第12話
「……ここまで話して、いろいろと思うことがあるだろう。それはわかっている。だが、最後まで聞いてくれ。お前が思っているよりも終わりというのは必ず早く訪れるものだ。もう目の前に死神が鎌を振りかぶっているのが見える。だからお前には一つ頼みがある。
どうか、余がいなくなったあと、息子らの手助けをしてやってほしいのだ。お前は余の命を狙っていたが、今となれば余の命を助ける役目になっている。それと同じように、息子らがどんなことを言ったとしても、この国をより繁栄させ、どこよりも長く生き永らえさせるために。これは余の命令であり、余の頼みでもある。
答えは言わんでいい。最後は頼み、だと言っただろう。余は答えを求めてはおらん。お前が好きなようにしたらいい。だが余の思いは伝えた。余としてはそれで満足だ」
老人が大きく頭を下げて何かを言おうとしているのを、老王が制止する。
それだけで、何を言いたいかを老王が理解をしているということだろう。
「……さて、今日も遅くなってしまったな。余もそろそろ床に就くこととしよう。お前も下がるんだ。また明日、忙しい日々を送ることとなるのだからな」
「御意……」
深々と、改めて頭を下げる老人が、ゆっくりと老王に頭を向けたままで部屋から退室していく。
ここでようやく緊張も解けたようで、老王はゆるやかに壁を下から上へと視線を向ける。
ふぅ、とため息を一つ。
空気はいまだに冷えない、ただ熱を帯び、それは人生の暖かさにも思えた。




