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第4話

「戴冠式ともなれば数多くの事柄をしなければならんかった」

いまだ暗い部屋の中、老王は自説を続ける。

「余の戴冠式は他に類例がないものとなり、他の先例となるものであった。余は他の民族の長、余の民の第一人者にして、議を総べる者、長の中の長という意味である王を名乗ることとした。遥か過去には似たような名前を名乗るものもいたようだが、それももはや伝説の中でしかない。だが、余は伝説ではない、現実なのだよ。

 ゆえに余は王と名乗り、余がおるここは王が居る都である王都を名乗り、余が治るこの土地は王国として広く知られるようになった。討伐した蛮族は数知れず、だが余の王国の民となった者らも多くいる。お前もそのうちの一人だったな。ゲダンティオ。お前は恭順を良しとしなかった民の一派であったな。余の寝所に忍び込み、余を殺そうとした、ただ一人の男だった。今の余では決して返すことはできなかっただろう。だがあの時の余は、国王にして絶対的存在、余に例えられる者は決していなかった。ゆえにお前に言ったのだ。『お前が助かるのであれば、余を殺せ』と」

「……陛下、あの時行わず、正しいことをしたと、今では思っております」

ようやくゲダンティオと呼ばれた老人が頭を下げて老王へと答えた。

「戴冠式の当日、疲れていたからこその回答であった。あのような日は1日限りで十分だろう。だが、余も正しいことをしたと思っている。余の民は余の命、余の民は余の宝。あの戴冠式で言いたかったのはそのことだ。よって、お前も余の命にして余の宝、しかし助かったのかどうか、それを聞くのはもっと末期の時でよい。ただ、その時に答えを知りたい、余はこれで正しいことをしたのかを知りたいのだ」

ふぅ、と。それでも老王は疲れを隠せずにいる。

昔ならばこれぐらいずっと話続けていたとしても、決して疲れることはなかっただろう。

だが、老王ともなり、その先を知る時期に差し掛かっている。

すでに体力も消耗をしているようだった。

それでも、自説はやめない。やめる気もなかった。

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