31ノットの巡洋戦艦です。より新型のデファイアント級巡洋戦艦の登場により旧式となりましたが、改装で新型速射砲方位盤及び新型速射砲射撃盤により統制される強力な5インチ連装速射砲を6基搭載しているため敵飛行船による航空攻撃に対する高い自衛能力を有していますから、敵飛行船基地破壊任務には適当であろうかと存じます。それに、旧式な分万一撃沈された時の政治的ダメージもかなり抑えられます。」統合参謀本部参謀総長が“社会民主主義人民共和国”による無差別空襲を懸念する
皇帝マヤにアイデアを奏上する。
「ほう。これは魅力的だ。統合参謀本部参謀総長、帝國海軍軍令部や聯合艦隊も交えて直ぐに検討を始めろ。」
皇帝マヤは統合参謀本部参謀総長からのアイデアに基づく作戦の立案を命じる。そして返事を待たずに
「それから、帝國海軍巡洋艦隊と栄えある帝國海軍潜水艦隊に“社会民主主義人民共和国”などと言う“自らがテロリストである”と宣言したクソッタレ共の海上交通や漁撈を完全かつ不可逆に破壊し尽くさせろ。序に海岸線から6kyd以内の“社会民主主義人民共和国”などと言う“自らがテロリストである”と宣言したクソッタレ共に属する陸地を生存不能領域にするんだ。」と
皇帝マヤは目の笑っていない真っ黒な笑みを浮かべながら統合参謀本部参謀総長に命じる。
「承知仕りました、皇帝陛下。それでは一番飛行船基地破壊作戦の具体的な立案に移ります。加えて帝國海軍巡洋艦隊竝帝國海軍潜水艦隊へ通商破壊戦竝沿岸襲撃の実施を命じます。また、主力部隊に防空任務を命じます。」統合参謀本部参謀総長は
皇帝マヤからの命令を承る。
「情報省は“社会民主主義人民共和国”などと言う“自らがテロリストである”と宣言したクソッタレ共の飛行船基地が他にも存在していないか探れ。また、引き続き敵飛行船の製造元特定を進めるように。加えて飛行船基地の見取り図を描いて統合参謀本部参謀総長に提供しておけ。」と
皇帝マヤは情報大臣に勅命を下す。「承知仕りました。急いで用意致します。」情報大臣は命令を承ると遂行するための方法に関して情報省と協議する。
そして、
「ジルバーギルデの住民はどうなっている?彼等が居れば比較的短い時間で立て直せる。これは国際金融市場の混乱を早期に立て直すのに重要なことだ。」と
皇帝マヤはジルバーギルデの住民の避難状況を確認する。「残念ながら、ジルバーギルデとの通信が途絶しているため状況は完全に不明です。最悪のケースも想定すべきかと。」と内務大臣が
皇帝マヤの問いに奉答する。
「最悪のケースも想定すべき、か。確かにジルバーギルデ市長は少々強情なところがあるから避難のタイミングを逃して指揮系統崩壊からの壊滅もあり得るな。そうなると、それ自体が“世界恐慌”の引き金になるような情報は暫く伏せた方が良さそうだ。」内務大臣の奉答を受けた
皇帝マヤは嘆息する。「“世界恐慌”が起きると洒落になりませんからね。公表するにしても、公表されてなお“世界恐慌”が起きない状況を作ってからの方が良さそうです。」情報大臣が
皇帝マヤの嘆息に答える。そうして
皇帝マヤは0840、作戦立案に忙しい統合参謀本部参謀総長では無く比較的暇そうにしている國防大臣に勅命を下す。
「シュヴァルツェンライヒ帝國軍に部分動員を発令する。本部分動員による動員部隊はジルバーギルデ住民の救援に全力を挙げよ。また、ジルバーギルデがホスゲン系の化学兵器による攻撃を受けていることから化学戦戦備で出動せよ。」
しかしながら、その勅命は一足遅かった。
0840、シュヴァルツェンライヒ、ジルバーギルデ
ジホスゲン爆弾と通常爆弾とクラスター爆弾及び空中散布型対人地雷による無差別空襲によりジルバーギルデは壊滅状態となっていた。ジルバーギルデ中央駅は周辺の火災が飛び火して焼け落ちようとしており、その機能を完全に停止させていた。
ジルバーギルデ大学病院では周辺の除染や繋がっている線路周辺の地雷除去や点検を済ませ、事前準備された避難列車への移乗も完了させた。そして大学病院所属の機関士は避難列車を発進させる。大学病院からの避難列車はゆっくりとだが確実に進んでいる。彼等にとって幸運だったのは、上空の敵飛行船に彼等を攻撃する手段がもう存在しないことである。上空の敵飛行船の乗員は避難列車が不発弾か空中散布型対人地雷に引っ掛かることを祈るしか無かった。そして避難列車は幸運にもそれらに引っ掛かること無くジルバーギルデから脱出することに成功する。
ジルバーギルデ住民で生き残ったのは彼等だけであり、彼等と合流したのはジルバーギルデ大学病院からの救援要請によって出動したシュヴァルツェンライヒ帝國陸軍の部隊とであった。0913のことである。
0926、シュヴァルツェンライヒ帝都皇帝居館地下シュヴァルツェンライヒ帝國軍最高司令部の一角
「皇帝陛下、ジルバーギルデ大学病院から救援要請を受けた我が陸軍部隊がジルバーギルデ大学病院から脱出した医療関係者や入院患者の方々を収容致しました。」統合参謀本部参謀総長が
皇帝マヤに報告する。
「そうか。よくやった、と収容した部隊に伝えてくれ。」
皇帝マヤは胸を撫で下ろす。
直後、外務大臣政務官が駆け込んで来て外務大臣に耳打ちする。その内容に外務大臣は動揺し顔を青褪めさせる。
「皇帝陛下、各国大使よりジルバーギルデ総領事館との通信が取れないという苦情が来ております。今のところ目下事実関係を調査中であると返答しておりますが、これは間違い無く外交問題に発展します。」外務大臣は外務大臣政務官から受けた報告を報告する。
「内務大臣、各国ジルバーギルデ総領事館はジルバーギルデのどの辺りにある?」
皇帝マヤが内務大臣にジルバーギルデ総領事館の場所を確認する。「皇帝陛下、ジルバーギルデ総領事館はジルバーギルデ市役所周辺に配置されております。」内務大臣が報告し、「皇帝陛下。収容したジルバーギルデ大学病院の医療関係者の証言に拠れば、ホスゲン系の化学兵器は市役所周辺と医療機関周辺に集中して撒布されたそうです。」と統合参謀本部参謀総長が補足する。
「なるほど、なるほどな〜。」
皇帝マヤが報告に頷くと、
「つまり“社会民主主義人民共和国”などと言う“自らがテロリストである”と宣言したクソッタレ共は“世界恐慌”を引き起こす目的で雲に紛れてジルバーギルデを空襲し住民を皆殺しとするためにホスゲン系の化学兵器で市役所と現地在外公館と医療機関を念入りに攻撃してからクラスター爆弾を投下し空中散布型対人地雷を撒布して避難を妨害した上で焼夷弾を投下した訳だ。ところで情報大臣、アイツら人の心有るんか?」
皇帝マヤは報告を要約すると情報大臣に“テロリストを自称する奴等”に人の心が有るのかを御下問する。「申し訳御座いません皇帝陛下、我々情報省に“‘社会民主主義人民共和国’などと言う‘自らがテロリストである’と宣言したクソッタレ共”に人の心が有るか無いかといった内心を調べる術は持ち合わせておりません。」情報大臣は
皇帝マヤからの御下問に対して大真面目に奉答する。
「そうか……。では情報大臣、外務大臣。“‘社会民主主義人民共和国’などと言う‘自らがテロリストである’と宣言したクソッタレ共”の飛行船により総領事館が存在しているジルバーギルデ市役所周辺に集中して化学兵器が撒布されたことを各国大使に知らせるんだ。苦情を入れている各国大使はそれで察する。」
皇帝マヤは情報大臣と外務大臣に外務大から報告された案件に対する対応を指示する。「承知、仕りました。」情報大臣と外務大臣は
皇帝マヤからの勅命を承ると、大臣政務官を呼んで各国大使へ通知を行った。
各国大使はシュヴァルツェンライヒからの通知を聞くと、それぞれの本国に報告を行い“社会民主主義人民共和国”に対する制裁を進言する。だが、シュヴァルツェンライヒの動向が定かでは無いことから各国の本国は制裁に二の足を踏んでいた。
各国の動静が一時停止する中、0930“社会民主主義人民共和国社会民主党中央軍事委員会”は各国の動向の空白に付け込んでシュヴァルツェンライヒのジルバーギルデに対する駆除作戦と滅却作戦が完全に成功裡に完了し、全世界の人民の多くが不当に背負わされた負債から解放されたことを発表する。この発表を、当初各国政府や各国の投資家たちは経済を混乱させるためのデマゴギーと捉えていた。何故ならジルバーギルデの壊滅は即座に未曾有の大恐慌を意味しており、攻撃者の経済も壊滅的打撃を被ることを意味しているからだ。“世界恐慌”など、誰一人として望もう筈が無い。無論各国政府も各国の投資家たちもジルバーギルデのトレーダーや金融機関と連絡が取れないこと自体に気付いてはいた。しかし3月20日は、ジルバーギルデの取引所が休んだ前例が無いとはいえ、ジルバーギルデが属しているシュヴァルツェンライヒの公休日であるから偶々公休日に合わせて取引を休むこともあるのだろうと楽観視していた。
だが、時に現実は非情である。シュヴァルツェンライヒが各国大使に通知したジルバーギルデ市役所周辺への化学兵器集中撒布という情報は、在外公館すらも無差別攻撃の対象としているという事実も相まってジルバーギルデの壊滅を印象付けた。さらにヴェニーサ共和国政府高官の一部やヴェニーサの高利貸しが自分たちのシェアを獲得するためにジルバーギルデの壊滅を殊更に宣伝し大々的に拡散した。
この世界の株取引は全面安となり、そして全面安が売り注文を呼んで大暴落となって行く。
0932、シュヴァルツェンライヒ帝都皇帝居館地下シュヴァルツェンライヒ帝國軍最高司令部の一角
「皇帝陛下!“社会民主主義人民共和国社会民主党中央軍事委員会”がジルバーギルデ無差別空襲を公表しました!それだけではなく、ヴェニーサの闇金共がジルバーギルデ壊滅の報を拡散しています!」情報大臣が大慌てで駆け込んで来て報告する。「皇帝陛下、これは由々しき事態です。補正予算案が立案される前にこのような一報が広まれば、冗談では無く“世界恐慌”になります。」大蔵大臣が情報大臣の報告の深刻さを補足する。
「一先ず落ち着け。情報を3つ追加開示する。
一つ目は“社会民主主義人民共和国”によるジルバーギルデ無差別空襲が全世界を大不況に陥れる目的で行われたこと。
二つ目は現在シュヴァルツェンライヒ政府は喪われた通貨を補填すべく補正予算を編成中であること。
三つ目は“社会民主主義人民共和国”がジルバーギルデを無差別空襲する目的で構築した飛行船基地の一つが判明し、コレを“Cruiser”を中心とする部隊で攻撃する計画を立案していること。
以上三つを開示すれば、各国は破局的な不況を避けたがるだろうから外交経済面での適切な対処が期待出来る…筈だ。」
皇帝マヤは新たな情報開示を指示する。「恐れながら皇帝陛下、三つ目の情報は開示するにはリスクが高過ぎるのでは無いかと。少なくとも攻撃されると聞いて備えぬ者が何処に居ましょうや?」情報大臣は
皇帝マヤの開示指示に懸念を示す。
「心配無いよ、情報大臣。ブレネンデリーベ級巡洋戦艦なら“社会民主主義人民共和国”の行う対“Cruiser”防備を確実に突破出来る。だって、一般に“Cruiser”と言ったら主砲は精々6インチで装甲も高々3インチ程度だろう?だがブレネンデリーベ級巡洋戦艦は主砲14インチ砲8門で主甲帯が8インチだ。“Cruiser”を止めるための防備部隊ではそうそう止められんよ。ブレネンデリーベ級巡洋戦艦を止めたいなら少なくとも一万トン級“Cruiser”3隻と軽巡洋艦2隻と大型2隻も含めた21インチ魚雷発射管片舷5射線以上の駆逐艦8隻は居ないとムリダナ(・×・)。だから『“社会民主主義人民共和国”がジルバーギルデを無差別空襲する目的で構築した飛行船基地の一つが判明し、コレを“Cruiser”を中心とする部隊で攻撃する計画を立案している』という情報は開示しても問題無い筈だ。」と
皇帝マヤは情報大臣の懸念に答えると、
「情報大臣、以下の3つの情報を追加開示するんだ。
一つ目は“社会民主主義人民共和国”によるジルバーギルデ無差別空襲が全世界を大不況に陥れる目的で行われたこと。
二つ目は現在シュヴァルツェンライヒ政府は喪われた通貨を補填すべく補正予算を編成中であること。
三つ目は“社会民主主義人民共和国”がジルバーギルデを無差別空襲する目的で構築した飛行船基地の一つが判明し、コレを“Cruiser”を中心とする部隊で攻撃する計画を立案していること。」と
皇帝マヤは情報大臣に新たな情報の開示を命じる。「分かりました、皇帝陛下。ただ失礼ながら、起きている状況を考えると焼け石に水かもしれないという懸念を示させて頂きます。」情報大臣は
皇帝マヤの勅命を承りながら懸念事項を奏上する。
「だろうな。だが、少なくとも何もしないよりマシだろうとは思っている。尤も例え“世界恐慌”となっても我が国が世界の敵にならないという程度かもしれんが、それでも我が国が世界の敵になるよりは遥かにマシだろう?」
皇帝マヤはあっけらかんと皇帝としての判断を情報大臣に語ると、
「そうだ。良いこと思いついた♪」と言い出して
「情報大臣。ヴェニーサの諜報機関に『余はヴェニーサ共和国政府のとある高官やヴェニーサ共和国の誰かさんが無責任に“社会民主主義人民共和国社会民主党中央軍事委員会”の発表を拡散しまくったことにそうとう激怒している。故にもしかするとヴェニーサ市を“‘社会民主主義人民共和国’などと言う‘自らがテロリストである’と宣言したテロリスト共”の軍事拠点の一つと“誤認して”艦砲射撃してしまうかもしれない。』ってこっそり伝えることって出来ない?」と情報大臣に耳打ちする。情報大臣は「悪くない手かもしれません。」情報大臣は答えると、「効果を最大化させるため、ヴェニーサ共和国政府がこの情報に接するタイミングを外務大臣と打ち合わせても宜しいでしょうか?」と
皇帝マヤに外務大臣と効果を高めるための話し合いを要求する。
「是非そうしてくれ。」
皇帝マヤは情報大臣の要求を受け入れる。
シュヴァルツェンライヒから開示された情報は、その場では情報大臣の懸念通り焼け石に水でしかなかった、というのも余りにも株取引所が膨大な株取引を捌ききれなかったためにシュヴァルツェンライヒから開示された情報による株価の持ち直しが市場関係者に伝わらなかったためである。
かくしてこの日、この世界に流通する通貨の55%近くが消滅した、うち25%は物理的に、残る30%は暴落によって。そしてこの情報に接したトスカルーサ共和国政府は自己防衛のために公定歩合の大幅な引き上げを決断する。
同日夕刻、最も高貴な共和国ヴェニーサ首都ヴェニーサ市
ヴェニーサ市は水の都と謳われる海上都市、ヴェネツィアのように湿地に木の杭を打ち込んで基礎としその上に街を建設するという基本構造、である。そしてこの都市は海洋交易都市であり、この世界で3指に入る国際金融都市でもある。
ヴェニーサ共和国の首都機能はその新市街、こちらも基礎となる杭の材質が異なるだけで基本構造は同じである、に存在する。
「ドージェ、シュヴァルツェンライヒ中央政府外交部が我が最も高貴な共和国ヴェニーサに抗議文書を送ってきました。」ヴェニーサ共和国の外交部長官がドージェに報告する。ドージェは政府委員の立ち会いのもとに抗議文書を一読する。「どうやら我が最も高貴な共和国ヴェニーサ中央政府の高官が無責任にも“‘社会民主主義人民共和国’などと言う‘自らがテロリストである’と宣言したテロリスト共”の声明を“拡散”していることに対する抗議文書のようだ。」ドージェは抗議文書を要約する。「“拡散”……ですか。情報は封じていなければ広がるものだというのに、シュヴァルツェンライヒ政府外交部は一体何を考えているのでしょうか?」政府委員の一人は首を傾げる。まあ無理も無い、シュヴァルツェンライヒからの抗議文書で用いられている“拡散”という言葉は元々SNS用語なのだから。
そこに、「ドージェ、シュヴァルツェンライヒに送り込んだ間諜より緊急の報告です。『ヴェニーサ共和国政府のとある高官やヴェニーサ共和国の誰かさんが無責任に“社会民主主義人民共和国社会民主党中央軍事委員会”の発表を“拡散”しまくったことに激怒している皇帝マヤがヴェニーサ市を“社会民主主義人民共和国”の軍事拠点の一つと“誤認して”艦砲射撃させるかもしれない。』という情報を得ました。尤もこの情報は、経路から見て警告を目的とする意図的なリークでしょう。」と諜報機関からの報告が上がってくる。「ふむ。彼の国には不思議なこともたくさんあるからのう。だが、長く生きてきて幾つかあの国について分かっていることがある。その一つは、不況を何処よりも嫌うということだ。彼の国は不況の度に何処からそのような金が現れるのか不思議なほど多くの出費を行って、必ず真っ先に不況を脱するのだ。恐らく今回の行動は、最も高貴な共和国ヴェニーサの政府委員のなかの誰かが広めている噂が未だかつてない不況を呼びかねんから止めさせたいということじゃろうて。」と年長者故の勘の冴えを見せる。「なるほど。それなら、ドージェからの陳謝が必要になるかもしれませんが、その“誰かさん”にちょっとの間だけ黙ってもらえば良い訳ですね。シュヴァルツェンライヒ中央政府の発表から察するに、“無責任に‘拡散’を行う誰かさん”には2〜3箇月程度静かにしてもらえれば大した外交問題にはならない筈です。恐らくシュヴァルツェンライヒ側も、今回のことはあまり大事にしたくないと考えていることでしょう。」ドージェの要約を聞いた政府委員の一人が穏健な策と見通しを述べる。「何を気弱なことを。今回の行動は奴等が、例え水面下であれど、我が最も高貴な共和国ヴェニーサを脅迫したという重大事態に他なりません。もし今回の脅迫が通るのであれば、奴等は必ずやさらなる要求を突きつけて最終的に我が最も高貴な共和国ヴェニーサの富を尽く奪い去ることでしょう。」別の政府委員が穏健な策に噛みつく。「御言葉だが、シュヴァルツェンライヒがそのようなことを何時行ったというのだね?私は外交部の長として彼らの行動を見続けて来たのだが、シュヴァルツェンライヒがそのような行動をとったことは一度も無かった。それどころかジルバーギルデの融資金利に上限を設けて返済を容易にしたり中小国へ積極的に借款を行ったり技術者を中小国に送って発展を支援したりといった彼等にとって損となる行動をして来たのだよ。一体何処にそのような金を保管しているのやら。ここで世界の七不思議を挙げるならば、間違いなくその筆頭に挙がるくらいでしょう。」外交部長官は政府委員の一人を窘める。「御言葉ですが、それはジルバーギルデという“金蔓”があるから成し得ることでしょう。そしてジルバーギルデ壊滅によって頼みとしている“金蔓”が消滅したにも関わらずあれほどの国債発行を表明した。つまり奴等が何処かから金を強奪するという明確な意思を示したことに他なりません。それはつまり、周辺諸国を侵略して滅ぼし金を全て強奪することで国債発行の原資とすることを目論んでいることに他なりません。」政府委員の一人は自らの常識に基づいて外交部長官に反論する。「言っておくが、シュヴァルツェンライヒの正貨準備率はどうして信用が保たれているのか理解出来ないほど低いのだぞ。だから七不思議筆頭に挙がるのだけど閑話休題シュヴァルツェンライヒが正貨準備率を無視するかのような国債発行を行うのは割と常のことだ。流石に今回のような大規模な国債発行は例が無いのだが、それはその直前に起きた株価暴落も例が無いからだ。である以上、それは誹謗中傷に他ならんよ。」財務部長官が政府委員の一人を窘める。「そもそも、武力攻撃する気ならばわざわざ意図的にリークしないでしょう常考。」穏健な策を提示した政府委員は強硬論を唱える政府委員の考えにツッコミを入れる。「ふむ。確かに今は最も高貴な共和国ヴェニーサの政府委員のなかの誰かが勝手に噂を広めていることを止めさせて、そのことを陳謝するのが最善なようじゃな。」議論を聞いていたドージェが結論を出すと、一部高官の独断による勝手な行いを陳謝するという声明を発表する。
ところが、その“一部高官”は経済の混乱を拡大させることで自己の権益を増強させるべくシュヴァルツェンライヒの通貨政策などに関するデマを流布していく。
3月21日0535、シュヴァルツェンライヒ帝都皇帝居館地下シュヴァルツェンライヒ帝國軍最高司令部の一角
「皇帝陛下、トスカルーサ共和国政府が公定歩合の大幅な引き上げを行うと発表致しました。」情報大臣がトスカルーサ共和国政府発表を報告する。
「外務大臣。すぐ止めろ、急いで止めろ、引き上げを。」
皇帝マヤは外務大臣にトスカルーサ共和国政府と話し合って公定歩合の大幅な引き上げを思い留まらせるように命じる(大蔵省は補正予算編成でてんやわんや中)。
「御意。直ちに外相レベルの電話会談に取り掛かります。」外務大臣が指示を承る。しかしながら外務大臣はトスカルーサ共和国政府のよる公定歩合の大幅な引き上げを翻意させることに失敗する。何しろ流通している通貨の55%が消えるなどという事態は前代未聞であり、である以上トスカルーサ共和国は金本位制採用国における教科書的な対応を行うことになる。
「ところで情報大臣、昨日ヴェニーサ共和国政府高官らが行った拡散への対処はどうなってる?」
皇帝マヤは情報大臣にヴェニーサ共和国政府高官らが行ったジルバーギルデ壊滅の報の拡散について報告を求める。「ヴェニーサ共和国の国家元首から一部高官の独断による勝手な行いを陳謝するという声明が発表されました。」情報大臣は
皇帝マヤに報告する。
「それは良かった。とはいえあれほどの量の通貨が市場から消滅したんだ。急いで補正予算組んで成立させねーと、かなりヤバいことになる。大蔵大臣、急いでくれよ。」
皇帝マヤは情報大臣の報告を受けて胸をなでおろすが、すぐに事態の収拾を急がせる。「御意。」大蔵大臣は答えると大蔵省に戻って補正予算編成作業を急がせる。
「統合参謀本部参謀総長、進捗は?」そして
皇帝マヤは統合参謀本部参謀総長に立案作業の進捗状況を尋ねる。「皇帝陛下、大枠は既に出来上がっております。しかしながら、一番飛行船基地の見取り図が無ければ弾薬不足に陥る恐れがあります。」統合参謀本部参謀総長は
皇帝マヤの御下問に対して正直に奉答する。
「情報大臣。」
皇帝マヤは情報大臣に一番飛行船基地の見取り図があるか御下問しようと情報大臣を呼ぶと、「皇帝陛下、焼け残った一部を基に作成中の中途半端な物で宜しければですが、一番飛行船基地の見取り図は存在しております。」と情報大臣は先回りして奉答する。
「情報大臣、今すぐ統合参謀本部参謀総長に複写でも渡してくれ。」
皇帝マヤは情報大臣に未完成でも良いので統合参謀本部参謀総長へ見取り図を渡すように命じる。「御意。全体の50%弱程度の完成度ではありますが、一番飛行船基地の見取り図でございます。」情報大臣はこんなこともあろうかと用意しておいた見取り図の複写を統合参謀本部参謀総長に渡すと、「これはありがたい。皇帝陛下、これで本日夕刻には作戦を奏上出来る見込みです。」統合参謀本部参謀総長が
皇帝マヤに立案の完了見込みを奏上する。
「じゃあ準備出来次第始めてくれ。今回実施する作戦の内容は事後報告で構わん。」
皇帝マヤは統帥大権を発動する。「御意。」統合参謀本部参謀総長は答えると、作戦立案のために同じフロアにある統合参謀本部へと向かう。
そしてその日の夕刻1735、シュヴァルツェンライヒ帝國軍最高司令部からシュヴァルツェンライヒ帝國安全保障会議の名に於いてシュヴァルツェンライヒ帝國海軍聯合艦隊司令部に一番飛行船基地破壊作戦が下令された。
同日1800、シュヴァルツェンライヒ、クレハーフェン軍港
クレハーフェンはシュヴァルツェンライヒ最大の軍港である。日没が迫る中、その沖合の泊地で投錨しているブレネンデリーベ級巡洋戦艦2隻と岸壁に繋留されているノルドユーベル級重雷装艦4隻への補給作業が進んでいる。クレスハーフェンの運貨艇岸壁と沖合のブレネンデリーベ級巡洋戦艦の間を大型運貨艇が盛んに往復し、大型運貨艇が運んで来た食糧や消耗品をブレネンデリーベ級巡洋戦艦はQ砲塔の砲身先端辺りの左舷最上甲板に装備されている起倒式クレーンで吊り上げたりクルーが担いで舷梯を昇り降りしたりして搭載していく。加えて横付けされた燃料補給船から燃料を補給していく。一方岸壁に繋留されているノルドユーベル級重雷装艦では岸壁のクレーンで魚雷発射管旋回マウントのカバーが取り外されて、魚雷水上発射管操縦台が載せられると、直径22インチ長さ31フィートもある魚雷発射管が岸壁のクレーンで慎重に操縦台の載っている魚雷発射管旋回架台へと降ろされていく。そして1つの旋回架台に5門の魚雷発射管が装着されると、水雷員が21インチ五連装魚雷発射管に異常がないか確かめるために操縦台のハンドルを廻して旋回させる。そうして点検が終わると次の発射管架台へと操縦台や魚雷発射管の積み込みが行われる。魚雷発射管の中には直径21インチ長さ30フィートにも及ぶ、湿式熱走空気魚雷が収まっている。シュヴァルツェンライヒ帝國海軍の主力魚雷は900ポンドものHBXを納める長さ6フィート7インチもの巨大な弾頭を擁し、その後ろに225気圧の圧縮空気を納めた長さ14フィート1インチの気室、燃料分離器、燃料室、操舵用高圧空気室、第一空気室、深度機室、起動装置と並び、そのさらに後ろにエンジンである燃焼室と8気筒斜板機関が装備されている。そしてエンジンから伸びるシャフトがギヤを介して二重反転プロペラにエンジンの回転を伝える。シャフトの周りにはジャイロや操舵機が配置されている。そして二重反転プロペラは水上艦艇の魚雷発射管から発射した時着水の衝撃で壊れないようシュラウドで保護されている。魚雷はかくも複雑な精密機械である上に水上艦艇に乗せた後では整備出来ないことから、シュヴァルツェンライヒ帝國海軍では水上艦艇に搭載される魚雷は潮風で劣化しないよう完全に閉囲された魚雷発射管か次発装填装置に収められた状態で工場から出荷されるのである。そうして魚雷は魚雷発射管に収められた状態でノルドユーベル級重雷装艦に搭載されていき、並行して水雷科以外のクルーが総出で食糧や消耗品などの補給に駆け回る。そうして作戦に使用する物資が搭載されるとブレネンデリーベ級巡洋戦艦のクルーは揚錨部署に、ノルドユーベル級重雷装艦のクルーは出港部署にそれぞれ就いてクレハーフェンを出撃する。
同時刻、シュヴァルツェンライヒ、キリシマスハーフェン軍港
ほぼ同じ編成の水上打撃群がシュヴァルツェンライヒ帝都から鐵道で1時間半ほどの位置にあるキリシマスハーフェン軍港から出撃する。
翌日夜、一番飛行船基地
ブレネンデリーベ級巡洋戦艦4隻とノルドユーベル級重雷装艦8隻から構成される2個水上打撃群は順番に一番飛行船基地へ艦砲射撃を行って壊滅させる。数隻の三等防護巡洋艦が迎撃に出るものの、ノルドユーベル級重雷装艦が魚雷を放つまでも無くブレネンデリーベ級巡洋戦艦の砲撃で始末された。その後2個水上打撃群に搭乗している海兵隊は一番飛行船基地に上陸して占領すると、壊滅した基地から焼け残った地図や焼け残った地図の端切れを鹵獲してシュヴァルツェンライヒ本国キリシマスハーフェン軍港にお持ち帰りして情報省に送付した。
2箇月後、情勢
鹵獲した地図を解析した結果、情報省は二番〜七番の6箇所ある飛行船基地を突き止める。そしてブレネンデリーベ級巡洋戦艦4隻とノルドユーベル級重雷装艦8隻から構成される2個水上打撃群が艦砲射撃を敢行して判明した6箇所の飛行船基地を全て壊滅させる。
その後“社会民主主義人民共和国”の飛行船部隊は巡洋艦隊と潜水艦隊による通商破壊戦により飛行船基地への補給が途絶えたためにシュヴァルツェンライヒへの空襲を行うことが出来なかった。
翌月6日|《18時55分》、“社会民主主義人民共和国”八番飛行船基地
八番飛行船基地では2箇月もの時間をかけてシュヴァルツェンライヒ本土空爆作戦の準備を進めている。飛行船部隊の指揮官は一番から七番までの飛行船基地がシュヴァルツェンライヒ帝國海軍の艦砲射撃により壊滅したことを知っており、極めて緊張状態にあった。彼はシュヴァルツェンライヒ本土爆撃を用意するためにシュヴァルツェンライヒ帝國海軍巡洋艦隊が転売した軽油燃料や航空爆弾(但し勅命で転売を禁じられたクラスター爆弾や毒ガス爆弾を除く)を密かに購入して作戦に使う物資の集積を進めている。しかしながら、潜水艦隊による通商破壊戦により半数近くの輸送船が撃沈された影響もあり作戦に必要な物資量の33.4%しか集積出来ていない。
同日2334頃、“社会民主主義人民共和国”八番飛行船基地、飛行船部隊司令室。
飛行船部隊の司令は空爆作戦のための物資調達に勤しんでいる。シュヴァルツェンライヒ帝國海軍の通商破壊戦の影響で補給は滞っており、最近では地上訓練以外何も出来ない飛行船部隊の乗組員たちは体力訓練と食糧調達を兼ねて畑仕事に従事している有様である。
そんな司令室に、電話のベルが鳴り響く。
飛行船部隊の司令は電話を取ると、
「もしもし、こちらは第815戦略爆撃飛行戦隊司令である。もしやまた我が軍の航空爆弾が売りに出されたのか?」と相手も確認せずに食い気味な様子で訊ねる。すると、「私だ…」と電話の相手が話す。その声を聞いた飛行船部隊の司令は思わず「!…… 偉大なる空に輝く 白頭山の星にして 同志将軍様…」と言うと、将軍様が直々に電話したのは良い機会であると思って現状を報告しようとする。
ところが、「挨拶はいい。」と将軍様は飛行船部隊の司令の報告を遮って「次の駆除作戦はいつ始められる!?出来ませんでは良心がない。」と飛行船部隊の司令に質問する。
飛行船部隊の司令は粛清をさけるため異常なほどの冷や汗をかきながら、「はい必ずや…必ず明日には。」と答えるしか無い。答えを聞いた将軍様は「また電話します。努力しなさい。」と言い、飛行船部隊の司令は「はい、同志将軍様……」と答えると電話を切ってしまう。「ウウウ……」飛行船部隊の司令は胸を手で抑えながら倒れ、シュヴァルツェンライヒ帝國海軍巡洋艦隊の転売した軽油燃料を無事購入出来たことを報告しようとやって来た副官が飛行船部隊の司令の姿を見て「大変だ!同志司令官閣下が!」と衛生兵を呼びに走っていった。
だが、将軍様の期待とは裏腹に、彼等がシュヴァルツェンライヒ本土へ飛び立つことは無かった。
翌日0630、八番飛行船基地北東、八番飛行船基地東方警戒線、“社会民主主義人民共和国”秘密工作部の工作船。
“社会民主主義人民共和国”はシュヴァルツェンライヒによる飛行船基地への艦砲射撃計画の公表を受けて飛行船基地を守る艦隊を派遣する。しかしながら派遣した艦隊の悉くがブレネンデリーベ級巡洋戦艦に始末される有様を見てとった“社会民主主義人民共和国”海軍上層部は艦隊戦力をシュヴァルツェンライヒ本土空襲作戦の用意が最も整っている八番飛行船基地へと集結させた。そして八番飛行船基地の北にある湾の中に艦隊主力を集結させると、2つの島の間の水域と外洋とを繋ぐ海峡3つに警戒線を引いて艦艇で哨戒させる。無論警戒線に配属された艦艇は本隊が到達するまで時間を稼ぎ有利な位置に展開させる助けとなることを要求される。そして“社会民主主義人民共和国”上層部はシュヴァルツェンライヒ帝國海軍の拠点のある方向やシュヴァルツェンライヒ帝國海軍の水上打撃群の行動を基に西や北西の警戒線を重視して三等防護巡洋艦や有力な仮装巡洋艦を配備しており、東の警戒線には傭船した海賊船や秘密工作部の工作船とそれらからの情報を纏めてそれらを指揮する仮装巡洋艦しか配備されていない。
本来であれば各地へ工作員や密輸品を運んで回っているはずの秘密工作部の工作船が警戒線での哨戒を行わなければならない事態に“社会民主主義人民共和国”の直面している状況の困難さが窺える。
「何故だ……世界は何故我が偉大なる社会民主主義人民共和国が『抑圧者・犯罪民族』たる日帝本国人に付き従って抑圧や犯罪に加担してきた邪悪な犯罪集団を滅ぼそうとする義挙に反発するというのだ……」工作船の船長が独り言ちる。「船長……もしかすると、初撃でジルバーギルデを狙ったことがそもそもの誤りであったのではないでしょうか?」工作船の船長の独り言を聞いた工作船の船員が独り言で返す。「世界はそれほどまでにジルバーギルデを好んでいるというのか……」工作船の船員の独り言に工作船の船長がこれまた独り言で返すと、「だからあれほど上申したのだ、『初撃で狙うべきはジルバーギルデに非ず、帝都をこそ初撃の標的とすべきだ。』と。ジルバーギルデは元々『抑圧者・犯罪民族』たる日帝本国人に付き従って抑圧や犯罪に加担してきた邪悪な犯罪集団の配下ではなく独立した経済都市であり、『抑圧者・犯罪民族』たる日帝本国人に頼ったが故にその配下にされてしまっただけの存在、つまり本来であれば解放されるべき対象であったのだ。」と独り言を続ける。「その『抑圧者・犯罪民族』たる日帝本国人に資金援助したのはジルバーギルデなんですけどね……」工作船の船員は工作船の船長の独り言に独り言で返す。
直後、工作船の船員は覗いている双眼鏡を通して水平線に何かを認める。「あれは……」彼は目を凝らし双眼鏡で見つけたものを注視する。「いったいどうした?」工作船の船長が彼の様子の変化に気付いて訊ねる。「北東に淡い煤煙です。恐らく重油焚きの蒸気船舶が複数。」工作船の船員が工作船の船長の質問に報告する。「警戒態勢!いつも通りに振る舞え。」工作船の船長が工作船の船員たちに漁船を装うよう指示する。彼等は慣れた動きで瞬く間に漁船の振りをし始める。そして間もなく、水平線に檣の上端が現れる。それは、射撃指揮所と測的所と、何故か籠が乗ってる長さ35フィートほどの測距儀であった。その特徴的な姿を、秘密工作部の人間が見誤ろう筈も無い。「北東にブレネンデリーベ級巡洋戦艦!」工作船の船員が工作船の船長に報告する。「通信長!緊急連絡!」工作船の船長が即断すると、通信長は「“ブレネンデリーベ級巡洋戦艦を中心とする敵艦隊を発見、距離近接のため交戦す。応援を請う。”」と平文で電信を打って報告する。
そして間もなく、工作船は臨検を試みようとする謎の大型駆逐艦と銃撃戦となって乗員が壊滅したため自爆という最期を迎えた。
彼等が発見した“ブレネンデリーベ級巡洋戦艦”がよもや、運用国で旧式とされる巡洋戦艦、どころか運用国の主力巡洋戦艦よりも、遙かに強力な戦艦であろうなどとは思いもよらなかった。
なんか…予想の3倍近い長さになってしまいました。
用語解説
ジルバーギルデ自治評議会
シュヴァルツェンライヒ成立前にジルバーギルデを治めていた政府の意思決定における最高機関。評議会の議長が市長を務めることになっている。
シュヴァルツェンライヒ成立後もジルバーギルデ市議会の上院として存続している。
長らく評議会メンバー(ジルバーギルデの最有力商家の面々や鋳貨ギルド&金属精錬ギルドのギルドマスター)の利益を最大化するための組織であったのだが、シュヴァルツェンライヒ成立後はカウンターパートである民撰議院やリコール制度の存在からかなりおとなしくなっている。
EV
電気自動車。
実はエジソンの作品にも存在するくらい古いスタイル(何ならガソリン車の方が後から登場した)。
日本の場合法令のため(純内燃機関自動車と比べて)頻繁に点検に出す必要があるため維持費が結構かかる。
帝國歴制定前には最も実用的な自動車であり、それ故に諸国民戦役で初代皇帝が予備の鉛蓄電池を大量に積んだり電話機や電信機といった電装品の電源を独立させたりと多くの苦労をしながら大量運用した。但し故障や電池切れで脱落して敵主力の餌食になった将兵も多く、かなり薄氷の上の勝利だったそうな。
なお作中世界でも内燃機関自動車によって淘汰された模様。多分シュヴァルツェンライヒでは諸国民戦役戦死者遺族やその子孫が強固なEV反対派となることだろう。
地下鐵道を狙ったテロに代表される化学兵器攻撃への備えを確認する日
シュヴァルツェンライヒの公休日。何故3月20日なのかは分かっていない。あとこんな公休日を設けてまで毒ガスに備えるのはちょっと神経質過ぎない?というのが一般の反応だそう。
ちなみに毎年この日に行われるガスマスク装着訓練の総仕上げである「防毒面装着大演習」はシュヴァルツェンライヒの将兵から最も人気が低い訓練である。まあ(弱めとはいえ)催涙ガスが充満していく空間で急いで正しく防毒面を装着し、催涙ガスでいっぱい(酸素はちゃんと20%ある)の空間に飛び込んで戦闘や救助活動を行うという訓練だから現実味が極めて乏しいうえにかなりキツい(特に防毒面を正しく装着出来ないと地獄を見る)からね。
硬式飛行船
金属製のフレームに布を張りその内側に気嚢を設けるスタイルの飛行船。
グラーフ・ツェッペリンシリーズが最も有名。
第一次世界大戦初期にロンドン空襲作戦に投入された。
飛行機の隆盛やヒンデンブルク号の爆発により廃れた。
ちなみに、ゴンドラだけでなく気嚢部のボトムにもキャビンを配置出来るのが軟式に対する明確な強みである。
本作では最も重要な航空戦力の一つとして広く運用されている。
拡散爆弾
ルビ読めば分かる通りクラスター爆弾。
リアルでは不発弾の多さから非人道的兵器として条約禁止兵器に指定されている。但しその条約に批准していない国がいっぱいいる。
ちなみに条約未批准国でも反応はまちまちで、アメリカのように技術力で不発弾発生率を減らそうとすることで非人道性を弱めようとする国もあればロシアや中国のように非人道性を無視する国もある。
空中散布型対人地雷
航空機から広範囲に投下される対人地雷。
地雷原の範囲を拡大する目的と周囲の子供を殺傷する目的で蝶々のような形をしている。
小型軽量なので殺傷力は弱いのだがその分残虐性がマシマシになっている。
リアルではプラスチック製であることが多いのだが、この世界ではプラスチックがまだ実用化されていないのでアルミ合金や薄い鋼及び布で作られている。
市放棄
市が長期にわたる攻囲や砲撃その他により保たないと判断された際、市長が住民に市から脱出して離れるように命じる措置。海軍だと総員退艦に、商船だと総員退船にそれぞれ相当する。
事実上自市陥落を認めるとても重い判断なので市長たちは発令に躊躇しがち。
シュヴァルツェンライヒ大学病院対化学戦システム
転移前にテロリストやその支援者が如何に卑劣であるかを散々見て来た初代皇帝が中心となって構築したガチ化学戦を前提とする化学兵器への防禦的な対抗手段。
作動すると吸気口が完全に閉塞された上で換気扇とスプリンクラーが全力稼働、それにより減圧された施設内へ圧縮空気槽から化学兵器で汚染されていない新鮮な空気を供給しつつ大学病院施設内の除染を行う。加えて大学病院内各所に設置された酸素供給設備が稼働して化学兵器曝露患者への酸素吸引措置が迅速に行えるようになる。
但しこれを設置する前提で医療施設を設計し建設しなければならない(=後付け出来ない)という難点があるため歴史ある医療機関にとっては導入ハードルが凄まじく高い。そのためジルバーギルデ市内でこれを導入している医療機関はジルバーギルデ大学病院のみ(大学病院は初代皇帝が主導して建設したことから当初よりこれを建物の強度を担う部材とする設計となっている。)。
とはいえ技術の限界故に(オーバーホールや設備の更新が容易に出来る設計とはいえ)これ単体で化学兵器から防護出来るのは精々3時間と見積もられている(だからこそ大学病院側は即時の市放棄を求めた訳で)。
防空警戒蛸
シュヴァルツェンライヒ各所に設置されているシュヴァルツェンライヒ帝國空軍所属の対空監視用散兵壕。双眼鏡や高度観測器材といった観測器材や電話などの通信機器など配備されている。
敵航空機からの攻撃を避ける目的で公園の四阿に偽装されている。
シュヴァルツェンライヒ帝國空軍管区防空司令部
シュヴァルツェンライヒ帝國空軍が防空任務のためシュヴァルツェンライヒ各所に配置した司令部。
シュヴァルツェンライヒ国内を幾つの管区に分割してその管区に一箇所ずつ存在している。ちなみに、司令部の所在地は比較的閑散としている街の地下に設置されている。
モデルはRAFで用いられたダウディングシステムの中央司令部。
空中軍艦
各国軍が保有する有力な飛行船。
どのような飛行船を空中軍艦に分類するかは各国軍の裁量の範囲内であるため、様々な種類の空中軍艦が存在している。
ちなみにシュヴァルツェンライヒ帝國の空中軍艦はエアシップ級という、全備重量9,300kg、全長165フィート、全幅114フィート、全高23フィートという大きさで敵飛行船の邀撃を専門とする硬式飛行船方式な空中軍艦である(なお装備している武器は砲熕兵装や機銃では無く敵飛行船攻撃用のランケン・ダートや焼夷弾な模様。)。
ランケン・ダート
1916年にイギリスのランケン氏が開発した飛行船の外被を貫いて内部で炸裂させることにより飛行船を撃墜するという投下式対飛行船兵器。但し当時の敵飛行船の外被強度が想定以上に高かったことや信管の不具合などから効果はいまひとつだった。
なのでシュヴァルツェンライヒでは先端を研ぐことで外被を斬り裂くように貫くように改良され、更に確実に起爆するように改良した信管を装備することで効果を高めている(実際に無人で浮かべたエアシップ級空中軍艦を標的としてテストされた)。
シュヴァルツェンライヒ第三代皇帝マヤ
シュヴァルツェンライヒの第三代皇帝にして美巨乳がトレードマークな美少女。
18年ほど前に第二代皇帝の長女として産まれ、初代皇帝により巡洋艦の艦名を由来として命名された。ところでここからが本題なのだが、当時のシュヴァルツェンライヒ帝國海軍にマヤという巡洋艦は存在していない。
活発で竹を割ったような男勝りな性格で、結構かわいい。そして今回の事件でキレたら祖母よりヤバいことが判明する。
そのプロポーションや仕草で|侍従たちを悩ませている《押し倒したらヤバい》。
帝國安全保障会議
シュヴァルツェンライヒにおける最高意思決定機関の一つ。御前会議に比して非常にコンパクトであるため初代皇帝も好んで利用していた。
構成メンバーは
皇帝(議長)
内閣総理大臣
副内閣総理大臣
内務大臣
外務大臣
國防大臣
エネルギー大臣
大蔵大臣
情報大臣
交通大臣
統合参謀本部参謀総長(ちなみに彼も内閣を構成するメンバーの一人である。)
の11名。
緊急事態発生時に招集される。大抵会場に置いてあるテーブルと椅子の貧相さが気にならなくなるくらい重大な事態。
御前会議(本文で出てないけど比較のため解説)
シュヴァルツェンライヒにおける最高意思決定機関の一つ。
帝國議会の議決や帝國議会で可決した法律及び予算案に皇帝から疑義が提示されたり帝國最高裁判所で出される予定の判決案や裁判所で出された判決に皇帝から疑義が提示された場合などの際に招集されて帝國議会議事堂で開催される。
議長である皇帝と内閣全員(17名)と帝國議会全議員(1,000名くらいいる)と帝國最高裁判所の全裁判官(13名)及びそのスタッフから構成される。また、召集開催の原因となった人物や関係する分野の研究者が呼び出されることもある。
参加人数がとても多いため緊急の意思決定に向かないという難点がある。
御所宮殿
シュヴァルツェンライヒの皇帝居城たる宮殿。
初代皇帝は御所としか呼んでいなかったのだが、いつの間にか御所宮殿という名称になったという経緯がある。
シュヴァルツェンライヒ帝國軍最高司令部
シュヴァルツェンライヒにおける最高統帥部。
皇帝居館の地下に存在しており、統帥権を有している皇帝がいつでも状況を把握出来るように3直交代で状況が刻々と地図盤上にプロットされるようになっている。また、国家規模の図上演習を行うことも可能となっている。
構造的には皇帝居館の地下室がシュヴァルツェンライヒ帝國軍最高司令部というより皇帝居館がシュヴァルツェンライヒ帝國軍最高司令部の上にちょこんと建っているという方が適切。なお皇帝居館の大きさはアメリカのホワイトハウスと同じくらいな模様。
ちなみに全く同じ機能を有する施設が総理官邸の地下と國防省庁舎の地下と統合参謀本部庁舎の地下にそれぞれ設置されている他、シュヴァルツェンライヒ国内の政党本部の地下にも政党が独自に運営する簡易版が設置されている。
“世界恐慌”
目茶苦茶ヤバい全世界的不況。
どれくらいヤバいかというと、1929年に実際に発生した際には1920年代の永遠に続くと思われた平和な時代が消し飛んだ。そしてその余波でドイツ政治が混迷を極めることとなり、最終的にNSDAPが台頭して回避しようが無い戦争へと突き進んだ。そしてチャーチルやスターリンによる策謀やFルーズベルトの野心とアジア地域への無理解と人種差別に日本マスコミの無責任な扇動活動とが絡み合った結果、再装填に2,000,000人以上もの犠牲者を出す世界大戦へと発展していった。
本文中には出ていないが、シュヴァルツェンライヒの経済政策に於ける最重要事項は“世界恐慌”を起こさないことである。そのため不文律により戦時中を除いてデフレ政策を実施することが禁じられている。
帝國海軍巡洋艦隊
帝國海軍巡洋艦隊はシュヴァルツェンライヒ帝國海軍最古の制式部隊であるのだが、その所以はシュヴァルツェンライヒ帝國海軍がシュヴァルツェンライヒの領海となる水域で活動していた海賊を母体としているためである。
その任務は通商破壊戦である。そのため隷下に潜水艦隊司令部を有しているのだが……
奪った船や積荷を転売して得られた売上額により功績の大小が決まるという海賊であった頃の評価基準を今なお引き摺っている。
栄えある帝國海軍潜水艦隊
シュヴァルツェンライヒ帝國海軍で潜水艦を統括する建制部隊であり、帝國海軍巡洋艦隊の指揮下に存在する。尤も人事面と装備面で皇帝から優遇され、情報省絡みで海上本部を通さずに統帥部から指示を受けることもある。その一方で巡洋艦隊では“奪った船や積荷を転売して得られた売上額により功績の大小が決まる”ため万年功績ゼロと扱われており、そのため潜水艦そのものを廃絶すべきという意見が極めて根強い(巡洋艦隊では功績を全く立てないのに多くの予算を持って行く金食い虫扱いだったり)。
“自らがテロリストである”と宣言した
この世界では化学兵器を開発したり製造したり保有したりすることそのものが著しく不名誉なこととされている。
当然、使用に至っては……
おまけに國籍章不記載に在外公館も無差別攻撃の対象とした外交官殺害。うん、これはテロリストですね。
ヴェニーサの高利貸し
ヴェニーサ共和国の首都であるヴェニーサはこの世界で3指に入る金融街である。ちなみに残る2箇所はシュヴァルツェンライヒのジルバーギルデとトスカルーサのフィーレンツェ。
ヴェニーサは手広く貸し付けを行っているがその分金利が高く、その金利の高さ故に差し押さえなどでヴェニーサの傘下になる国も多いのだとか。
ちなみに一番安くて“といち”(借用期間10日で金利10%)なのだそう。
金融街としては若干不人気ではあるが、その優れた海運業によりこの世界有数の交易都市として栄えている(そもそもヴェニーサの金融街は海上交易で一攫千金を夢見る人達に一時的な費用を工面する代わりに海上交易の利益の一部を貰い受けるという形態の金貸し業が始まりという歴史的経緯で成立した。当時は難破リスクがかなり高かったことから貸す側が債権者船舶の難破により債権が債務者の諸共沈んでも赤字にならないために金利を高めに設定したというのがヴェニーサの金融業者が高利貸しとなった要因である。)。
この世界で流通している通貨の20%前後が存在している。
国際金融街としてのジルバーギルデ
この世界に於ける現存最古の金融街であったジルバーギルデはシュヴァルツェンライヒに編入されるにあたって、国際金融を任される代わりに中小国育成を金銭面(財政や経済含む)で支援することを役目として仰せつかったという経緯からかなり低金利かつ借り換えにより事実上利子の支払いのみ義務付けていた。なお利子支払いの原資はジルバーギルデの商人たちが投資して育成した産業の収益な模様。
本文でも示されているが、この世界で流通している通貨の25%がジルバーギルデに存在している。
トスカルーサのフィーレンツェ
トスカルーサ共和国の首都であるフィーレンツェはこの世界で3指に入る金融街の一つである。
金利はかなり安いものの、融資の審査が非常に厳しいことで知られている。そのため、フィーレンツェから融資を受けていることはこの世界に於いて一種のステータスとなっている。
この世界で流通している通貨の20%前後が存在している。
巡洋戦艦
装甲巡洋艦を発展させた主力艦。
戦艦級の主砲を搭載する巡洋艦より強力で戦艦より高速な水上戦闘艦であり、上手く扱えれば戦艦よりもかなり兇悪な戦力として機能する。しかし扱いを誤れば大ダメージを喰らうという難しさがある。
イギリスが愛用したことで有名だが、最も好んだのが大日本帝國海軍であることは意外と知られていない。ちなみに八八艦隊計画頃までの大日本帝國海軍の戦艦が同世代の中で高速な設計なのは装甲巡洋艦や巡洋戦艦との連携を念頭に置いていたためである。
一万トン級“Cruiser”
一般には重巡洋艦という方が通りが良いのだが、この世界にはそういう種類の巡洋艦が存在していないためこのような呼び方となっている。
イギリス海軍のホーキング級重巡洋艦や大日本帝國海軍の古鷹型重巡洋艦を端緒として生み出され、ワシントン海軍軍縮条約やそれにより生み出された漸減邀撃作戦により発展していった水上戦闘艦。
コレを特に愛用したのは大日本帝國海軍とアメリカ合衆国海軍という太平洋を挟んだ二大海軍である(理由は漸減邀撃作戦)。ちなみに日米でかなり形態が異なる。
大日本帝國海軍の一万トン級巡洋艦は決戦前夜に実行される夜襲に於いて火力で水雷戦隊を支援し、場合によっては戦艦に雷撃を実行する水上戦闘艦として計画され設計され建造された。
アメリカ合衆国海軍の一万トン級巡洋艦は決戦前に実行されるであろう水雷襲撃から主力部隊を守るための“水雷戦隊駆逐用水上戦闘艦”として計画され設計され建造された。ちなみにアラスカ級大型巡洋艦は水雷戦隊を支援する大日本帝國海軍重巡洋艦を砲戦で撃破するために計画され設計され建造された“弩級高速戦艦”となっており、デ・モイン級重巡洋艦は“水雷戦隊駆逐用水上戦闘艦”の極致となった。
また、ロンドン海軍軍縮条約をきっかけに大日本帝國海軍の最上型軽巡洋艦を端緒として6インチ級の主砲も積むようになった。
ブレネンデリーベ級巡洋戦艦を止めたいなら少なくとも一万トン級“Cruiser”3隻と軽巡洋艦2隻と大型2隻も含めた21インチ魚雷発射管片舷5射線以上の駆逐艦8隻は居ないとムリダナ(・×・)。
第三次ソロモン海戦第一夜戦で比叡を撃破し霧島を撤退させた米艦隊の編成。
一万トン級巡洋艦
サンフランシスコ(55口径8インチ三連装砲3基、25口径5インチ単装高角砲8基(片舷4基))
ポートランド(55口径8インチ三連装砲3基、25口径5インチ単装高角砲8基(片舷4基))
ヘレナ(47口径6インチ三連装砲5基、38口径5インチ連装高角砲4基(片舷2基))
軽巡洋艦
アトランタ(38口径5インチ連装高角砲8基(片舷7基)、21インチ四連装魚雷発射管2基(片舷1基))
ジュノー(38口径5インチ連装高角砲8基(片舷7基)、21インチ四連装魚雷発射管2基(片舷1基))
大型駆逐艦
フレッチャー(38口径5インチ単装高角砲5基、21インチ五連装魚雷発射管2基)
オーバノン(38口径5インチ単装高角砲5基、21インチ五連装魚雷発射管2基)
駆逐艦
カッシング(38口径5インチ単装高角砲5基、21インチ四連装魚雷発射管3基(片舷2基))
スティレット(38口径5インチ単装高角砲4基、21インチ四連装魚雷発射管3基(片舷2基))
ラフェイ(38口径5インチ単装高角砲4基、21インチ五連装魚雷発射管1基)
バートン(38口径5インチ単装高角砲4基、21インチ五連装魚雷発射管1基)
アーロン・ワード(38口径5インチ単装高角砲5基、21インチ五連装魚雷発射管2基)
モンセン(38口径5インチ単装高角砲5基、21インチ五連装魚雷発射管2基)
最も高貴な共和国ヴェニーサ
ヴェニーサ共和国の正式名称。
但し当人たちしか使っていない(そもそも地の文でさえヴェニーサ共和国表記)。
シュヴァルツェンライヒからの抗議文書で用いられている“拡散”という言葉は元々SNS用語なのだから。
ところでここからが本題なのだが、シュヴァルツェンライヒにSNSというものは存在していない。まあそもそも前提技術も無いからね。コンピュータ?この世界では歯車とカムの塊のことだけど何か?
何処からそのような金が現れるのか不思議なほど多くの出費を行って、必ず真っ先に不況を脱する
高橋財政やケインズ政策で行われる政策を金本位制が常識な人の立場から見たもの。
出費の原資は赤字国債の発行である。
ちなみに、シュヴァルツェンライヒは管理通貨制度を採用している。
周辺諸国を侵略して滅ぼし金を全て強奪することで国債発行の原資とする
NSDAP政権下のドイツがアンシュルスを皮切りに第二次世界大戦前半までやったこと。
そもそもNSDAP政権下のドイツがどうしてこんなことをしたかと言うと、
1.アメリカで起きた株価暴落により世界恐慌が発生。
2.世界恐慌によりアメリカからドイツへの融資が停止。
3.ドイツへの融資が止まったことで経済が崩壊。
4.経済崩壊により失業者が大量発生。
5.経済再生を掲げるNSDAPが政権を獲得する。
6.NSDAP政権が政策の原資としてMEFO手形を発行。
7.NSDAPの選挙公約に基づきドイツ軍部隊がラインラントに進駐。
8.NSDAP政権の政策によりドイツが不況から脱出。
9.MEFO手形の期限が近付いて来たこととNSDAPの選挙公約からオーストリアとのアンシュルスを実行(この時ドイツはオーストリアの金を押収)。
10.ドイツはチェコスロヴァキアがズテーテンラントに住むドイツ系住民を軽視する政策をしているから保護するという名目でズテーテンラントを要求。英仏独伊でミュンヘン会談が行われる。
11.ミュンヘン合意によりズテーテンラントがドイツに編入される。
12.ドイツとソ連がモロトフ・リッベントロップ協定を締結。
13.ドイツはチェコスロヴァキアを併合。(この時ドイツはチェコスロヴァキアの金を押収)。
14.ドイツはポーランドにダンツィヒを要求。ポーランドは英仏との相互防衛協定を楯にドイツの要求を拒否。
15.第二次世界大戦が勃発。英仏は想定外のソ連によるポーランド侵攻により相互防衛協定の実施が困難となりポーランドは滅亡(ドイツはポーランドの金を押収する)。
16.ドイツはデンマークやノルウェーに侵攻。デンマークは数時間で降伏。その後ノルウェーも占領される(ドイツはノルウェーの金を押収する。)。
17.ドイツがフランスに侵攻(ドイツはフランスの金を押収する。)。
という流れである。
シュヴァルツェンライヒ帝國軍統合参謀本部
國防省の地下にあることになっている統帥部門の最重要部局。
実は國防省の敷地に被っているほど巨大な超巨大地下施設の一角に存在しており、國防省庁舎の地下階と地下通路で繋がっている。
ブレネンデリーベ級(BrennendeLiebe-class Battlecruiser)
諸元
艦種:巡洋戦艦
計画名:コンゴウ級巡洋戦艦
排水量
常備排水量:33,635LT
満載排水量:48,000LT
寸法
長さ
全長:729フィート
水線長:720フィート
垂線間長:653フィート6インチ
幅
全幅:105フィート3インチ
水線幅:95フィート6インチ
深さ:43フィート2.25インチ
喫水:30フィート9インチ
乾舷:12フィート5.07インチ
乗員:1,222名
機関
主罐:重油専焼罐8基
主機:蒸気ギヤードタービン4組
主機出力:136,000shp
推進軸数:4軸
最大速力:31ノット
舵:内舷軸後方各1枚の計2枚
装甲
舷側装甲
主甲帯(VC):8インチ
上部甲帯(VC):6インチ
艦首甲帯(VC):3インチ
艦尾甲帯(VC):3インチ
甲板装甲
最上甲板(HT):1.3インチ
中甲板(主甲板)
弾薬庫(NVNC):5インチ
機関部(NVNC):3.9インチ
水中防禦
外板(HT):1.3インチ
空層:3フィート6インチ〜13フィート3インチ
液層(燃料タンク)
水雷防禦鋼板(HT):3インチ
主砲塔
バーベット(VC):10インチ
前楯(VC):11インチ
天蓋(NVNC):6インチ
側楯(NVNC):6インチ
後楯(NVNC):4インチ
煙路コーミング(VC):6インチ
兵装
砲熕兵装
主砲
45口径14インチ砲
A:連装砲塔
B:連装砲塔
Q:連装砲塔(後檣と機械室の間。後方射界はX砲塔同様。)
Y:連装砲塔
弾数:880発(110発/門)
副砲
50口径5.5インチ(実口径14cm)砲
上甲板に単装砲廓砲架で14基(片舷7基)
弾数:1,680発(120発/門)
三次砲
40口径5インチ速射砲(実は高角砲)
最上甲板に連装砲架6基(片舷3基)
弾数:2,400発(200発/門)
FCS
主砲用射撃指揮装置
第二型式の射撃指揮装置。
10m測距儀
方位盤射撃装置(九八式方位盤相当)
射撃盤(九八式射撃盤相当)
測的盤としての機能を採り入れた射撃盤。
高射装置(九四式高射装置に相当)
高射機(九四式高射機相当)4基
高射射撃盤(九四式高射射撃盤相当)16基
同型艦
ブレネンデリーベ(Brennendelibe)
エルテーレ・シュベスター(Ältere Schwester)
ミア・ゲート・エス・グート(Mir geht es gut)
ミクロフォンプリューフンク(Mikrofonprüfung)
900ポンドものHBXを納める長さ6フィート7インチもの巨大な弾頭
ちなみに威力に定評のある九三式魚雷は弾頭の長さ1.4m(但し直径が3インチほど大きいので炸薬がいっぱい入る。)。




