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第1話
老王は悩んでいた。
ただ、暗い部屋の中。一人椅子に座り、肘置きを使って頬杖をしている。その顔はすでに幾千幾万もの争いを収め、解決に導いてきた印の皺が強く結ばれている。その頭脳は、数多くの戦を、起こす前に、起こされる前に解決に導いてきていた。
だが、これらはすでに過去の栄光だ。老王は、だから悩んでいた。皺は過去の栄華を示し、頭脳は衰えを知るところとなる。しかし、世界は止まるということを許してはくれない。ゆえに、老王は悩んでいた。
「陛下……」
部屋のドアが一人でとも思うように静かに開き、老王と同じほどの年齢の老人が空気とともに入ってくる。
「お前か」
声を聴くだけで誰かが分かったようだ。老王は、ただ椅子に座り続け、その人物に声をかけた。
「お体に障ります。もうこれほど空も暗くなりました。お休みになりませんと」
「……一つ、考え事をしていた」
相変わらず頬杖の状態を崩すことなく、老王は老人へ自説を始めた。




